真剣道外伝★無端晟輝の残日録

真剣道・基道館宗師範の残しておくべき余談集

全日本居合道連盟近畿地区 昇段審査会

2019年03月05日 | 無双直伝英信流
堺市大浜体育館で昇段審査があった。
もう30回行った勘定になる、月日は過ぎてゆく。

今回はフィンランドからヤルノさんが婦人とともに来日した。

この昇段審査で初段を受けるためだ。

1昨年来日の折、基道館浮雲曾に入門し、師匠である有砦齋と動画のやりとりを頻繁にやって、学科試験は日本語で書くという熱の入った修行をやってきた人だ。


フィンランドでも居合を習いたいと地元のセンセイを訪ねたら、「正座ができないと居合は無理」とことわられたらしい。
世間が狭いセンセイもいたもので、正座ができなくとも居合はできる。

事実、ヤルノさんは大日本抜刀流で試験を受けた。
もちろん、腕が立ち頭の切れる有砦齋は事前にヤルノさんが膝を壊していて正座ができない、ということを連盟に相談し、了承を得ていた。


着替えをしたヤルノさんのスーツの襟には誇らしげに基道館バッチが光っていた。




フィンランドから仕事を休み、婦人とともに来日すると言うことは金銭的にも肉体的にも大変なことだ。
試験のためだけに来た。どんな熱意だろうか!


会場で、よその道場の方がヤルノさんに質問していた

「どこの国の方ですか」

「フィンランドです」

「仕事は大阪ですか」

「いえ、フィンランドです」


「えっ、じゃあ居合の稽古はどこでやってますか?」

「フィンランドです」

「???????」

「この試験のため来日しました」


それだけの値打ちのあるのが居合ではないか!

ヤルノさんの負託に応えるためには基道館一同がますます居合を深めてゆき、世界中から習いたいという方があれば「受ける」実力を備えよう


5月にはドイツからゲンゲさんが6段を受けに来るから、基道館という道場に所属する誇りを抱いて帰国できるように、日々怠るまいぞ!


ヤルノさんは難行道である真剣道を選んだ、もちろん縁というものは存在する。人は同じ熱いものを持った人に寄り添うものだ。
こういう話しを付け加えておこう

昔、新入社員に人事担当が希望を尋ねた

「どんな部署がいいですか」

「できるだけ難しいところにしてください」

「どうしてですか」

「後が楽ですから」

この新入りこそ後の阪急グループの総裁 小林一三氏の若き日である。


マタイ伝

狭き門を通って入りなさい、滅びに至る道は広く、大きい、それを通ってゆく人はおおいからです。一方いのちに至る門は狭く、その道は狭められていて、それを見いだす人は少ないからです。