父が亡くなってから20年は母と二人暮らしでした。
85歳になった母は、すっかり体力は衰えましたが
気持ちはしっかりとしていました。
10月頃でしたか、いつもヘルパーさんに体を拭いてもらっていましたが、
何を思ったのか私の留守中に風呂に入っていました。
帰宅したときに知らされましたが、風呂から上がるのに
6時間ほどかかったそうです。
私の家の風呂は浴槽が深く、一度は段を付けたのですが…
手すりも無く、10月の事ですからさぞ寒かっただろうし、
手を差し出すだけで簡単に入れた物をと
気持ちがそこまでさせるものかと驚きました。
そんなわけでヘルパーさんに手伝ってもらいながらも
何とか暮らしていましたが、良く私が側にいるのに、
私を探していました。
これは私の想像ですが、母が世話をしていた私と
今の私と区別がつかなくなったのだと思います。
こんな事も有りました。
亡くなる三日前の朝、いつものように母の寝室に入ったとき
物も言わずじっとしていました。
私が不思議そうにしていると、
「私が死んでもあなたは泣かないねえ」と試されました。
それから三日後の朝に静かに永眠しました。
90歳と7ヶ月。
山谷がありましたが、結局は幸せな人生であったろうと思っています。
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