別館 兄弟仁義

超常現象ドラマの兄弟愛と家族愛をうっとおしくつつくブログ

スーパーナチュラル シーズン8 雑感感想その7

2014-10-29 17:36:37 | シーズン8
第12話、やってきた、僕らの若すぎるおじいちゃんの巻。

文系男子ウィンチェスターじいちゃん、体育会系孫たちに会うの回。
はいはい、今度はまた、新たな一族の秘密、“賢人”のラインですか~。とはじめは思いましたが。
この設定、後半のメインである“大きな試練”のストーリーとは関わりあるようで無い、無いように見えてある。ウィンチェスターだから背負うのかどうかよりも、ディーンとサム、ウィンチェスター兄弟が何を指針とし、何を拠り所にして進むのか。それを見出すきっかけとなった、自分たちと同年代の祖父との出会い。

パパ・ジョンが、結構ハイソな家で生まれ育った(途中まで)いたいけな少年で、その父親のヘンリーが、スーツで決めたお洒落さんだったという衝撃のオープニング(笑)
この時点ではまだ、“誰ん家?”でしたが、ヘンリーが過去に飛び込んだところが、いつものモーテルのクローゼット。クローゼットにはお化けではなく祖父がいた。兄弟、化け物がでるより唖然。

由緒正しき“賢人”を引き継ぐ誇りを持つヘンリーには、軍の払い下げの服(@アメリアさん)を着た荒っぽい(とくに兄)、ナリだけはデカい男二人が、自分の孫とは到底認められない。「不潔だし」って! 兄弟匂うのか?(笑) 身なりのことを言ってるんだろうね。
まあ、ちっちゃなジョンを寝かしつけて数時間も経たぬうちに、巨大な孫ズに会うってのもな(笑)
そして勿論、色々あったものの今でも心の大きな部分を占める父の、そのまた父親が、あんな優男とは認められぬ兄もご同様。
正反対の祖父と孫(上)は、出会いがしらからガチンコですが、孫(下)の方は、思わぬ父の生い立ちと、祖父の様子にむしろ好奇心あり気に様子見。
兄が怒るのはわかりきっているので、なだめ役に位置する(笑) 英語ではちゃんとヘンリーに「Sir」って言ってるしね。それでまたヘンリーは、下の子の方が私の孫らしい! ジョンにも似てる!という感じに。
サムがジョン似なのは、あなたが知らぬ、長じての暴走列車ぶりもなんだよと教えてやりたい。

過去から来たヘンリーの、上品な化石っぷりが可笑しい。「交換手、デルタ457を頼む」って(笑) 「へェ、もうないよ」東地吹替えのトーンが好きすぎる。
コンピューターは一部屋になど入りきれないと思ってるヘンリーに、アメコミ書店のゴスメイク店員にパソコンを貸してもらうディーン。兄貴、弟が手元に戻って調子を取り戻したのか、さほど美女じゃないゴスねえちゃんにも色よい目配せ(笑) こういうところの店員は、痛い成りきり野郎にも慣れっこだろうから、ヘンリーは“ボンド・フリークね”ぐらいの認識だろう。
貸してもらうと、ただちに「サム」と振る兄(笑) 

ドタバタ行脚のW一家を追ってきたのは、美しきドSな女悪魔アバドン。ルシファーが最初に創った地獄の騎士の一人。ほんと西洋、騎士好きだよな。
兄が背中からドスリとやったくらいじゃ、「女の扱いを知らないわね」ってくらいで即完治。ステキv
ドレスと髪型と真っ赤なルージュから、兄は『あのベティさんみたいなの』と。最凶イケてるベティさん、アバドン姐さん。机上の賢者ヘンリーなど小指の先だと思うが、ずらかるのは素早かったヘンリー。

“ハンターなど猿”扱いで、自分は狩りどころか穴ひとつ掘ったことはなく、加えて“強いダッド”がホラー映画に怯えたおこちゃまだったという黒歴史まで軽く話し、益々じいちゃんにジト目の兄(笑) 面白がる弟。
けれど、ジョンの後半生が詰まった手帳を見て、ディーンの言うジョンの“いばらの道”を聞いた時、初めてヘンリーの心が大きく揺らぐ。
ここでのディーンの一節は、ジェンの生声でも素晴らしいし、吹替え訳は、より日本人的にグッとくる。

「孤独な子供時代を生き抜いて、戦争に借り出され、やっと幸せな家庭を持ったと思ったら、女房を悪魔に殺され、自分も悪魔に殺された。
親爺の一生は不運の連続だったよ。だが逃げなかった。欠点もあったが、罪を帳消しにする以上の偉業を成し遂げて死んだ」


悩み抜き、父親からの負の遺産やマイナス感情を乗り越えたディーンが、父としても男としても再び尊敬する人としてのジョンを語った言葉。
後半、チラッと隣のサムを見る。サムもそれに気づく。弟の“普通の人生”への渇望も、それを手放した気持ちも汲めた兄。だけど、“おまえが嫌うハンターは、目の前のじいさんが言うただの知識じゃない。報われずとも誇るべき仕事なんだぞ”と伝えてる。

粗野なハンターにしか見えなかった上の孫が、誇りを持って息子ジョンの後を継いでいる。自分が“知識だけ”を書き記す予定だったノートは、父親無しで生きたジョンがたどった、血と汚れと凄惨な歴史が記されていた。サムが言った、「親爺はアバドンの手下だった悪魔を拷問している」という言葉にも、ちょっと顔色が変わった。自分の知らない大人のジョンが歩んだ激しい道。
そして、父親と母親が殺されたと言う、目の前の孫たちの人生。

ここの三人のやり取りは、実はかなり細かくて深い。カットされたシーンに、怒った兄が出て行ったあと、サムがヘンリーに「兄と父は似ていたから」と言い、ヘンリーが「そうかな?」と微笑むシーンがあった。これ何でカットしたかな、ヘンリーがサムの方がジョンに似ていると思ってることがハッキリするのに、と思ってたけれど。
確かに要らないかも。彼の考えるウィンチェスターの素質がどちらの兄弟に引き継がれたかよりも、この二人の孫がジョンの後を継いで、“ハンター”をしていることこそが、ヘンリーが自覚するべきことだから。


それにしても、ウィンチェスターのばあちゃん、ヘンリーの奥さんは全く出てこないけど、どうしたんですかね。おそらく早くに亡くなったんだろうな。
ベビー・シッターにジョンを任せてたんでしょう。写真も二人で写ってたし、「僕のすべて」と言っていた。ヘンリーが帰ってこなくなり、お金も無くなって世話してくれる人もいなくなったのか。親戚はいたんだろうか。ジョンもまた幼い時から苦労したんだね。
それをすべて帳消しにできる、孫の君たちには済まないが…と、兄弟が消失するかもしれないことはすっ飛ばし、過去を変えようとするヘンリー。
危うくキャンベル爺さんの二の舞になるところでしたが、そこはもう、遠慮も躊躇もなく兄に締め落とされる(笑) しかしディーンも、前回ラストの弟の言動と同じく、前半の確執など海の彼方の「弟を助けるためなら、手段は選ばない」 
その大事な弟は、アバドンがのり移った婆さんに張り倒されて昏倒していた。 
… おまえら、不変。

「最終戦争を止めた」というディーンの言葉すら、「僕の計画通りに進めば、そもそも最終戦争は起きない」という若じいさんに、こんのガリ勉実戦知らず野郎め!と思ったが。
「サムはたった一人の家族だ」というディーンの声と眼差しに、自分も唯一人の家族のジョンを救いたいと願ったヘンリーの気持ちが変わる。
自分を犠牲にしても一族の存続を選んだヘンリーの活躍のおかげで、兄弟はアバドンを退治することができた(暫定)
別れのシーンもなかなか秀逸。ジョンと君たちを誇りに思うと言いながら、ディーンと初めての握手をし、片方の手ではサムに賢人の館の鍵を渡す。
調査と記録、その素質のあるサムに、“賢人”を継ぐ血を感じつつ、長じてのジョンの遺志を継いでいるディーンを認めて逝くヘンリー。

このことは、“ウィンチェスター”を“背負うべき枷”とだけ捉えてきたサムに、初めて自分の中に悪魔の血に穢されようが消えぬ資質を見て、納得できた瞬間だったんじゃないか。“偉業を成し遂げた人”にいつも憧れてきた彼にとって。
以前アダムの件で、「彼はウィンチェスターだ。もう背負ってる」と言ったサム。使命としてのウィンチェスターの血が、ハンター以外にあったということはサムにとって大きい。(アダムの件も是非解決してほしいよ)

そしてディーン。兄にとっては、辛くとも使命と感じてたハンター業。でもヘンリーと弟を見て、やはり自分はキャンベルの方の血を色濃く受け継いだと自覚したんじゃないか。
キャンベル爺さんとは最悪の終わり方をしたけど、元々ディーンは母メアリー似。メアリーが若い頃のキャンベル家に飛ばされたシーズン4の回、ハンターにこだわるキャンベル父さんと、普通の生活を望むメアリー、その間を取り持つディアナ母さん。その構図は、ジョン、サム、ディーンそのままである。長男なのにばあちゃんの名前を頂いたという、なんでよの設定もまた(笑) 望みの面ではメアリーとサムは似ているし、ジョンはメアリー亡き後、知らずして婿入りしたかのようにキャンベル流生き様を選んだ。
この家族のあれこれ、込み入ってるし後付のようでいて、まったく細かくよくできてるよ! 

私はタイムトラベルで、過去からでも未来からでも来た者が、歴史を変えるというのは好きじゃない。でもスパナチュで出るタイムトラベルは、生き残って元の世界に戻るためとか、武器を手に入れるために変化を起こすことはあっても、真に望む変えたいことはそのままで向き合うしかない。
ヘンリーがジョンの前からいなくなったのは、孫たちを助けて死んだからであり、それはまた自分が連れて来たアドバンの責任を負うことでもある。
もし、ジョンがヘンリーに幸せに育てられ、さらにはディーンとサムもやはり生まれていたら。それをサムは墓の前で言うけれど。
幸せなジョンなら、自分たちもまたもっと違う形であったかもしれないと思うサム。でもディーンは、精一杯生きて不器用に自分たちを育てたジョンが、父なんだと言っている。それに同意するサム。

“もしも”は誰しもが考え、望むことだけど。そうならなかった今を受け入れる兄弟。

ヘンリーがインパラを選んで乗ろうとするところ、弟がキーを持ち、兄が父と祖父の写真を持つラストもニクい。
ヘンリーは、孫たちがルシファーとミカエルの器に選ばれていたというのも知らずに逝ったんだなあ。

いにしえより悪しきものを退ける膨大な叡智を引き継いできたウィンチェスター一族と、狩りで退治してきた生粋のハンターであるキャンベル家が繋がる。ジョンとメアリーの結婚は天界の最重要事項だと言った裸ん坊おっさんキューピー、これで正解ですか! 
でも天界と何の関わりがあるのかは、また先って事ですね!?

自分が引き継ぐ智の遺産を自覚するサムと、その弟を武でこれからも守るのが自分の役目と再認識したディーン。それだけでこの回は、価値がある。
シーズン9からの、これを上回るか台無しにするのかわからん、○○○の血筋の話は、見てから考えます!(笑)



☆吹替えと字幕の謎あれこれ

・クロゼットから飛び出たヘンリーに、サムが言った「その質問は、僕らがあんたのクローゼットから出てきた時にしろよ」(吹替え) ???
 あんたか僕らのクローゼットから出てきた時に、じゃないのか? 「僕らあんたクローゼットから出てきた時にしろよ」にも聞こえるが、これだと意味は繋がるけど言葉の流れが妙。

・ヘンリーの墓の前の兄弟の会話。
サム「今ならわかるよ。キューピットが言ったこと。父さんと母さんを結び付けるのに苦労したって。ウィンチェスターとキャンベル家だろ。頭脳と腕力だ」
ディーン「俺に言わせりゃ、みんながみんな、やたらと死んで行く家系さ」 (吹き替え)

サム「分かったよ。天が親爺と母さんを引き合わせた理由さ。ウィンチェスターの“文”とキャンベルの“武”」
ディーン「よかったな。死の家系だと思ってた」 (字幕)

サムのセリフのニュアンスが違う。このシーズンは字幕と吹き替えがかなり違う回が多いんだよね。どちらが的確なのか。英語ォ…(壁)

・セリフじゃないが、今の今まで“アバドン”を聞いたこともなかった兄弟。だが親爺の手帳にはアバドンの手下を拷問したとあったんでしょ?
ジョンの手帳とは、見た目より果てしなくページが続く魔法の手帳で、いつまでも読み終えられないのか。


ヘンリー役の俳優さんもイケてましたね。コンベンションにも出て、良い喉を披露してるそう。私は若い頃のジョン役の俳優さんもイイと思うので、一緒に出たりしないかな(笑)



なんだこれ。一話でこんな語ったの久しぶり。この家族モノへのこだわり(笑) しかしスパナチュは家族モノなんである!
突貫で追いつきましたが、また忙しくなってきたのでしばらく落ちます。遅ればせながら、通算200話おめでとう! インパラケーキ食べたい!
それではドロン。


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