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月華抄 北園俊治

北陸新幹線の、本来先行すべきであった新大阪開業につき、二案

2月17日拙稿 前提として
 
 何十回も申しているよう、古代以来、畿内と北陸道とは、一体的に、文化圏、経済圏を連綿と発展させてきた。今日においても、その特急街道を新幹線に移行させる形で、大阪方から着工するのが道理。
 地図を見よ。東から延びてきて、近畿の一歩手前の敦賀で止まるなど、滑稽。歴史的ナンセンス。


 
3月17日案

 
 僕も白紙撤回が妥当と考える。ナンセンス極まる現行案。なぜ、小浜やら南山城などを通す必要があるのか。また、丹波の長大トンネルの掘削、さらに洛中の地下を縦断するなど無謀この上ない。
 ローカルな自治体からの誘致の要望などいちいち聞き入れていたら新幹線などできない。主要都市を最短最速で結ぶのが新幹線の役割。そこから在来線等の乗継でアクセスを派生していく。それでも充分に効果はある。
 費用と工期を考えても、湖西線の高架に併設するのが最も効率的。近畿の通勤圏を含む湖西線の処遇は、地元の要望とJR西日本の意向次第で、法改正をして廃止(三セク転換)対象の併行在来線としない。そもそも、全国新幹線鉄道整備法の公布は半世紀も昔、古すぎる。
 京都には入れないわけにはいかない。山科で地上に出すのが難しければ、毘沙門堂の辺りの山の地下を通し、今熊野の山科トンネルを立体クロス、大谷高校のグラウンドの北辺の地下から、東海道新幹線と併行して地上へ。醍醐道は南に代替用地を買収して移設するか。そのまゝ鴨川を渡り、現行の新幹線ホームの南に併設。つまり八条口の再開発を伴う計画とする。
 京都駅は1面2線(上下)でよい。桂川までは、主に八条通に高架を通す。あるいは、道路の付け替えに伴う用地の買収は思案に含める。同様に、新大阪まで東海道新幹線と併行、所によっては二階建ての高架に。
 新大阪に地下駅を作る案も聞くが、他の新幹線との乗継を考えても、極力、現行のホームに並べるのがよい。宮原の在来線の車両基地の用地の一部を転用してはどうか。
 びしっと、大局からの判断で、より適切な案に改め決してもらいたい。

4月6日案

(毎日新聞経済プレミア)

 最もオーソドックスに、僕も、米原経由でもよりよいと考える。本来の北陸本線。かつ、指摘のとおり、現行の「しらさぎ」による名古屋圏からのアクセスも踏襲できる。
 米原・京都間は、東海道新幹線と併走する軌道を比較的敷設しやすい。京都・新大阪間でも、素人考えながら、前述のように、存外、ところどころ近鉄のような複層高架として、併設は可能ではと意見した。
 しかし、こゝはJR東海に一肌脱いでもらい、米原・新大阪間の線路容量を空かし、具体的には名古屋・新大阪間の「こだま」を減便して、北陸からそのまゝ東海道新幹線に乗り入れてしまう。すると、新大阪、京都、米原、どの駅にとっても、乗換はスムーズ。最も合理的で便利な方法。何より建設費は、他案と比較すれば極めて節約できる。
 そして、代替として、名古屋(一部は豊橋)・大阪(一部は京都)間に「こだま」に替わる在来線特急を新設してはどうか。683系を使った高速運転で差を30分程度に詰めるなら、割安な特急料金も伴って、一定の需要を見込めるのでは。この場合、特急料金の全額をJR東海の収益としてもよい。
 新幹線の方の収益配分は、熟慮を要するが、北陸方面と直通する利用者の運賃・料金は、米原・新大阪間についても、JR西日本とJR東海で折半してもよいのではないか。
 さらに、長期展望として、もしリニア中央新幹線を実現させるのなら、その大阪開業をもって、東海道新幹線も、在来線と同様に、米原・新大阪間をJR西日本へ移管する。運用形態としては、むしろ、JR西日本の北陸新幹線直通列車が主体となり、その中に、JR東海の東海道新幹線からの列車が乗り入れるという、およそ立場の逆転する形となる。
 かように展望するなら、尚のこと、米原・新大阪間は、無用に新線を敷設せずに、東海道新幹線に乗り入れ、リニア開通後の合理的運用を視野に入れてはと、僕も考える。
 そもそも、小浜から丹波を抜け南山城を通すなど、繰り返すが愚策も愚策。実現の意図が感じられない。JR西日本管内だけの収益にこだわったか、オラがムラに新幹線を、という田舎者的独善に過ぎる。新幹線とは、最短最速で主要都市間を結ぶのが使命。近隣には、そこから在来線等でアクセスを派生させていくだけでも、充分に効果はあろう、とは前述した。大局からみなくては。
 補足ながら、これも前述のとおり、整備新幹線についての法令を一部改正し、大都市近郊の並行在来線については、協議の上、廃止の対象としないこと。湖西にせよ、長浜方面の湖東にせよ、新快速で直結する京阪神の通勤圏となっている。

過去の拙稿
令和5年2月7日
 
 整備新幹線が開業、延伸する毎に、本来の鉄道網がずたずたに寸断され、鉄道文化が衰退していくように思えてならない。
 例えば、北陸新幹線の開業で、日本海縦貫線は機能を失った。近畿と、越後や出羽、津軽、さらに北海道を結ぶ、国鉄から引き継いだ大動脈を、かなぐり棄てたといってよい。特急「雷鳥」や「白鳥」、夜行では寝台特急「日本海」や急行「きたぐに」、新しいところでは、「トワイライトエクスプレス」など、需要の高い長距離列車は悉く廃止。現在、近畿から北国への旅は、およそ飛行機しか手段がない。東京圏という一点と新幹線で結び、その利権に与るために、他のいっさいを棄てたわけである。
 ときに、JR西日本は、大阪を拠点とする鉄道会社でありながら、昨今、見境がない。江戸に対抗し、伝統を守ってきた上方の矜恃も急速に失われていく。
 そもそも、新幹線網は、東京を中心として放射線状に全国の点とを結んでいこうとする、一極集中の構図そのものである。田中角栄の列島改造論よろしく、いかにも当座の高度経済成長しか眼中にない時代の、お上り政治家の考えそうなもの。地元と東京を結ぶことに夢中で、古来から受け継がれてきた交通網の全体へ視野が及ばない。
 また、整備新幹線の代償に、歴史的な交通網である並行在来線を廃止するとは、ビジネスライクにもほどがある。見直しを要すべきナンセンスな法。地域の本質的な鉄道網の破壊でしかない。毛細血管の流れを止め、地域という細胞を死に至らしめる。
 富を東京へ集中させる放射線状新幹線網は、今日ではさらにそこから世界のグローバル市場を支配する者へ富を吸い上げる機構に加担するものである。そのことの国家の欺瞞と愚策に気づかなければ。国土と人文を失う。


追記 6月20日


 何度も申すが、丹波の自然と洛中の地下を冒すルートなど無謀。どこのおバカが意地を張ってこんな案に固執しているのか。目先の工事の利権か。北陸本線本来の使途を継承し、米原・新大阪間を将来はJR西日本に移管する展望で、正統の米原ルートで再考すべき。
 愚論に時を弄するより、いっそ北陸新幹線は廃止してよい。今、金沢・敦賀間は、空気輸送になっておる。客が乗っていない。敦賀乗換の不便と料金増から、皆、高速バスなどに逃げていく。北陸本線の特急を復活する方が、遥かに利便がよく、鉄道利用と何より近畿と北陸間の古来からの往来が回復する。



 さすが、当選挙区でかつ鉄道通の前原氏、京都のことをようわかってはる。小浜ルートなど百害あって一利無し。丹波の自然破壊は京都府民が、洛中の地下を冒すなど市民が断じて許すまじ。天下の愚策。
 「地元選出議員のみで構成された与党PTにおいて密室・非公開でルートを決める対応からは『全体最適』の帰結は望めず、他地域の国民世論からも支持されない。」 
 まったく同意。与党の田舎議員と中央政界、及びゼネラルコントラクターとの利権の談合を勘繰りたくなる。無謀な計画には義を認め得ない。

追記 7月3日


 何度も申すが、JR東海がもっと融通を利かさなあかん。そもそも北陸本線は、近畿のみならず中京とを結ぶ幹線でもある。「しらさぎ」の役割を高速バスに移譲してよいのか。米原・新大阪間をダブルシステムに変換する工事を施しても、小浜ルートより遥かに工費も工期も要さない。また、時間当たり2本通すくらいのダイヤは許容されたい。
 さらに、これも重ねてながら、リニア中央新幹線開通後は、同区間をJR西日本に移管する展望も見据えたい。
 よんどころのない事情から分割民営化したとはいえ、まずは日本の鉄道の全体像を。自社の損得勘定だけでは何ともあさましい。

追記 7月28日


 筆者の主論とは別に、米原経由とした場合の、示された米原駅の構内改造案や試案のダイヤは、僕も考えつゝあったもので、大いに参考になった。
 しかし、やはり東京目線とあって、京都及び近畿のことをお分かりになっていないな、と。丹波の自然を切り裂くこと、まして洛中の地下水脈を絶つ工事、さらに京都駅の大深度工事など、いかに無謀か。その詳細は今は繰り返し述べない。自然を支配していくアメリカ式文明観の東京の方には、認識の及ばないのであろう。
 蛇足ながら、古代以来、自然と共生する日本的な文明観をもつ近畿とは、街の開発の仕方、それによる景観の違いにお気づきになるであろうか。東京圏は、山肌でも何でもすぐに切り崩して人工物で覆ってしまうが。
 さておき、小浜経由を支持される根拠に、
・整備新幹線の目的である「国土の均衡ある発展」
・北陸新幹線の整備目的のひとつである「東海道新幹線の代替ルートの整備」
 の二点を挙げられていたが、いわゆる整備新幹線法は半世紀も前に制定されたもので、根拠とする思想が前時代的に過ぎ、今日では蓋然性を認め得ない。
 前者については、過疎の解消に新幹線は必要条件なのかということ。逆に従前の交通が衰退し、そこに別の不便と過疎をもたらすのはすでに自明となりつゝ。
 後者は、リニア中央新幹線がだいぶ先の展望ではあるが代替となる。それに伴い、米原・新大阪間をJR西日本に移管し、実質は北陸新幹線と一体化し、北回りを強化する案は何度か申し述べた。

追記 8月14日


 端的に問題を整理されている。何度も申しているが、小浜ルートは、暗視野の田舎議員(与党PTとやら)の誇大妄想なのである。戦争末期の軍令部の、不謹慎ながら、特攻作戦と同じ。喩的にいえば、四半世紀以上も戦争を続ける前提で、利権を夢想している。ヤクザにも等しい。
 百歩譲って、小浜ルートを認めるとするなら、次の条件をクリアすべき。まず、最たる懸案の、開通までの期間の敦賀乗換の難を解消するため、大阪、名古屋と、金沢、富山との間の、在来線特急の復活…新幹線の本数を減らしても。次に、環境保全のための工法につき、信頼できる調査によるデータの明示。さらに、常識的な工期への短縮事業案と予算計上の見通し。
 以上の担保は最低限必要。しかし、現実には、画餅、となるに違いなかろう。
 田舎議員の独善ではなく、大局的に北陸新幹線の役割を見直すなら、まずは北陸本線の発展的代替ということ。前述のとおり、近畿のみならず中京と北陸との重要な高速アクセスを担う。「雷鳥」と「しらさぎ」の後継ということ。この伝統的な流通往来を衰退させて、「北陸」を冠する謂われはない。畢竟、米原ルートが道理に適う。
 次に、東海道の災害代替という役割は、リニアを実現するならそちらが担う。北陸に関しては副次的となるが、米原経由でも充分にその役は果たし得る。
 付言するなら、記事にあるよう、国鉄から継承した鉄道は私企業のJRの私物ではない。こちらも当座の暗視野な営利の都合で、鉄道の全体像を見誤ってはならない。再三、申しているが、JR東海が紳士的にJR西日本と計って、米原・新大阪間の乗り入れの技術的な可能性を検討すべき。また、繰り返すが、同区間は、リニア開通後はJR西日本へ移管すべきことも視野に。

続編はこちら
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