青山の昼と千駄木の夜

都内会社員の日記です

迷いと決断

2007-01-28 16:43:29 | 書評
ソニー前CEO出井伸之氏の回顧録。前半と後半で彼の人ほどその評価が二分した人も珍しいけれど、その内幕の苦悩が語られている点は興味深い。孤独なCEOという仕事の側面が語られる。

今日ほど企業ガバナンス体制が騒がれていなかった時代、いち早くその重要性に気づき組織体系として取り入れ、結果それが他の日本企業のモデルとなっている点は間違えなく出井さんの成果だろう。

しかし、結局出井さんはソニーから何を産み出したかったのか。僕にはよく分からなかった。綺麗な題目はたくさんあるが、商品(あるいはサービス)のイメージがわかない。これは当時の社員さんも同じだったのではないか。

出井さんの右にそれを語る参謀役員がいたら状況は変わっていたのかも。

硫黄島からの手紙

2007-01-22 00:29:28 | 映画
今日は前から観にいこうと思っていた「硫黄島からの手紙」を観てきました。

第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、日本側の視点から描いた戦争映画です。実際の戦闘はもっと悲惨だったと思いますが、それにしても救われない(ラストは少し救われますが)状況の中、凄惨に戦い抜く日本人の姿が切々と描かれます。

中盤からは戦闘シーンが続くので、観ているとつらくなるのですが、その中で二宮の演技は一種の清涼感を与える程見事なものでした。生に執着すると決めているのに何故か戦いを達観している彼の姿は、栗林忠道演じる渡辺兼と比べても遜色ない。正直見直しました。(渡辺演じる栗林が魅力的なのは言うまでもないが)

今僕がこうしているのも、あの戦争で亡くなった多くの方の犠牲の上なんだと改めて思います。
感動して泣く、というより戦争の悲惨さをひしひしと感じる映画ですが、観てよかったです。

こういう映画って本当は日本人が作りたいけどまだ無理なんですかね。記憶が生々しすぎて。