この本は、タバコ煙が体に与える影響を絵や写真で詳しく説明しています。
おそらく、子供向けの喫煙防止教育のために出版されているのでしょうが
大人が読んでも十分な情報を得ることができる、とてもよくできた本です。
構成は、ビジュアル編と解説編から成っていて
ビジュアル編では、第1章 タバコの基礎知識、第2章 能動喫煙の害
第3章 受動喫煙の害、第4章 女性特有の喫煙の害が、絵や写真で理解できます。
かなり衝撃的な写真も多いのですが、これがタバコ煙が体に与える現実なのです。
解説編では、Chapter1 タバコの基礎知識、Chapter2 能動喫煙
Chapter3 受動喫煙、Chapter4 女性の喫煙、Chapter5 未成年者の喫煙、について
最新のデータを基に、詳しく、しかし理解しやすく述べられています。
妊娠中の女性が喫煙することによる胎児への影響は『四次喫煙』とも言うそうです。
とにかくよくできている本です。
御一読をお勧めします。
この本を読んで、もうかれこれ二十数年前に、大宮赤十字病院で聞いた話を思い出しました。
そこで聞いた話は、産婦人科の看護師長が、妊娠中の女性の喫煙について
歌手の研ナオコさんの妊娠中の喫煙を引き合いに
無理に禁煙しない方が、ストレスがたまらずに済むので
お腹の赤ちゃんもお母さんも、ゆったりした気持ちで過ごすことができる。
禁煙するとイライラして、お母さんの精神状態が悪くなり、赤ちゃんの発育にもよくない。
だから、今タバコを吸っている人は、無理をして禁煙する必要はない。
タバコでリラックスできるのなら、妊娠中にタバコを吸っていても良い。
そんな話でした。
この話を聞いた時、赤十字病院の看護師長ともあろう方が
お腹の赤ちゃんの発育より、たんにイライラするからというだけの大人の都合を優先することに
驚きを禁じ得ませんでした。
私は「ケッ」と思いながら聞いていましたが
周囲の多くの聴衆が「うんうん」と頷いている様子に
「みんな、こんな嘘っぱちを信じちゃだめだよ!
赤ちゃんは、大人の都合の喫煙で、苦しんでいるんだよ!」
と、叫びたい気持ちでした。
その当時、乳幼児突然死症候群(SIDS)のことが、ちらほらと聞かれ始めていましたが
まだそれが、妊婦の喫煙と深い関係があるという報告はなされていませんでした。
しかし、妊娠中の喫煙は低体重児が生まれる確率が高くなるというような話は
一般的に広く知られてきていました。
あの時、妊娠中の女性に禁煙を促さなかった看護師長は
まさか今でも同じことを言っているとは思えませんが、しっかりと学んでほしいし
とんでもないことを言ってしまったと、悔恨の念を持ってほしいものです。
私たちも、肩書きある方の発言の魔術に惑わされず、真実を学んでいきましょう。