コージはあずさを愛している/Koji Loves Azusa

小説「On The Road Part2 & 3」とリック連作
初めての方は「小説の目次」からどうぞ。

PH-13

2011年06月30日 07時01分00秒 | 希望の王子
王子様や子どもたちが目を覚ましても
バリトン歌手は歌声ぐらい大きな、
いびきをかいて眠っていました

王子様たちはビスケットを食べてから
みんなでバリトン歌手を起こしました
「花むこさんが結婚式に遅れちゃだめだよ」
バリトン歌手は起き上がって、目をパチパチさせました

子どもたちはジャングルジムをかけおりました
どしゃ降りのあとに、学校に行くぐらいびしょびしょだけど
地面はちゃんと地面らしく、立つことも走ることもできます

王子様たちは元気にハネをあげてはしゃぎました
踏みしめる地面があるって
なんてすてきなんでしょう

バリトン歌手は船をおりて
せきばらいをしてから歌いました
「僕は今
大地に立っている
道はけわしいかもしれないけれど
一歩進み出せることに
心から感謝しているよ」

家来や子どもたちは歩き始めていたので
バリトン歌手はびちゃびちゃと走って
みんなに追いつきました

いろんなものが、町のせんに向かって倒れています
自分の家をみつけた子どもは、ちょっと悲しくなりました
お母さんが植えた花が、
根こそぎ流されていたからです

「花はまた植えればいいよ
僕だって手伝うから」
無残な庭から目をはなして
キラキラした顔で子どもは言いました



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。