今回は、去る4月25日に発売された書籍「モハようございます」についての記事です。
この本ついては既に以前の記事で触れていますが、今回は少々辛言を含め書いていきたいと思います。
この「モハようございます」は、私のサイトに日頃からコメントをいただいている、漣みさきさんから「線路配線図」に関連して取材を受けたということで、発売前から小耳にはさんでいました。
また発売に先立って人形町の鉄道風立ち飲み居酒屋「キハ」で行われた「お披露目会」にも参加させていただき、一足お先に立ち読みすることが出来ました。
その時は、中央総武線の配線図をはじめ、写真やイラストなども豊富で単に「面白そう」という印象でした。それから1週間ほど後にようやく現物を手し「単に面白い」だけではなく、共感できる点が多いものです。
まえがきにて、著者の吉田氏は
(前略・引用)
「確かに色々なメディアで鉄道が取り上げられ、多くの方が注目するようになったものの、まだまだ鉄道、そして鉄道ファンに対して色眼鏡で見ている雰囲気を感じるのです。ある書籍では『鉄分が多い』という表現を多く見かけましたが、確かに比喩としては面白いものの、やはり独特の世界というニュアンスを感じます」
(後略・引用ここまで)
と書いています。
これには私も同感で、特に「鉄分」云々の表現は、どうも好きになれないというか「私は使いたくない言葉」と思っていたものです。
また、女性の鉄道ファンを示す言葉として最近では「鉄子」という表現もよく見かけますが、これにも私は違和感を感じ、書籍などで「女性の鉄道ファンのことを鉄子と呼びます」などと定義されていたりするのを見ると「オイオイ。勝手な事を書きよって・・」と思ったりしたものです。
私は歌手の大塚愛さんのファンでもありますが、例えば
「女性の大塚愛ファンの事を愛子さんと呼びましょう」
などと定義したら違和感を感じますし、何かおかしいのではないでしょうか?
「鉄子」という表現が流行している間は、「鉄道趣味」やもっと言えば「女性の鉄道ファン」という存在が色眼鏡で見られている証拠ではないのかと思うのです。
昨今、「鉄道ブーム」ということもあり、「濃い鉄道マニア向けの専門書」ではない、鉄道関連本を書店などで見かけます。
その中でいくつか手にとってパラパラと立ち読みしてみるも、正直なところ「買いたい」と思うような内容ではありませんでした。
その中で今回の「モハようございます」は、「鉄道趣味の友人がインタビューを受け登場している」という点を割り引いた上でも、他の書籍とは一線を画した「久々に鉄道系の本の良書」に出会えたと感じました。
鉄道と鉄道趣味に関する色々な内容が、25章構成で掲載されています。
みさき氏の登場する22章「線路配線図」のみならず、興味深い内容がモリだくさんです。
第3章の「車止め」の項は、今まで『車止め』に注目してこなかったのが残念だった」と思うぐらい、色々なバリエーションがあることに気づかされました。
また第18~19章には、時代の狭間とセクショナリズムに翻弄され1987年に姿を消した、茨城県は筑波鉄道とそこで活躍していた旧キハ048など切ない話も語られています。
当初、断片的にうかがっていた内容では、
「最近の鉄道ブームに乗って(あまり鉄道趣味ではない)ライター氏が、色々な趣味人にインタビューをしてまとめた」
という印象を持っていましたが、実際に読んで見てビックリ。
著者の吉田氏自信、鉄道に対して一家言もっている濃い鉄道趣味人であり、どちらかというとインタビューよりも吉田氏自信の実体験によるものが、大半を占めていたというのは2度ビックリです。
こういう部分も前の方で書いたように、他の本と違いこの本を「面白い」と感じた理由の一つかもしれません。
所々に掲載されている4コマ漫画や挿絵に著者氏が登場しているのも面白いところですが、他のキャラ達もモデルとなる人物が存在しているのかも気になるところです。
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モハようございます
吉田一紀著
ISBN978-4-274-06718-1
1200円・オーム社
著者ブログ
「鉄道ブログ『モハよう de キハキハ』」
08/5/8 1:51UP