散歩の途中、道端に座り込んで写真を撮っている観光客がいた。
カメラの先にあったもは赤い灯籠をぶら下げたように見える
「トウロウソウ」とも呼ばれるベンケイソウ科の
「セイロンベンケイ」。
原産は南アフリカであるが、熱帯地方各地に帰化して、
日本では沖縄や小笠原諸島で見られる。
小笠原諸島の父島では至るところに繁茂して現地の
固有植物相を阻害しており、侵略的外来種としてギンネムとともに
問題になっている。
明治後期、南洋航路の中継地だった父島に南洋から園芸種として
持ち込まれたものが野生化して父島に生息している
固有種数種類を駆逐してしまったそうだ。
灯籠のように見えることから「トウロウソウ」とも呼ばれているが、
土の中に埋めたり水がある皿につけると葉から芽が出る無性生殖の
性質を持つ植物でもあることから「ハカラメ」(葉から芽)
「マザーリーフ」「コダカラソウ」とも呼ばれている。
生命力が強く妊婦を出した家から葉っぱを分けてもらうと
「子宝に恵まれる」という迷信もある。
観光客の人が興味深そうに写真を撮って眺めていたので、
おせっかいとはわかっていたが一通りの説明をしてしまった。