今後、本などの感想を書くにあたりネタバレも含みますので、お読みになる場合はご注意ください。
あと、感想文って苦手なので思ったことをつらつらと書くので読みづらかったらごめんなさい。
去年の何月だっただろうか?所用の帰りに立ち寄った本屋さんで
懐かしの小説フェアのようなコーナーができていて目についた文庫本
山本文緒作「プラナリア」
プラナリアとは扁形動物の総称で体長は20~30ミリメートル
渓流などに住み、再生の実験によく使われるとのこと。
体を3つに切ってもまた3つに再生するらしいです。
写真で見ましたが意外と可愛かったです。
プラナリアは2001年に直木賞をとった作品で、山本さんの本はこの時初めて読みましたが
読後感は悪いのに、どこか引き込まれる魅力があって
この本をきっかけに、その後山本文緒ワールドにどっぷりつかりました(笑)
確かプラナリアは単行本で買ったはずですが、もう手元になかったので再度買って読んでみました。
短編なので比較的読みやすいと思いますが、内容はかなり重いです。
主人公の女性は、24歳の誕生日を迎える1か月前に乳がんで右胸をとっています。
20年ほど前に読んだときは主人公の春香の性格が好きになれず、感情移入できずにいた小説ですが
今回久しぶりに読んでみて、確かにお友達にはなりたくないタイプだけれど共感できる部分も結構あって
私もこの20年いろいろ経験して、考え方や見方が変わったんだなぁ…なんて思いました。
春香は入院先で知り合った美しい女性(永瀬さん)に「うちのお店で働いてみない?」と誘われ働き始める。
ある時永瀬さんとご飯を食べに行くことになって、その時の会話の中で
春香が「次に生まれてきたらプラナリアになりたい」と言ったことに対して永瀬さんの答えは
「やっぱり、次生まれてくる時も私は私がいいな」と言われ
その時春香が思ったことは、
それはよほど今までの人生に恵まれてきたか、そうでなければ、ただのきれいごとに私は聞こえた。
そして「うさんくさ」と永瀬さんに対して感じてしまった自分に嫌悪感が襲ってくる...
↑
私も春香と同意見だな。
そして春香と同様そんな自分に嫌悪感を感じるのも一緒だ。
私は生まれ変わりは信じていないですが、もしも生まれ変われるなら猫がいいなー
猫の自由気ままなところや、涼しい場所や暖かい場所を見つけるのが得意なこと、しぐさのひとつひとつが可愛い💕
この作品は1999年7月に書かれたものなので
「がん」という病気への理解もまだまだだったのだなあということを痛感しました。
今だったら悪いところを切って治療したら終わりなんて認識ないと思うんですが?
その後も再発や転移の不安を抱え、検診も続くわけで...
春香にとって「乳がんが唯一の持ちネタなんです」と言うあたり
痛々しいというか...
恋人はもう治ったんだから甘えるなよと言うあたりも、なんかやりきれないなあって思いました。
やっぱり読後感は悪かったかも?
次回は同じく山本文緒作「無人島のふたり」の感想を書いてみようと思います。