鈴鹿サーキットの事を書いていたら、裏六甲を走っていたときの記憶がよみがえってきた。
一時六甲山の裏側にある有野台という所に住んでいた。裏六甲の登り口までは十数分で行ける距離である。
六甲山の道路は休日は二輪車通行止めの所が多い。
実際、道路の所々に花束が添えられていて事故が多いことがわかる。
限定解除してカワサキGPZ400からヤマハFZ750に乗り換えた私は、
週日にFZに慣れるため裏六甲に走りに出かけた。
その5バルブで前傾しているエンジンはジェネシスエンジンと呼ばれ平地では圧倒的なパワーを誇った。
GPZから乗り代えた頃は急激にスロットルをあけると体が置き去りにされるような感じで、それが快感であった。
しかし、六甲では小型マシンの餌食になってしまった。
車重があるのでブレーキングが難しく、小回りがきかない。
下りではオフロードのマシンに抜かれる始末だ。
ある時、平坦な所を走っていてヤマハTZR250に抜かれた。
私も相当なスピードで走っていたのだが、コーナーを抜けるともうTZRの姿はなかった。
また、違う日には登りコーナーで、軽々とステップをすりながらコーナリングしているTZRを見かけた事もある。
とにかくすごいポテンシャルのマシンであった印象がある。
そんな思いをもった私は、いつしかFZ750を売ってTZR250に乗り換えていた。
購入してすぐに海岸線のワインディングに試乗に出かけた。
第一印象は、とにかく軽くてスクーターのようなバイクであった。
しかしブレが無く車体は安定していた。ワインディングにさしかかり幾分スロットルを開けると自分の意思が即オートバイの挙動に表れた。
フォームをしっかり決めるとこのオートバイはそれに答えて綺麗に曲がってくれる、オートバイが乗り手に、乗り方を教えてくれるそんなマシンだった。
スロットルを全快にすると、あっという間にガソリン供給停止状態に達する。
750でも同じだが、TZRは軽くて高速状態の安定性とブレーキングがすごくいいので、安心して乗っていられたのを覚えている。
そんなTZRの裏六甲での走りは想像にお任せする...
仕事が終わると、出かけていっては道路の入り口から頂上まで5往復ほどし、頭の中が真っ白になって帰路についていた...
今はKawasakiアネーロで近所のブックオフに出かける程度だ。遅い車の後でも平気で走れる。
セミオーダーメイドのクシタニの皮ツナギは15年以上も押し入れに入ったままである。
出すのは怖いが、私の体型がまだ変わってないのが唯一の救いか...
(写真はカタログからのスキャンです)