#11: 四月の想い出

2008-04-23 | Weblog
やせっぽちのバド・アボット(Bud Abbott)と太っちょのルー・コステロ(Lou Costello)の凸凹コンビによるコメディはシリーズで30作以上も製作され、そのうちの20本程度が日本でも公開されたそうだ。
ギャグの面白さに加えて、音楽ファンにも受けるような趣向が凝らされていた。
当時の人気歌手やバンドが出てきて、歌や演奏を披露するシーンが用意されてあったからである。


1942年の『凸凹カウボーイの巻』(Ride 'Em Cowboy)という映画にはエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)が出演して、彼女の最初の大ヒット曲“ティスケット・タスケット”(A Tisket, A Tasket)を歌って好評を博した。
そしてこの映画の主題曲というのが、今回の独り言の“四月の想い出”(I'll Remember April)である。
作詞はパトリシア・ジョンストン(Patricia Johnston)とドン・レイ(Don Raye)の共作、作曲はジーン・デ・ポール(Gene De Paul)。

(歌詞の大意)

この素敵な日ももう夕刻
二人の別れを嘆くことにしよう
二人で歩いた道を一人たどれば
私は四月のことを思い出す
かつてあなたが私を愛してくれた四月
温かな唇と新しい愛と春
秋の寂しさなど怖くない
だって四月とあなたを思い出すんだもの

映画は凸凹シリーズの中でも傑作の定評のある作品である。
しかし、何せ西部の荒くれ男どもを相手にアボット=コステロの凸凹カウボーイがロデオ騒動を起こすというドタバタ喜劇の主題曲というのが、ややエキゾチックな風味の旋律をもつ実に美しいバラードであるということが既におかしかったりするのだが…

♪ ♪

例によって、私のコレクションをひっくり返してみると、

Bud Powell/Bud Powell Trio
Erroll Garner/Concert By Sea
Sonny Clark/Sonny Clark Trio
Clifford Brown & Max Roach/At Basin Street
Miles Davis/Blue Haze
The Modern Jazz Quartet/Concorde
Sonny Rollins/Live At The Village Vanguard
Sonny Stitt/With The Oscar Peterson Trio
Sarah Vaugahn/Live In Japan
Carmen McRae/The Great American Songbook
ほかにもありそうだが…

この曲、実はワンコーラス48小節という変化球の1曲なので、圧倒的に器楽演奏者に好まれているようで、My Collectionも結果その傾向を表しているようだ。
ところで、私の四月ってどんな意味があるのか、つらつら考えてみたら、誕生月でもあり、つまりは誕生、入学、進学、就職など人生の大きなイヴェントの多くは四月の出来事であった。
したがって、私にとって、四月とは人生で大切な人々と巡り会わせてくれた月ということにしておこうか。

♪ ♪ ♪

そしてこの四月に知った?真実の1句

「自転車は後ろ向きでは走れない」(蚤助)


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1 コメント

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I'll Remember April (ただの蚤助)
2008-04-23 23:30:25
映画「凸凹カウボーイの巻」の監督はアーサー・ルービン(Arthur Lubin)。特別出演のフィッツィ(Ella Fitzgerald)は"I'll Remember April"も歌っているとのこと…?(実はアボット=コステロのコメディは数本見てますが、この作品は未見なのでした。)とすると、この曲を創唱したのはEllaなんですね!とあらためてナットク…
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