『夢のカルテ』 高野和明・坂上仁志 角川文庫
2011年『ジェノサイド』で第二回山田太郎賞受賞
話題沸騰の大注目作家のファンタジック・ミステリー
明析夢(意識ある中で見る夢)をみることができる心理カウンセラー来生夢衣と
襲撃事件によって心と身体に傷を負った刑事・麻生健介が出会い、次第に惹かれあいながら、ともに事件を解決していくというストーリーです
主人公の一人がカウンセラーということもあって、心理学の専門用語がそれとなく物語の中で解説されているので知らないうち?に勉強にもなります
ソラは『ジェノサイド』が何となく難しそうで読まず嫌いなのですが
本書はとても読みやすく、すらすら一気読みでした
物語の構成自体はありきたりなのでドラマ化するかも予想してます
心に響いた一文は
傷つくことは弱さではない、それは真摯に生きている証なのだ
うん、最近疲れてるのかな、、
こうしたミステリー×恋愛の分野はロマンチックサスペンスと呼ばれ海外小説が主流です。主に女性向けでジェイン・アン・クレンツやJ.Bロヴ、カレン・ローズなんかがおススメです
ただ、今回紹介した『夢のカルテ』は上記にあげた著者の本を既に読んでいるような上級者には薦めません
総じて日本の小説は、この分野には弱いからです
まず、ミステリーについては、犯人の生い立ちや動機の強調が必ず構成要素に入ってくるので展開が重くなり、概して読みずらくなる傾向があります
次に、日本の恋愛小説の分野では、どこかドロドロしていて、妙にリアリティがありすぎるように感じます
(有川浩『図書館戦争』は大人が読めるライトノベルを当初目指しており、一途な片思いを描いたフレッシュさは日本の文芸界の新境地を開拓したとソラは評価しています)
この二つの強烈な傾向を持った日本人作家がこの分野に挑戦すると…大抵どっちつかずになり、ミステリーも恋愛の学園物?のように軽くなってしまうのです
評価
☆☆☆☆
この分野が大好きだから厳しくいきます