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2万円台で購入できるパーソナル3Dスキャナの実力やいかに!?

2015-11-28 17:20:10 | 日記
2万円台で購入できるパーソナル3Dスキャナの実力やいかに!?  という記事を見つけました

 パーソナル3DプリンタでおなじみのXYZプリンティングから、ハンディタイプの小型3Dスキャナ「XYZprinting ハンドヘルド 3Dスキャナー」が登場しました。販売価格(税込)は2万2800円で、家電量販店、ECサイト、販売代理店、同社Webサイトなどから購入可能です(関連記事:ハンディタイプの小型「3Dスキャナ」が2万2800円で登場!)。

 皆さんもよくご存じの通り、3Dプリンタを活用する上でのハードルの1つが、3Dデータの作成(3Dモデリング)です。製造業の現場などであれば商用3次元CADを活用して製品の設計データを作成し、産業用3Dプリンタで試作、あるいは最終製品のパーツ製造などを行うわけですが、“個人のモノづくり”を楽しむ人たち、特にモノづくり初心者の人たちにとって、3Dモデリングは大きなハードルといえます。

 同製品は、こうした人たちでも気軽に3Dプリンタによるモノづくりが楽しめるよう企画されたもので、3Dプリンタの販売をビジネスの主軸とするXYZプリンティングにとってユーザーの裾野を広げるためにも重要な製品といえるでしょう。

 今回、そんな新製品をいち早くお借りすることができたので、いろいろと実験しながら使用感などをご紹介したいと思います。

お約束の「開封の儀」

 まずは、パッケージと同梱物から見ていきましょう。製品パッケージは非常にシンプルで、透明の窓から製品が顔をのぞかせています。さすがにパッケージ写真のような赤ちゃんをスキャンするのは難易度が高そうですが、同社の製品らしく“家庭内での利用シーン”を強く押し出している印象です。

 肝心の中身ですが、製品本体とセットアップソフトウェアが保存されているSDメモリーカード(4Gバイト)、そして保証書兼クイックガイド(日本語)が含まれています。

 製品本体の外形サイズは41×61×157mm(ケーブル含まず)で、重さは238g(ケーブル込み)。ボディカラーは赤色で、センサー部分はミラー仕上げになっています。手に持った感じは「これでスキャンできるのか?」と思うくらい軽く、操作ボタンも1つのみと非常にシンプルです。良い意味で“ザ・精密機器”のような堅苦しさはなく、年齢・性別問わず、誰でも気軽に使えそうな印象です(実際の使用感は後ほど)。

カタログスペックの確認

 同製品は、ジェスチャー、音声認識、顔認識などを実現するインテルの「RealSenseテクノロジー」を採用した3Dスキャナです。

 スキャンモードは、ぬいぐるみや置物などをスキャンできる「オブジェクト」モードと、人物の上半身をスキャンできる「ヘッド」モードがあります。

 スキャンサイズは、オブジェクトモードが5×5×5~60×60×30cm、ヘッドモードが5×5×5~40×25×40cmとなります。X/Y/Z分解能は1.5mmで、Depthカメラの解像度は640×480/30FPS。利用にはPCとの接続(USB 3.0)が必須で、スキャン距離は10~70cmとなっています。

 インテルのRealSenseには、デバイスへの組み込みを前提としたカメラモジュールが3種類用意されており、今回の製品はノートPCのべゼル部分への搭載を前提とした「RealSense 3Dカメラ(F200)」(以下、F200)が採用されているようです。

 F200自体は、開発者向けの「RealSense Developer Kit」として99米ドルで提供されています。主に近距離でのユーザーの顔や手の動きを認識するのに適しており、ジェスチャーコントロールの他、顔の3Dキャプチャーなどに利用できるようです。ちなみに、F200はべゼル部分への搭載が前提のセンサーなので、本来はセンサー側を固定して、対象物を動かして(回転させて)スキャンする方式となります。ただ、ハンディ型の筺体にF200を組み込んだ同製品は、基本的には対象物の方を固定して、スキャナ本体を手に持って動かしながらスキャンすることになります。実際に使用してみて、その辺りの違いがスキャン結果にどう影響するのか、少々気になるところです。

ソフトウェアのインストール

 では、スキャナのセットアップをしていきましょう。まずは、PCを用意します。

 同製品の動作環境は、OSがWindows 8.1(64ビット/32ビット)以上、CPUが第4世代インテル Core i5プロセッサー以上で、メモリが4Gバイト以上必要です(Macは未対応)。また、スキャナとの接続にはUSB 3.0が必須となります。ちなみに、筆者ははじめスペック不足のPCで無理やり動かそうとしましたが、ダメでした(結局、別途PCを用意することに……)。同製品の購入を検討されている方は、ご自身のPC環境の確認を忘れないようにしてください(同社Webサイトにも「使用環境」として記載があります)。

 以下、上記PC環境が用意できている前提で進めていきます。

 はじめに、PCと同製品を接続(USB 3.0)してください。続いて、同製品に同梱されているSDメモリーカードをPCにセットし、「SETUP.exe」を実行します。すると、「XYZprinting リソース センタ」という画面が立ち上がりますので、「1.ドライバ」「2.SDK」「3.XYZscan」の順にインストール作業を行っていきます。

 なお、先ほど同製品には“F200が採用されているようです”と紹介しましたが、その理由はドライバのインストール画面を見れば分かります。インストール作業自体はそれほど難しいものではないので、PC環境が要求スペックを満たしていれば、スムーズに完了すると思います(PCの要求スペックを満たしていない場合はドライバのインストールの時点でエラーとなります)。

スキャン方法はシンプルだが、「慣れ」が必要

 それでは、スキャン用アプリケーション「XYZscan」を起動してみましょう。このXYZscanは、スキャナ機能搭載3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0 AiO」と共通のアプリケーションとして提供されています。XYZscanが立ち上がると、「Handheld(同製品)」か「da Vinchi 1.0 AiO(スキャナ機能搭載3Dプリンタ)」かを聞かれますので、「Handheld」を選択します。

 すると、「XYZprinting Handheld Scan」という3Dスキャンを実行するためのアプリケーションが起動します。今回は、スキャン対象を“物体”にしたいので、スキャンモードを[オブジェクト]にして、スキャンを開始します。

 ちなみに、中村薫氏の連載「Kinectで3Dスキャンして3Dプリントを楽しもう」の第4回で紹介しているRealSense SDKのサンプルプログラムでも、F200の場合は「Object(物体)」「Face(顔)」の2つのモードが用意されていますので、XYZprinting Handheld ScanはRealSense SDKのサンプルプログラムをベースに開発されたものなのかもしれません(画面もどことなく似ている?)。

 スキャナは画面の注意書きの通り、左手で横向き(左手の親指がボタンの位置に掛かる)に握って使用するのですが、筆者の利き腕とは逆なので(軽いとはいえ)安定してスキャンできるか少々不安になりました。個人的には右手でビールジョッキを持つような感じ(縦向き)で使用したいなと思いましたが、まずは説明書通りに取り扱うことにします。

スキャン方法

 では、スキャン方法です。スキャナを対象物にかざし、プレビュー画面上でその対象物の周りに緑色の枠が表示されたら、画面上の[スキャン開始]ボタンを押すか、スキャナ本体のボタンを軽く1回押します。これで撮影状態となります。緑色の枠はフォーカスが合っていると表示されるので、表示されない場合は、スキャナと対象物の距離や位置を調整してみてください。

 ご覧いただいた通り、作業手順は本当にシンプルそのもので、操作自体で戸惑うことは少ないと思います。ただ、3Dプリンタを初めて触ったときと同じように、“使いこなすには慣れが必要”です。

 恐らくはじめのうちは、3Dスキャナの特長・クセをつかむまで何度もトライ&エラーを繰り返すことになると思います。うまくいかな過ぎて「キーッ」となることもあるかもしれませんが、やり直しがすぐにできますので、3Dプリンタで造形を失敗するよりかは精神的なダメージは少ないでしょう。

スキャナの得意・不得意を知るべし

 スキャン対象の形状や色、材質などにより、スキャンしづらいケースもあるので、ある意味“実験的”な感覚で、いろいろなモノでスキャンを試してみるとよいかもしれません。ポイントとしては、光を反射する素材、透明な素材、黒色の物体などはスキャンしづらい傾向にあります。

 また、筆者は「物体表面がシンプルなものの方が簡単にスキャンできるのかな?」と思っていましたが、実はある程度ハッキリとした凹凸の変化があるモノの方がスキャンに適しているようです。同製品は、連続撮影したスキャンイメージをリアルタイムでつなぎ合わせていく方式を採用しているので、スキャンイメージ同士の正確な位置合わせのためには、ポイントとなる凹凸などがあった方が成功率が上がるみたいです。この辺りのTIPSについては、また後ほど紹介します。

試行錯誤の様子をご紹介

 ご覧いただいた通り、操作そのものは非常にシンプルですが、うまくスキャンするには慣れが必要です。ここでは、筆者が試行錯誤した様子をご紹介したいと思います(お試し期間がわずかだったので下手ですが……)。なお、スキャンした環境は特別な撮影設備ではなく、アイティメディアのオフィス内です

アヒルの置物

 まずは、デスクの上に対象物を置いてスキャンしてみました。記念すべき“ファーストスキャン”は、ソフトビニール製のアヒル(の置物)です。クチバシ部分にやや光沢はありますが、大きさ的にも形状的にもテストにちょうどよいかと思います。

 何も考えず、デスクに置いていざスキャンです。フォーカスを合わせるのはそれほど難しくありませんでしたが、何となく縦じまのノイズ(?)が気になります。そして、スキャン開始から数十秒……。何とも残念な結果になってしまいました。

 デスクの真ん中に置いてしまったこともあり、アヒルの背面部分のスキャンが難しく、もう少し回り込みやすい場所に対象物を置くべきだったと反省しました。

 また、途中でスキャンが失敗して、プレビュー画面上で取り込んだ画像が固まってしまうことが何度かありました。これは、先ほど紹介した連続したスキャンイメージ同士の位置合わせに失敗してしまったからです。恐らく、はじめのうちはこのスキャンエラーに悩まされるかもしれませんが、あせらずゆっくりとスキャンするように心掛ければ成功率が次第に上がってきます。

    途中 削除

 その他、スキャナを手に持たずに固定して対象物を回す方法にもチャレンジしてみましたが、回転台(ターンテーブル)を持ち合わせていなかったので、あまりうまくスキャンすることができませんでした。中村薫氏の連載のように、スキャナと連動して動くターンテーブルを用意できれば、きれいに撮影できるのかもしれませんね。

 人物のスキャンに関しては、時間の関係であまり実験できませんでしたが、苦手とする黒(髪の毛)やメガネを除けば、比較的被写体の特長を捉えたスキャンが可能かな? という印象です。髪の毛の長い女性などは、髪留めなどを付けるとスキャンの成功率が上がるようです。

 一通りの実験を通じての感想としては、オブジェクトモードでスキャンする場合は、連続するスキャンイメージ同士の位置合わせに失敗しないように、とにかくゆっくりと丁寧にスキャンすることが大事だということです。そういう意味では、スキャナ側を固定して、対象物をターンテーブルに置いて回しながらスキャンした方がきれいに取り込めるのかもしれません。

使いこなすために

 さて今回、限られた時間の中でお試しで触ってみましたが、前述した通り、始めのうちはトライ&エラーをしながらスキャナのクセをつかむことが必要かと思います。

 また、スキャンしづらいモノを理解し、うまくスキャンするために必要な知識も最低限必要です。ちなみに「スキャンしにくい色や材質」や「オブジェクトの把握」といった、同製品を使う上でのTIPSページが用意されているので、使い始める前に一読しておくことをオススメします。これを読むだけでもスキャンの成功率はアップすると思います。

 ちなみに、XYZプリンティングの日本法人であるXYZプリンティングジャパンにオブジェクトモードでのスキャンのコツを伺ったところ、
•背景ができるだけシンプルな方が対象物をスキャンしやすい
•丸イスやテーブルなど、背後に回り込みやすい場所に対象物を置く
•スキャンがうまくいかない場合は開始位置を変える
•まずは一周回って全体をスキャンし、細部を後からじっくりと取り込む
•慣れないうちは2人など、複数人でサポートしながら試してみるとよい
•スキャナを手で固定して、100均のターンテーブルで対象物を回す

などのテクニックを紹介してくれました。

 なるほど、やはりターンテーブルや回転する丸イスなどで対象物自体を回す方法は有効そうです。じゃあ、始めからハンディタイプではなく固定タイプにすればよかったのでは? と頭をよぎりましたが、ハンディタイプの方が取り回しもよいですし、対象物の天面や底面、細部をスキャンすることを考えると、ハンディタイプの方が都合がいいのでしょう。

 以上、いろいろと使用感などを紹介してきましたが、価格や見た目などから、同製品がカジュアルな3Dスキャナを目指して作られたものだということがよく分かりました。ただ、3Dプリンタと同様に、使いこなすには慣れが求められることから、製品自体のカジュアルさとのギャップに戸惑うユーザーが少なからず出てくるかもしれないなと感じました。こうした部分に関しては、今後のソフトウェアのバージョンアップなどで改善されることを期待したいと思います。

 これで3D画像を何とか取り込んでも プリンターは2万では買えないよ

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