第89回きのくに国語の会を2024年9月28日(土)に和大附属小オレンジルームで開催しました。
学生9名一般20名の計29名の参加がありました。
今回は、「説明的文章の教材研究会」として開催しました。
取り扱った教材は、次の6教材です。〇既存教材・◎新教材
1年生〇「子どもをまもるどうぶつたち」【説明文・東書】
2年生〇「あなのやくわり」【説明文・東書】
3年生◎「せっちゃくざいの今と昔」【説明文・東書】
4年生◎「風船でうちゅうへ」【説明文・光村】
5年生〇「弱いロボットだからできること」【説明文・東書】
6年生◎「「永遠のごみ」プラスチック」【説明文・東書】
希望をもとに7つのグループをつくり、まずは教材の読み合わせをしました。
その後、約50分の個人研究タイムをとったあと、グループで共同して教材分析シートの作成に取り掛かりました。
全体交流のあと、本会の須佐代表より全体講評がありました。
参会者の振り返りコメントをいくつか紹介します。
【振り返り】
・普段、教材を読み合わせすることはないので、なんだか新鮮でした…。先生方の音読を聴く機会がないと、読みが独りよがりになります。普段一人きりで教材研究をするので、物語文や詩や短歌、俳句など、読み合わせに付き合ってもらっても面白いなと思いました。みなさんと教材研究ができて、楽しかったです。
・新教材の理解が深まりました。 自分にはなかった言語活動の例をグループの先生方と考えることができて嬉しかったです。
・アイスブレイクで教材の読み合わせをした時点で教材の構想に気づくことができ、終始楽しく分析できました。また、単元構想もそれぞれの見方があり、深めながら構想することができました。子どもを想像しながらだったので、支援の必要な子も想定しながら詳しく話すことができました。
・教材研究を複数の先生と出来たことがとても楽しく、学びになりました。ノートの使い方や指導の進め方などたくさんのアイデアを教えていただけたので、引き出しが増えました。
・教材研究を教材の価値や教材の内容から考えることは少ないので、深く読む機会になりました。 また、指導事項は教科書の見開きページに書かれているものがメインにならない(サブの指導事項)こともあるので、よく読んで理解することが大切だと気付くことができました。
・個人で考える時間を十分に取っていただいていたので、それをもとにグループで話すことが出来てよかったです。盛りだくさんすぎず、じっくり考えることができました。
・本日は貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました。自分一人では到底思いつかないような、言語活動のアイデアや教材研究のポイントを学ばせていただきました。中でも、(今回自分たちが扱った教材は、説明文ではあるものの)筆者の心情に着目することで読みが深まるということが印象に残っております。
・3学期の説明文教材の教材研究をすることができたので、すごく有難かったです。 一つの教材について、複数人で多角的に教材研究することができたので、自分にはなかった発想やアイデアを頂けて参考になりました。 ありがとうございました。
・教材の価値を考える時に、この教材でどんなことを学ぶことができるのかを考えるだけで時間が過ぎました。今回のように、複数で考えることで研究の意味が生まれるのだと感じました。また、実際に授業する時に、このような学びの時間があると嬉しいと思いました。
・グループで話し合う中で、説明文はやっぱり難しいなと感じました。付けたい力だけに焦点をあてると内容や筆者の伝えたいことが弱くなり、子どもたちの意欲とは合わなくなるからです。また、内容にせまると付けたい力が曖昧になってしまいます。授業者が付けたい力を意識して単元構想をして、授業をしていかなければいけないなと勉強させていただきました。 ありがとうございました。
・新教材を教材研究できたこと、説明文を系統的にみることができたことなど、学びが大きい研修でした。一人の教材観、授業観ではなく、グループで交流できたことで、より深い理解につながったと感じます。個人的には、3年生のグループが二つあり、比較しながら聞くことができていて羨ましいと感じました。自分たちの教材も2つグループがあったらいいのにな…と。 研修を企画してくださった先生、素敵な研修をありがとうございました。
・非常に学びの深い良い研修になりました。個人研究では、集中して落ち着いて教材に入り込むことができました。またグループ研究でも、若い大学生の柔軟で新しい考えを教えてもらえる良い機会になりました。教材にゆっくりと丁寧に向き合える時間になったことも非常に良かったです。月曜日からも子供たちと楽しく一緒に国語の授業を作っていきたいです。
・グループ研究では、大学生の方が教育実習に行って実践された教材だったため、その時の授業の様子を聞かせてもらったり、難しかったところについて再度検討したりしました。先生にとっては、新教材で、これからする教材。実習に行かれた学生さんにとっても、実践を通して学んだことを話せるいい機会だったように感じました。ありがとうございました。
・説明文教材の研究の仕方を学ぶことができました。 読んだことのない教材でしたが、知らないからこそしっかりと教材を読み取ろうという意欲が湧いたように思います。 また、1人だったらどのようにして教材研究をすれば良いのか分かりませんでしたが、今回グループで研究することで自分の学びにもなり、他の先生方の言語活動の案や指導事項と照らし合わせることの大切さも学ぶことができ、非常に有益な時間となりました。ありがとうございました。
・今回のきのくに国語の会で、私は3年生教材の『せっちゃくざいの今と昔』についてグループで教材研究をさせて頂き、大きく2つのことを学びました。1つは、段落のまとまりの捉え方です。文章を始め・中・終わりに分けたうち、中を更に3つに分けることに難しさを感じる子どもの姿が考えられるという意見がありました。そこで、段落ごとの内容を要約したものをタブレット上の付箋に書き、パズルをするように付箋を動かし段落の繋がりを考えながらまとまりを捉えるというICTを取り入れた授業の工夫を教わりました。その中で、段落の繋がりを考える際に重要なものは接続語であるという話がありましたが、接続語だけに注目するのではなく前後の段落で重要となるキーワードを捉えた上で、その内容に繋がる接続語であるかを子どもが判断し理解できるよう指導する必要があると学びました。そのためには、各段落の要約が大切であると話し合うことができました。2つ目は、先程述べた要約についての学びです。子どもたちにとって、要約するにあたって難しさや要する時間などに個人差があると考えられることから、まずは興味をもった段落を要約するというように、一斉で取り組むのではなく自由進度で学びに向かう授業スタイルの良さを教わりました。興味のある部分に目をつけることで、分からないワードやもっと知りたいことを自ら調べることにも繋がり、主体的な学びになると気づくことができました。これらのような接続語に注目したり要約したりする力などは、1つの単元だけでは身に付かないため、年間や学年間の繋がりを意識した授業を行う重要性を教えて頂きました。須佐先生のお話から、「教材の価値」は、①子どもたちの興味・関心に関するものと、②その教材でこそ学べる指導事項の2つの側面があることを学びました。また、クラスの子どもたち実態によっては、メインの指導事項を変更する必要があることも教わり、子どもの姿を捉えた授業作りがいかに大切かを知ることができました。今回の研究会で得た学びを、将来に繋げたいです。貴重な機会に参加させて頂き、ありがとうございました。
・今回のきのくに国語の会では、説明的文章の教材研究について多くのことを学びました。その中で、須佐先生の「主となる指導事項は目の前の子どもたちの実態によって変更することがある」という言葉が印象に残りました。その言葉から、3年生教材『せっちゃくざいの今と昔』では、要約だけでなく、接着剤の今と昔を比較したり、なぜ昔の接着剤が今も使われ続けているのかという因果関係に目を向けたりすることも改めて大切だと気付かされました。このように、教師が教材から引き出せる力を多面的に捉えることで、児童に適した力を養えることを学びました。また、グループ研究の際には様々な活動を挙げていく中で、やはり言語活動を通して児童に本当に必要な力が身につくかどうかを十分に考える必要があると考えさせられました。現場の先生方からは、活動が子どもの負担にならないか、適切かどうかを見極めることも重要であるという現実的な意見もありました。これにより、教師は計画段階で活動のねらいや育てたい力を明確にし、指導方法を練り直すことの重要性を再確認しました。
・今回の会を通して、説明的文章の教材研究の面白さを知り、今後の国語教育に役立つ多くの視点を得ることができました。普段は物語中心の研究を行っているため、説明文に目を向けることが少なかったのですが、今回の経験でその価値を深く理解することができました。本日もありがとうございました。
・今回の研究で、現職の先生方の授業展開の話を詳しく聞かせて頂きました。また、私が分からなかったことを詳しく教えて下さった為、国語教育への関心や興味などがますます高まる機会となりました。アドバイスや私の改善点なども、先生から直接ご指導いただき、非常に貴重な経験になったとともに、私自身の向上に繋がる大切な機会となりました。
・先日の説明文の教材研究で私は、4年生の教材「風船でうちゅうへ」という教材を希望しました。希望理由は、こちらの教材は読んだことがなく率直に題名が面白そうでどんな教材でどんな学びができるのか知りたいと思ったからです。現職の先生方・4年生の先輩方と協同して教材研究を行うことで得ることができた学びは大きく2つあります。一つ目は、須佐先生にお話いただいた教材研究を行う順番です。私はこれまで「教材研究」とはどうして行えばよいのかが分かっておらず、模擬授業や小学校実習の中で授業を作ることに苦労した経験がありました。しかし、先日のきのくに国語の会では、『教材分析シート』というワークシートを使いながら、「教材の内容・教材の価値・指導事項・言語活動の順番で行うことが大切であると学びました。また、指導事項から言語活動へ進む際、言語活動を考えた後、本当にその言語活動で指導事項が学べるのかと指導事項へ戻ることも非常に大切であることを学ぶことができました。二つ目は、一つ目に学んだことと少し内容が被りますが、「工夫」と「効果」はセットであるということです。私たちは「風船でうちゅうへ」という教材の価値を考えた時、この教材は筆者が実験した本人であり、説明文なのに心情を表す言葉が登場するという工夫に対して、その工夫で期待できる効果は、読み手がもっと読みたいと思えることや、わくわく感を感じることができるのように教材に施されている工夫には必ず何かの効果がついてくるということに気づかせていただきました。それに気付くとどんどん教材に対する理解が深くなり、どの指導事項でどんな言語活動を行うのが良いのか考えやすくなったように感じました。さらに、何人かのグループになって同じ教材を研究することで、教材に対する理解が深まるだけでなく、一人ひとり着目した点が違うと新たな気づきや学び、疑問等が生まれ、質の高い授業作りが行えると感じました。今回一緒に教材研究をしていただいた4年生の先輩方や現職の先生の考えを聞き、自分にない視点から教材を捉えていること、そこから指導事項と関連させた言語活動の案にすごく刺激を受けました。自分自身も大きく成長することができた日になったように感じます。貴重な機会に参加させていただきありがとうございました。