<ユダ裏切ってない?1700年前の「福音書」写本解読
米国の科学教育団体「ナショナルジオグラフィック協会」は6日、1700年前の幻の「ユダの福音書」の写本を解読したと発表した。
イエス・キリストの弟子ユダがローマの官憲に師を引き渡したのは、イエスの言いつけに従ったからとの内容が記されていたという。
解読したロドルフ・カッセル元ジュネーブ大学教授(文献学)は「真実ならば、ユダの行為は裏切りでないことになる」としており、内容や解釈について世界的に大きな論争を巻き起こしそうだ。
13枚のパピルスに古代エジプト語(コプト語)で書かれたユダの福音書は、「過ぎ越しの祭りが始まる3日前、イスカリオテのユダとの1週間の対話でイエスが語った秘密の啓示」で始まる。イエスは、ほかの弟子とは違い唯一、教えを正しく理解していたとユダを褒め、「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になる」と、自らを官憲へ引き渡すよう指示したという。>
新約聖書で語られるユダは、己が師をローマの官憲に売った(事前に金銭を受け取って)守銭奴であったとされているが、
わたしは常々、この人の人となりを考えていたが、引用にあるように、この弟子ユダこそ、
卓越していたイエスのもたらした、純粋なキリスト教思想を理解し、忠実にイエス先生の言いつけを
守ったできのよい弟子であった、というこの引用記事に賛同したい。
ユダは裕福な資産家の家に生まれ、経理に明るかったと言う。イエス先生に弟子入りしたときから、
その経理キャリアを生かし、イエスを中心とする新思想研究グループの財務、経理を担当していた。
吝嗇家で合理主義者だったが、イエス先生のなされる数々の奇跡に魅せられ、先生を神格化し、
その思いは崇拝へと高まったのだろう。
先生ならたとえ十字架に架けられても、全能の神の力を揮わば、官憲の100人1000人など蹴散らして
ご自身を解放されるはずと、確信していたのかも知れない。
イエスがメシアとして、十字架にかかるその聖なる目的を、漠然としながらも理解していたのはユダひとりだけだった。
慧眼なイエスは、優等生で万事そつのない、ヨハネやペテロ以上に、このユダを高く買っていたのだろう。
イエス命と崇めるユダは先生が人の子として十字架上で刑死し、のち栄光に包まれて蘇られたことを知る前に、
己が罪を悔い、その汚辱に塗れたお金を投げ捨て縊死した。
イエス先生に、引導を渡す(佛語ですが)ことになったユダにとっては、カルバリオの道を経て、13日の金曜日ゴルゴダの丘で
刑死に到るまでのイエス先生の、受難にも匹敵する地獄の責め苦だったことだろう。
他の11人の弟子だって、時は満ちて、いざ鎌倉へ(奇妙な比喩ながら)となった途端にイエス先生を見捨てて
保身に奔走したのだから、ユダひとりを裏切り者として、断罪することはできないはずである。
イエス在世、3世紀ほど前の中国の大思想家孔子の子孫、だと言う人が
つい最近、スタジオでNHK-TVのゲストインタビューを受けていましたが
この引用の通りだとするなら、ユダの係累子孫の方々も、ご先祖ユダの冤罪が晴れた喜びに
浸るに違いない。
さて冤罪が晴れたとして聖者殺しのカルマはどの方が負わされるのかということが次の焦点になりそうですね。
史実は小説よりも奇となるか。