日月譚

日月庵 庵主 大樹独活の駄文の世界

ハロウィン (730文字)

2014年10月30日 | コラム
日本では、ハロウィンがクリスマスまでの秋の社会的行事に今や定着した観がある。仮装行列に仮装パーティー、そしてどんちゃん騒ぎ。関連グッズや飲食物の経済効果はすでに1000億円を超えている、とあるシンクタンクは試算している。

日本人が格別祭り好きの国民であるとは思わない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」式の発想が日本人に根強いのである。欧米人から没個性と見られるゆえんであろう。クリスマスにしてもバレンタインデーにしても、本来はキリスト教徒の聖祭である。それを露骨なまでにビジネスと結びつける、まさに日本人の商魂のなせる業でもある。それもまた欧米人は「猿真似に長けた日本人」と揶揄するのである。

商魂は西欧の宗教儀式にだけ向けられるわけではない。日本古来の四季折々の行事も商魂の餌食になっている。例えば、3月3日の雛祭り、5月5日の子どもの日がよい例だ。桃の節句に菖蒲(端午)の節句である。子どもの成長を祝うものだが、いつのころからか祭りにはケーキやお菓子は不可欠なものとなった。

言うまでもなくクリスマスもケーキ、バレンタインデーはチョコレート……。最近、目につくのが節分の日に恵方巻きと称して太巻き寿司にかぶりつく。これなどは大阪の一部地域で商人がおこなっていた習俗だが、今や全国区になっている。ケーキやチョコレートはお菓子業界、太巻き寿司は海苔業界とコンビニエンスストアチェーンが仕掛けたと言われている。

商魂と言ったが、言い換えれば『ビジネスマインド』である。日本人のそれは、欧米人よりもはるかに旺盛であると筆者はかねがね思っている。ノリのいい日本人と、その国民性が戦後の経済発展を加速させた大きな要因であることは間違いない。《了》



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