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日々新たなり/日本語学2020

カテゴリーからプロトタイプへ

2021-12-18 | 思い遥か

カテゴリーからプロトタイプへ、カテゴリーとプロトタイプと、カテゴリーは静態言語か、プロトタイプは動態言語か。

プロトタイプ理論は概念のカテゴリー構造という心理学的な分野から展開されてきた理論



https://kagaku-jiten.com/cognitive-psychology/perception/categorization.html
科学事典
>カテゴリー化
人間の認知資源には限りがあり、カテゴリー化を行うことで、最小の認知的努力で最大の情報を得ようとする。カテゴリー化は下記のプロセスが一般的となっている。

目にした対象のパターン認知
認知した情報を長期記憶内から検索
対象と最も類似した記憶を選択
対象の持つ性質を推論

古典的カテゴリー論
ある対象がどのカテゴリーに属するかどうかは、定義的特徴によって決まるとする考え方を古典的カテゴリー論、または定義的属性論と呼ぶ。この考え方は古代ギリシャの哲学者アリストテレスによって提唱されているもので、各カテゴリー間には明瞭な境界線が存在することを示している。

しかし、実際には定義的特徴によってどのカテゴリーに属するか決まらないものも多く、その後の研究によって、カテゴリー化の理論は徐々に形を変えていっている。

プロトタイプモデル
経験した多くの刺激から、典型性や類似性によって代表的事例(プロトタイプ)が形成され、そのプロトタイプを用いてカテゴリー化が行われるとする考え方を、プロトタイプモデル、またはプロトタイプ理論と呼ぶ。

ロッシュは、野菜や動物についての典型性や、ヴィトゲンシュタインによって提唱された家族的類似性を測定する実験を行っている。その結果、典型的な事例ほどカテゴリー化が速い、記憶されやすい、想起されやすいなどのことが明らかとなった。

ロッシュの実験以外にも、幾何学的図形やメロディなどの刺激を用いた実験でも、プロトタイプモデルを支持する結果が得られている。

事例モデル
新しい刺激が、経験した個別の事例についての記憶とどれだけ似ているかによって、カテゴリー化が行われるという考え方を事例モデルと呼ぶ。プロトタイプモデルの実験でも、個別の事例情報が保持されることが示されており、プロトタイプモデルだけが正しいとは言えないことがわかっている。

どちらのモデルが採用されるかは、その時の条件によるものと考えられており、記憶されている事例が少ない場合には事例モデルが採用され、事例が多い場合にはプロトタイプモデルが採用され、カテゴリー化が行われていると考えられている。



事例理論(exemplar theory)のカテゴリー観の違いついてhttps://www.nihongo-appliedlinguistics.net › archives
プロトタイプ理論 — プロトタイプ理論(prototype theory)は上記の古典的カテゴリー論への批判から、生まれました。 ヴィトゲンシュタイン(Wittgenstein) ...

古典的カテゴリー論(classical categorical view)
プロトタイプ理論(prototype theory)
事例理論(exemplar theory)


http://imogakusei.seesaa.net/article/351945900.html
大学芋 東京の端っこで ことばと戯れる
言語研究者のエッセイ
>認知言語学キーワード紹介(2):カテゴリーとプロトタイプ
動詞runの意味を聞かれたら、何と答えるだろうか?多くの人が最初に思い浮かべるrunのイメージは「走る」、つまり「足を交互に素早く動かして移動する」ことだろう。『ジーニアス英和辞典 第4版』を見てみると(1)のような例はもちろん挙がっているが、(2)や(3)も見つかる。(2)のrunは「乗り物の移動」、(3)は「液体の移動」を表している。

(1) She ran for 20 miles.(彼女は20マイル走った。)
(2) I saw a car run through a red light.(車が赤信号を無視して走るのを見た。)
(3) The river runs into the Pacific Ocean.(その川は太平洋に注いでいる。)

このような例まで含めて考えると、runの意味を単なる「2本足による素早い移動」とは言いづらくなる。これは、runの意味カテゴリーをどのように記述するかという問題である。人間は、知識を単にばらばらに蓄えているわけではなく、何らかのグループにまとめている。そのグループが「カテゴリー」(category)である。

カテゴリーについては古くから研究されてきたが、次のような考え方が主流であった。つまり、あるカテゴリーに属する成員はすべてある属性を共有しており、カテゴリーの成員間には優劣はない、というものである。このようなカテゴリー観に従って、さきほどのrunについて考えてみよう。runの意味カテゴリーに含まれる成員はすべて「高速の移動」という属性をもっていると考えれば、(1)-(3)のすべての用法を偏りなく扱うことができる。しかし、runの意味を「高速の移動」とだけ提示してしまうと、今度は直感的なrunのイメージとはだいぶ離れてしまうだろう。

認知言語学では、カテゴリーをもっと柔軟なものであると考えている。あるカテゴリーの成員がどれも同じだけの資格をもっているわけではなく、もっともそれらしい、中心的な成員から、あまりそれらしくない、周辺的な成員があるとするカテゴリー観を採用するのだ。中心的、代表的な成員のことを「プロトタイプ」(prototype)と呼ぶ。カテゴリーがそのように構造化されていると想定すると、runの意味に抽象的な「高速の移動」というものがあることを認めつつも、そのカテゴリーにはプロトタイプ「2本足を使ったすばやい移動」を中心に、周辺的な成員「乗り物の高速移動」「液体の高速移動」までの段階性があることを捉えることができる。


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