
リルハイブリッド2.0の加熱温度は、中温加熱と言われ、160℃の加熱と言われています。160℃の加熱温度なので、アイコスに比べて、喫煙時のパンチ力は弱いが、臭いが少なく、電子タバコの煙も添加されるので、喫煙時・喫煙後の臭いを気にされる方には好評なようである。アイコスのような「芋臭いにおい」はほとんどありません。
本製品は、韓国のKT&G社が開発し、2018年11月末に、韓国内で発売開始した「リルハイブリッド」の改良版で、F社が、KT&G社と業務提携している商品です。
KT&G社が、本製品を開発を進めている時と同じころ、当方は「無煙君QV」の開発を進めており、半年遅れで発売を開始しました。無煙君QVは、シャグや、紙巻煙草を切断した物を使い、電子タバコの煙を添加して喫煙するという商品で、挿入部を変えれば、ヒートステイックや、プルームテックのカートリッジも使える優れものです。
そこで、無煙君QVと同じように、リルハイブリッド2.0を使い、シャグや、紙巻煙草を使い、電子タバコの煙を添加して、喫煙ができないかの検討を開始しました。
1.まず初めに、リルハイブリッド2.0の専用煙草「MIIX」の加熱温度の測定を行うために、MIIXに熱電対を取り付けて、加熱炉(オーブン)の壁面温度を測定しました。
・熱電対の取り付け方法;
上記写真に示すように、熱電対を取り付けたMIIXを、リルハイブリッド2.0本体に挿入して、温度測定を行いました。
以上の測定結果より、以下のことが分かった。
1.喫煙開始合図(約160℃到達時)から、約45秒間位は、加熱温度は上昇し、約200℃まで上がる。(喫煙開始から数パフは、熱いと感じる原因)
2.そこから温度は徐々に下がり、150-140℃あたりまで下がっていく。
⇒160℃一定の加熱温度ではなく、初めに約200℃位まで煙草葉を加熱して、以降 徐々に温度を下げている。
⇒特に喫煙開始直後の数パフは、熱いリキッドが口に入る。これを避けるためには、喫煙開始合図から、1分間位経過後から、喫煙を開始する事が必要。
2.以上のオーブン温度の測定から、リルハイブリッド2.0は、無煙君QVと同じように、煙草代が安くつくといわれている、シャグが使えるのではと思われます。
例えば、高級ヴェポライザーPAX3の、シャグ加熱温度は、185/195/205/215℃の4水準が選べるようになっています。さらに、シャグや紙巻煙草の葉を加熱した場合、150℃もあれば、十分に煙草葉に含まれるニコチンは、蒸発してでてくる事は知られています。
PAX3愛用者(紙巻煙草やアイコスから、PAX3に移行された方々)の煙草代;
A氏;160g/月 4.8万円/年
B氏;80g/月 2.4万円/年
C氏;150g/月 4.8万円/年 シャグ;約25円/g
ちなみに、1日・1箱 リルハイブリッド2.0を吸う人は、年間煙草代=560x365=204,400円/年
シャグ代を年間 5万円として、約15万円/年 煙草代が安くなる計算になります。2.5~3.5万円位する最高級ヴェポライザーPAX3を購入しても、十分に元が取れることになります。
3.リルハイブリッド2.0で、シャグや紙巻煙草を使って喫煙するためには、解決すべきいくつかの問題点があります。
1.リルハイブリッド2.0は、MIIXを挿入すると、自動的に電源がONします。これは、MIIXの先端部に金属箔が巻かれており、この金属箔が挿入されたことを検知しています。アイコスの煙草(ヒートステイック)を挿入しても、電源ONしないのは、先端部に金属箔が無いからで、金属箔をつければONします。
2.さらに、MIIXが引き抜かれた事も、この金属箔で検知しています。
⇒この問題をクリアするために、シャグや紙巻煙草は、薄肉ALスペーサーに入れて、本体に挿入し、MIIXが挿入されたと検知させる必要があります。検知させるためには、ALスペーサの肉厚、長さ、径 等を適当な大きさにしないと、検知をしないことが実験の結果わかってきました。
3.できれば、お好みの 510ドリチ が使えるようにする。
4.さらに、喫煙中に、ALスペーサーが抜け落ちないようにする必要があります。
4.まず、510ドリチが使えるように、510口金付きマウスピースの開発にとりかかりました。
リルハイブリッド2.0は、上記の写真のような構造になっているので、510口金付きマウスピースは、オーブン入口の円形部を利用して止めることとしました。具体的には、下記写真に見るように、3Dプリンターで作った 510口金付きマウスピース に、シリコンチューブをかぶせて、3Dプリンターで作られる部品の寸法精度をカバーする構造としました。
(喫煙実験の結果)
上記の3Dプリンターで作った 510口金付きマウスピースで、喫煙実験を行ったのちに、該マウスピースの先端部を観察すると、先端部が熔けていました。3Dプリンターは、ナイロンの微粉末を材料としており、その耐熱温度は160℃なので、喫煙開始直後の約200℃のリキッドにより、熔けた推定されます。
材質を、耐熱温度240℃のPTFEに変更し、切削加工で作ることとしました。製作は、㈲原沢樹脂加工様にお願いしました。
PTFE切削加工で作った510口金付きマウスピース
リルハイブリッド2.0に挿入して、固定されるように、下記写真のように追加工します。M3タップ加工は、薄肉ALスペーサーを固定するためのものです。
5.シャグ入れALスペーサーの開発
リルハイブリッド2.0のオーブンの径は、7.1mmΦ 深さ=22mm なので、電源ON/OFFの検知等の実験の結果
ALスペーサーは、長さ=16±0.5mm、 外形=6.8mmΦ、 肉厚=0.15mm の値に決まりました。
シャグ入れALスペーサーは、高耐熱ベーク材を、6.4Φ 長さ=2.5mm の大きさに加工し、中央にM3タップ加工((有)ファナック様で製作)したものに、長さ=5mmのインサートナットを取り付け、上記ALスペーサーに高温接着剤で固定しました。
6.無煙君QVと同じように、リルハイブリッド2.0を使い、シャグや紙巻煙草を使い、電子タバコの煙を添加して喫煙する。
喫煙方法;
① シャグ入れALスペーサーに、シャグあるいはスリム紙巻煙草の切断品を入れる。
② ドリチ付き510口金付きマウスピースに、ネジで固定。(ネジ山が壊れるので、強く締めないでください)
③ リルハイブリッド2.0に、挿入する。
④ 喫煙する。14パフ あるいは 4分20秒間
⑤ 喫煙終了後、ALスペーサー付き510口金付きマウスピース+510ドリチ を本体から抜く。できれば、十分に冷めてから。
⑥ ALスペーサーから、シャグ あるいは、煙草葉 を掻き出す。
喫煙結果;
① 臭いは少なく、電子タバコの煙が添加され、ニコチンも十分に摂取できる喫煙ができた。
② 喫煙後の シャグの取り出しに、時間がかかる。
喫煙後のシャグの状態;
電子タバコとしての喫煙;
シャグ入れALスペーサーにシャグを入れないで、本体に挿入すると、専用カートリッジのリキッドを 電子タバコとして吸引できます。
「リルハイブリッド用空カートリッジ2個+10mlニードルボトル」を、購入すれば、お好みのリキッドが楽しめます。
7.シャグ喫煙ジグ
下記のようなものを商品化して、Marchel, ショップ無煙君、ヤフオク、メルカリ等で販売いたします。
8.キャリングケース付きシャグペレット作成器(SPS_lil)の開発
好評をいただいている「シャグペレット作成器」(CTP_11/12/13, OTP_6/7/8 )と同じように、一度に9個のシャグを詰めたALスペーサーを作り、そのまま持ち歩け、さらに、喫煙時には、1個づつ取り出して使える「シャグペレット作成器(SPS_lil)」も開発を行いました。
なを、本製品も、Marchel、ショップ無煙君、ヤフオク、メルカリ で販売いたします。
⑬ オーブンから取り出すときに、リキッドでぬれて、ALスペーサーが滑り出てこないことがあるので、薄肉ALスペーサーの片側は、少し内側に湾曲させ、この湾曲に、耳かきをひっかっけて引き出します。
9.以上で、本テーマの開発報告は終了です。
アイコスのように、高温加熱でないので、キック感は少ないと思いますが、喫煙時の臭いがほとんどないので、これはこれで、市場があるのではないかと思っています。
次回は、F社の新製品、「アイコス イルマ」を使って、シャグを喫煙するジグの開発を考えています。
https://mercari-shops.com/products/GBkA6Q2M83bwdREqV6vvpe
こちらになります。
あと、この商品用の肉薄スペーサーなどもあれば購入したいのですが…
購入させていただきました。
ちなみに、「シャグペレット作成器(SPS_lil)」はおいくら程度になりますでしょうか?