こんにちは、チュー太です。
ダイオキシンって、他の分析に比べてずいぶん時間がかかるし、
値段も高い…。
でもそれには理由があるみたい。
ダイオキシンは極微量分析です。どのくらい微量かと言うと、
東京ドームを水で満杯にしたところに、角砂糖を一粒(1g)
入れたときの砂糖の濃度を測っているくらい微量なんです。
こんな極微量の世界だから、時間とコストがかかるわけです。
ちなみにダイオキシンの分析工程をまとめると・・・
となります。非常に簡単に書いてありますが、フローはこんな
感じです。
今回はこのフローの中の抽出部分についてレポートしたいと
思います。
抽出とは試料の中から目的成分(この場合はダイオキシン)を
とり出すことを言います。
例えば、ティーパックにお湯を注いで紅茶を入れると茶色く
なりますよね?
これは、お茶葉から目的成分である紅茶成分をとり出している
ので、一種の抽出なんですよ!
話を戻しまして、単に抽出と言っても、排ガス、灰、土壌、大気、
排水等々、なんと種類ごとに抽出方法が違うんです!
種類ごとに様々な処理をした後、ソックスレー※1で16時間以上
抽出します。
土壌は、乾燥させてからソックスレー抽出します。
他の媒体もマニュアルやJISに則った方法で行っているんです。
使用するガラス器具には番号が付いているので、トレーサビリ
ティ※2がとれます。
また、正確なデータをお客様に提供するため、いつ洗浄したか、
どのような洗浄方法か、どこに片付けたかまで全て記録します。
器具を使う前にも洗浄していますし、分析に使用し洗浄した後は、
雰囲気※3からの汚染がないように保管するのです。
また、ダイオキシンのサンプルを扱う部屋は、外部への汚染を
防ぐため陰圧になっており、さらに低濃度試料用の部屋と、
高濃度試料用の部屋と、機器分析用の部屋とに分かれています。
極微量なので、雰囲気や他試料からの汚染に対し、細心の注意を
払っているのです。
今回はここまで。次回はクリーンアップ操作では何をしているのか
についてレポートしたいと思います。
※ 1 ソックスレーとは、還流冷却抽出装置のこと。沸騰させ、
気体となった抽出液を冷やすことで、また液体に戻し、
目的成分を抽出させる
※ 2 トレーサビリティとは、跡をたどることができること。
さかのぼって確認できるようにすること。
※ 3 その場をとりまく空気のこと。