昔、下地島の通り池の近くの木泊村に住む漁師が、
頭が人間で体が魚のユナイタマを釣りあげた。
珍しいこともあるものだと、漁師はユナイタマの半身を切って
近所の人に配った。
夜中になって近所の子供が急に泣き叫び出した。
母親が怪しく思っていると、海の彼方から
「ユナイタマよ、帰っておいで」という声が
聴こえてきた。
一方島の方からは「私は体の半分が食べられて
しまったから帰れません」と声が聞こえてくる。
すると海からは「それなら大きな波を送るから、それに乗って
帰っておいで」と声がした。
下地島にいてその声を聞いた親子は震え上がって、
命からがら伊良部島へと逃げた。
そのあとすぐに島に大津波が三度押し寄せて、
下地島の村は全て波に飲み込まれてしまった。
通り池はその大津波でできたものだと伝えられている。
通り池の近くに「津波岩」がある。
観光名所のひとつとなっていて「帯岩」と呼ばれている。
高さ約12、5m 周囲約59m 重量は2500トンとも2万トンともされる。
海岸からは約50m離れた高さ13mの崖の上に位置している。
巨石信仰、民間信仰の対象であり、大漁、航海安全、家内安全の
祈願が行われる。
この岩は1771年の明和の大津波で海底から打ち上がった
岩とされ、津波岩としては世界で最も重いとされている。
地元ではユナイタマの津波で打ち上がったと伝えられている。