「負けず嫌い」と「食わず嫌い」.

2005年05月05日 00時17分01秒 | ことばと文化
ふと思ったのだが, 「食わず嫌い」と「負けず嫌い」は, 一見したところ構造が同様なのに意味は全く違うのである.

現代の口語的に理解しやすいのは「食わず嫌い」の方で, 「食わず」して「嫌い」である, つまり「食べたことがないものを嫌うこと」である. 実に素直である.
一方, この類推で「負けず嫌い」の方を解釈しようとすると, 「負けず」して「嫌い」である, つまり「負けていない人・ものを嫌うこと」になる. もちろん実際に通用している「負けず嫌い」の意味は「負けることが嫌いなこと」でありつまりは「勝気なさま」であって, 「負けていない人を嫌うこと」ではない.

さて, 当然のごとくいろいろなところでこの件について論じられているようである.
自分で考える余地を残しておくため…より率直な類義語で置き換えるならば, 面倒臭いので…まだ真面目には調査していないのだが, 例えばYahoo!辞書の大辞泉では,
「負け嫌い」「負けじ魂」などの混同からか
とある. つまり誤用である. また,
「負けず」の「ず」は推量・意思を表わす古い表現である
という説もある. 「むとす」の類いであるとのことだが, それにしても「負ける」に推量・意思の意味をくっつけても「負けず嫌い」の意味は発生するようには思えない. 「負けようとすることが嫌い」ではおかしい. 単純に「強調」の意味である, という説もあるようだが, それにしても「負け」の方を強調する意味がわからず, 雑な説なように思える. もう一つ,
「ず」は「ず太い」などと同様の強調を表わす接頭辞である
という説もある. つまり「負け・ず嫌い」ということであろう. 個人的には二つ目の説よりもこちらの方がすんなり納得できるし, 非常に面白いとは思うのだが, 信頼には全く足りない説であろう.

ということで, 現在のところ結局一番目の「誤用説」が個人的には一番有力ではないかと考えている.

参考URL:
http://dic.yahoo.co.jp/bin/dsearch?p=%C9%E9%A4%B1%A4%BA%B7%F9%A4%A4&stype=0&dtype=0
http://homepage2.nifty.com/osiete/seito216.htm

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3 コメント

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やっと辿り着いた (sec)
2011-10-14 17:02:24
私(非常に負けず嫌いです)の人生では
この言葉を嫌な意味で浴びせられた記憶しかありません。
因みにあらふぉーです。
ですから実際他人に対してもそういうつもりで
使う言葉です。
特殊なのでしょうか・・・。

6年も経ってのコメントって見てもらえるのかな。
この角度で論じられているところに
ようやく出てこられました。
Unknownさんの感覚に一票です。
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…の嫌いがある (knaknak)
2005-05-05 20:45:38
の「嫌い」ですよね?



確かにこれで「負けない傾向にある」, もう少し歩み寄って「負けたくないという傾向にある」という意味になるかもしれないですが, この場合「その傾向は好ましくない」という含みが出るかと思います.

「負けず嫌い」には, 「負けず嫌い」であることが好ましくないか否かという主観は入っていないように感じます.
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Unknown (勝ちたいとこだわる傾向)
2005-05-05 10:31:02
「負けず」のきらい



とかどう?
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