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月華抄 北園俊治

私たちの三次元空間は、二次元から投影された虚像なのか

NHKオンデマンド

 今回もまた、たいへん興味深かった。僕の理解の及ばず、誤りのあれば、お教え戴きたく。

 京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻物理学第二分野素粒子論研究室の橋本幸士教授のところに、山口まゆさんの扮する学生が相談に訪れる。
 進路の悩み。研究室に閉じ籠もらず、「現実」の社会に貢献するために、大学院進学をやめ、就職しようかと言い出す。
 君の言う「現実」は、虚像に過ぎない、と諭す、橋本先生。そこから、今回の話題が始まっていく。

 相対論者のホーキング博士のブラックホール熱力学によれば、ホーキング放射によりブラックホールは蒸発し、それと共に、ブラックホールに吸収された情報(物質)も消滅するという。
 これは、ブラックホール情報パラドックスとして物議を醸すことになる。
 量子論による物理学の原理を根底から覆すことになり、サスキンド博士とトホーフト博士は真っ向から反論した。質量が消滅するなど、あり得ないと。
 
 互いに譲らない両者を結びつけるために提唱されたのは、超弦理論(超ひも理論)であった。
 これは、素粒子を粒ではなく、弦の振動と考える理論である。つまり、時空の平面に振動として情報が作られ、時間の中に立体化して発現される。物体が事象の地平線を越えてブラックホールの中へ落ちていっても、二次元の情報は保存されているとする説。これは、ブラックホールが蒸発しても失われない。
 これによってもたらされた理論を、ホログラフィック原理と呼ぶ。
 相対論と量子論を結びつける理論であり、これによると、全宇宙は宇宙の地平面上に「描かれた」二次元の情報構造が本質であり、そこから投影されたものが三次元の像ということになる。

 そこで素朴な疑問の生まれる。この理論でいくと、私たちの三次元空間は、いわば二次元から投影され発現した虚像にすぎなくなるのではないか、と。
 しかし、これによって、ビッグバン以前の、超高密度の空間にこの宇宙の全ての物質が詰まっている状態や、ブラックホールの内部を構想できるかもしれない。

 これからの物理学の方向性を示す、新しい理論。ホーキング博士も認めた。
 「学生」の山口さんは開眼し、私、やっぱり大学院に進んで、ホログラフィック理論を研究します、と。めでたし。
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