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韓国ドラマーdr.JIN(仁)完全版を見たよ(ネタバレあり)

先日、ツタヤで発見した韓国歴史ドラマ「Dr.JIN」
いわずもがな日本の村上もとか氏の漫画「仁」のドラマ化の韓国版。
第1巻を借りて見たら面白そうなので2巻以降最後まで借りて見ました。

今回はこのドラマについて、例の如くネタバレアリの感想を書きます(2012年のドラマでBSなどで複数回放送されているようなので)

実のところ日本版の仁はドラマを途中断片的に見ただけで大まかな部分しかわからないのですが・・・。色々検索すると韓国版の初回放送は著作権的に問題が発生し内容を追加修正して「完全版」となった模様。
検索情報では初回放送版では完全版では妹になっているミナが恋人の設定など少々違うようですが、完全版の「若くして両親を亡くすも二人で医学を志した兄妹」の方が合っているような気がします。



60分×24回(DVD12巻)の構成
韓国ドラマは50話超の長編が多いですが、このぐらいの長さだとまだ見やすいですね。

物語は現代の医者ジン・ヒョクが150年前の李氏朝鮮時代(1860年・咸豊10年)にタイムスリップ。
この時代、勢道政治で王を差し置いて政治を私利私欲の為に意のままに操る安東金氏(アンドンキムシ)一派とその中で目を付けられないようにならず者のように生きる王族の興宣君(後の興宣大院君・イハウン)がジンと出会う。

ドラマのメインはジン活躍と医術ですが、興宣君はそれに助けられる形で紆余曲折ありながら史実通りに大院君の地位に昇り詰めるという興宣君のサクセスストーリーがサブテーマのようなドラマ。

1860年頃にタイムスリップするのは日本版と同じですが、日本は江戸幕府が終焉を迎える幕末時代。一方で朝鮮王朝の終焉は1910年の日韓併合なのでまだもう少し先。ですが、朝鮮末期のこの時代は歴史的にも重要な時代。
ちょうど放送大学の「韓国・朝鮮の歴史」を勉強した直後だったこともあって歴史学習的な部分でも興味深いドラマです

「韓国朝鮮の歴史」では第10章、ジンがタイムスリップする1860年頃を近代の起点とし、天主教(カトリック)が朝鮮に伝わるも政府の弾圧、またフランスやアメリカの軍艦が出現するなど朝鮮は開化を迫られる時代背景がまず紹介されます。
この中で興宣大院君は衛正斥邪政策なる「天主教を邪教とし儒教(朱子学)を守る」政策により鎖国や攘夷を旨とする政治を行う一方で批判も受け、高宗の正妃となった閔氏により退陣させられる」というドラマの中の格好いいイメージとは逆に朝鮮の開化を遅らせた悪者のような印象を受けます。
これはドラマ中でもタイムスリップ前のジンが興宣大院君を「朝鮮の開化を遅らせた張本人だ」という発言などからもうかがえます。

一方で放送大学のテキストでは興宣君が息子を即位させ大院君となった経緯を

「1863年、第25代国王哲宗が死去すると、哲宗に嗣子がいないため、高宗が大王大妃趙氏の養子となり第26代国王として即位した~(中略)~のちに生父興宣大院君が実権を握っていった」

とあっさりと書いている部分の紆余曲折、当時実権を握っていた安東金氏(特にボスの左相のキムビョンヒ)との攻防の末に大院君に昇り詰める部分がこのドラマの中盤の主要な部分。
このドラマは安東金氏による勢道政治に終止符を打ち政治を王室に取り戻した興宣大院君の再評価が実は裏のテーマなのかなと・・。

ドラマの最終回の3分の1はジンが現代に戻った後の現代パート。正直最終回は消化不良感が強かったです。

約4~5年間の朝鮮時代の滞在から現代に戻れば病院から消えた日の4日後。
この中でジンが図書館で歴史書を読み「朝鮮の歴史が変わった」と呟くシーンがあります。ジンと大院君の出会いでどのように歴史が変わったのか紹介されていないのも疑問が残ります。開化政策も行い、閔氏に政権を取られることなく名実ともに朝鮮末期の名君になったのでしょうか。
他にも特にタイムスリップの引き金になった冒頭の「胎児型の脳腫瘍が摘出される消えた謎の男」は結局何だったのか今一つ不明瞭。現代でのチュノンなども・・
またフランス軍撤退後のビョンオクら安東金氏がどうなったのか?など、せめて「現代に戻ったジンが歴史書で知る形」ででも紹介して欲しかったです。このドラマではジン以外の周辺人物、大院君やヨンフィ、ギョンタク、安東金氏一派にもスポットをあて描いていただけに残念。
あと1話、せめて後20~30分ぐらいは欲しかったですね。

消化不良といえば、中盤で胸を撃たれて崖に落ちたヨンフィ(ヨンレの兄)がなぜか生還した件。ジン先生でも治療が困難そうに思えるも「山賊に助けられた」というだけ・・。ジンがこっそり治療していた風もなさそう。実は彼も未来で治療を受けたのか・・ここも謎が深まります。



最終回後半でジンが図書館で開いた大院君に関する歴史書の場面
これが読めれば「変化した朝鮮の歴史」が分かる!?

ドラマ中にジンが「150年後の未来から来ました」と言うシーンがありますが1860年の150年前はトンイや悪女チャンビヒンの時代(チャングムの時代は1500年代前半なので300年以上前)。1860年頃の人が知る150年前と今の我々が知る150年前の差を考えると「150年後の未来から来た」の言葉の意味の違いをも感じさせます。

タイムスリップ物の定番?「タイムスリップした主人公が歴史を変えることの是非への苦悩」これはこのドラマでも表現されていますが、最終的には歴史を変えて、元の世界とは少し違った世界に戻る形に。

またこれはドラマ中でだんだん明らかになりますが、単純なタイムスリップではなく主人公のジンが行ったのはパラレルワールドとしての朝鮮時代の模様。
後半で登場したジン姓の少年はジンヒョクの先祖ではなく、「朝鮮時代のジン少年」と「主人公のジンヒョク医師」の生死が連動して存在であるなど、少々複雑な設定になっています。

先に書いたようにこのドラマは主人公ジン以外の周辺人物も丁寧に描かれています。特に従事官のキムギョンタクは庶子の生まれで冷遇されつつも主君であり父である安東金氏のボスである左相のキムビョンヒに忠誠を尽くす真面目な男。このキムギョンタクの演技の上手さがドラマを引き立ててますね。ギョンタクを演じているのはキムジェジュンという日本にもファンが多い有名な韓流スターだそう。彼の他の出演作が気になりますね
 
ギョンタクとジンはヒロインのヨンレとの関係性、またジンが安東金氏と敵対する大院君と親しいこともあって特にギョンタク側からジンを嫌う敵対一歩手前の悪い関係性。ですが、主君に忠誠を尽くすギョンタクと人を救うという医者としての道に忠誠を尽くすジンどこか似た部分を感じます。
終盤ではギョンタクもそこは分かった上なのかなと・・。最後ヨンレやジンをかばい壮絶な死を遂げるものの、その直前ジンが恐る恐るフランス兵の銃剣を手に取りフランス兵を刺す場面、明らかな正当防衛とはいえ人を殺める戸惑いも感じる場面、身を挺して人を救おうとするギョンタクと人を殺めるジンの対比もまた印象的でした。

ちなみに「100日目の朗君様」の悪役もこの「Dr.JIN」の悪役も同じく左議政(左相)。左議政(左相)は、日本の時代劇の越後屋?のような韓国歴史ドラマ界の悪役の代名詞的なものなのかたまたまなのか気になります(๑´ㅂ`๑)




2021/4/4 00:11(JST)
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