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『書店員の恋』 梅田みか 日経文芸文庫

2013年11月09日 | 恋愛小説




本が好きで、恋愛に迷う全ての人に




渋谷の大型書店で新たにフロアチーフを任された今井翔子
26歳という若さと女性ならではの視点を求められての抜擢は
やりがいと同時に大きなプレシャーのなっていた
翔子が新たに手掛けるブックフェアのテーマはケータイ小説
渋谷という立地を生かした戦略要求されるものの
”ケータイ小説”を書店員という立場から
なかなか認められず苦悩する複雑な自分を発見する
そんなとき出会った新鋭のケータイ小説家は
彼女の心を簡単に溶かしていく
ファミレスの厨房で働く恋人と
新鋭の作家の間で心は揺れる




この作品とテーマは大きく二つ



書店員として求めらる現場の質の変化と
20代の普通の女の子が感じる等身大の恋愛です


Yoshi『Deep Love』を皮切りに多くの作品が
ティーンエイジャーの間で爆発的にヒットしたケータイ小説
映画化、漫画化もされかつて話題を呼びましたが
実は従来からの本好きや作家達には不評でした
会話文、改行の多さや横文字など
文章としての拙さを指摘する声が多かったんです
私も何点か読みましたがイマイチ内容の薄さについていけませんでした
主人公の翔子のまたケータイ小説を受け入れられない一人です
けれど、流行には必ず理由があります
本は時代を映す鏡によく例えられますが
書店員として翔子がどう仕事に向きあうのかが一つの
見どころになっています


そしてファミレスでアルバイト中の彼氏との恋愛
好きでも将来性のない彼氏とリッチで有望な新鋭作家
対極ともいえる二人の間で翔子の心は揺れます
恋愛だけで人は幸せにはなれない
じゃあ、幸せってどうやったら手に入れられるのだろうか

翔子が恋愛の為にぼろぼろになっている
親友を目の前にして、心から羨むシーンがあります

”親友は彼に何も求めていないのだ
過去も、未来のことも、後先一切考えずに
打算も計算もない無垢な愛情だけがそこにはあって
彼と一緒にいる今が楽しければそれでいい

そんな感情を今までに抱いたことがあるだろうか”


恋愛が盲目的なもので
それが理由で傷ついたとしても

そうやって心から相手にぶつかっていけることは
とても眩しく見えます


評価

お仕事小説としても恋愛小説としても楽しめる一冊です


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