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随思録

日々思うことを記す。

6/30 ローマ(ヴァティカン市国)

2011-07-22 00:11:50 | italia
今日も朝から迷子でした。

サン・ピエトロ大聖堂とヴァティカン博物館を見るために、テルミニ駅前発の観光客向け急行バス(40番バス)に乗る。
これが地元の通勤にも使われているらしく、車内は大混雑。
埼京線なみの鮨詰め。
これじゃあスリも働けないだろう。


終点で降ろされ、運転手に「サン・ピエトロ?」と聞くと、そうだ、と答えてさっさとバスを動かしてしまう。
何の表示もない場所に放置される。
まごまごするうちにほかの観光客はどこかへ消えてしまい、ともかく適当な方向に歩くと、大きな建物と、そこから一直線の道路で結ばれたきれいな建物が。


きれいな建物の写真を撮り、あっちの大きな建物がサンタンジェロ城だとあたりをつけて、近くにあるはずの大聖堂を探すが、それらしいものが見つからない。
30分ほど徘徊した後、車を路上駐車し居眠りしていた警官のお兄ちゃんがいたので、ノックして起こし尋ねる。
するとどうやらホテルと同じように、間違った区画を探索していたようだ。
指示どおりも進むと、最初の光景だ。
あのきれいな建物がサン・ピエトロ大聖堂だったのか……
がっかりしながらサン・ピエトロ広場へ。


時刻は10時半。
開館の9時には入り口で待つつもりが、すでにサン・ピエトロ大聖堂前にはかなりの行列が。

先にヴァティカン博物館を見学することにし、サン・ピエトロ広場から外壁に沿って横に伸びる通り(V. di P.ta Angelica)を抜け、角を左に曲がると、こちらもすでに行列の最後尾がここまできている。
500mほどの長さだろうか(地図で確認するとそれくらいの長さ)。
ここから2回角を曲がり(右、左)、200mほど歩いてようやく入り口なのだが……
先頭まで行って確認してみるが、予約のないやつは並べ、の一点張り。

どうやら入場は予約ありか、予約なしかで分けられており、ツアーも個人も予約なしはまとめて並ぶようだ。
ともかくツアー客が大挙して押し寄せている。
午前中はこの調子だろう。
予約がおすすめとガイドブックにあったが、まさかこれほどとは。

サン・ピエトロ広場に戻る。
11時すぎ。
大聖堂前の列は増えても減ってもいない。
昼時になれば減るのではないか……そう推測し、写真を撮ったり、オベリスクの傍らに腰掛けたりして時間を潰すと、列が増えなくなり、徐々に短くなった。
よし、と並ぶとそれほど待たずに大聖堂へ。

入り口脇でオーディオガイドを借りる。
すると「博物館(museo)のチケットがあわせて14ユーロだけど、大聖堂(Basilica)しか見ないのか」とブロークンイングリッシュで聞かれる。
(なんと、ここでもヴァティカン博物館のチケットが買えるのか)と喜んで購入(しかし、これは大きな勘違いだった)。


サン・ピエトロ大聖堂は、入った瞬間の衝撃がすごい。
これは法王にひざまずくのもわかる。
壮麗、という言葉が浮かぶ。
まるで宇宙の中心にいるような感覚。


ピエタは、目に入った瞬間、目頭が熱くなった。
何かを感じたのか、ついにあのピエタを見たという感激なのか。

サン・ピエトロ大聖堂の見学を終え、これはローマに来た甲斐があったと、充実した気分でいたが、次のヴァティカン美術館でそれが雲散霧消する。

足取りも軽く、サン・ピエトロ広場からヴァティカン博物館入口へ。
警備員にチケットを見せ、チケットあるよと言ったら、笑われて、列に並べとジェスチャー。
態度悪い。

現在、12時半すぎ。
このまま並ぶのもシャクなので、昼食をとって時間をずらしてみることに。
入り口近くにピッツェリアがあり、さっき通りすぎたとき、テラス席でおじいさんがビールとマルゲリータを食べていて、1人でのんびりしている様がひどく格好よかった。

来店すると1人のうえ外国人のためか、階段の下でトイレの前というかなり悪い席に通される。
これだけでも腹立たしいのだが、メニューをもらって、ドリンクがvino(ワイン)ばかりで戸惑っていたら、給仕が「コーラ? スプライト?」と何度も繰り返し注文を求めた。
ウエイターも男には愛想がない。
これには参って仕方なくコーラを注文。

ピザは私的定番のquattro formaggio。
これをイタリア人は1枚まるごと食べるようだ。
量が多い。
ピザはローマ風で普通の味だが、これがコーラとは異常に合わない。
必死に流し込んだら、追い出されるように皿が片付けられる。
しかもピザとコーラで20.5ユーロという勘定(コペルト=サービス料も加算される)。
まあ名所近くにあるからだろうが、この味で20ユーロならもう2度と来ません。

13時少し前に店へ入り、13時半ごろ食べ終わって店を出た。
すると店の前の行列が嘘のように短くなっている。
素早く並ぶと、列は順調に進み、30分ほどで入り口に。

さて、並びながらガイドブックを再読し、ヴァティカン博物館について直前の復習を行っていたら、驚きの事実が発覚した。
実はサン・ピエトロ大聖堂には、付設の博物館(museo)があるというのだ。
ガイドブックには“宝物館”と表記され、チケットとともに渡されたリーフレットには“歴史美術館”とある。
つまりヴァティカン博物館とは無関係……でも笑うことないだろ。





14時ごろ入場。
ともかく広い。
展示品が多い。
最初のうちはこまめに見ていたが、とても追いつかないので、ガイドブックに取り上げられているものを確実に鑑賞することにした。


ラオコーン、予想以上にウネウネしてました。
きっと大理石の質感がそう見せる。


ラファエッロの間は順路の終盤にあるので、多大な展示品を見続けたため集中力が低下し、気づかず通り抜けようとしてしまった。

ヴァティカン博物館は、基本的に展示品の撮影が可能。
ただしフラッシュ禁止。
例外がシスティーナ礼拝堂で、ここだけは全面撮影禁止なのだが、ほとんどの人は無視して撮影。
しかもフラッシュたきまくり。
警備員も諦めているのか、何も言わない(さすがに目の前で撮ると、一言言っていた)。
また礼拝堂なので静粛にするのが礼儀なのだが、みんなお構いなしに話している。

「最後の審判」を鑑賞する。
ラファエッロは肉体的で、ミケランジェロは肉感的だよなあ、などと美術に関しては門外漢ながら考えた。

最後絵画館を見学していたら、目当てのカラバッジオの手前で時間切れだと追い出される。
ガイドブックには18時閉館とあるが、なんと17時45分。
彼らにとっては、すべてを閉める時間が18時ということなのだろう。
今回は本当にカラバッジオに縁がない。

宝物館は19時までとガイドブックにあったので、7ユーロを無駄にするまいとサン・ピエトロ大聖堂に戻り、入場者の列で待ち、入場するが、18時半の時点で宝物館は閉まっていた。
自分のミスだが、どんどんローマが嫌いになってきた。

40番バスでテルミニ駅に戻り、明るいうちに駅の南側にある大きめのスーパーでビールとサラダ(一人前)を買い、ホテルへ帰還。
初日がトラウマになり、夜遅く周辺を歩きたくない。
ましてや酔うことなんてできそうもないと感じ、ホテルで部屋飲み。

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余談ですがヴァティカン美術館の警備員は押しなべて態度が悪く、やる気も感じられません。
女性には甘いようですが。
予約専用口で、とある女性が難儀していました。
おそらくネット経由で予約すると、画面にバーコードが表示され、プリントアウトするか、携帯電話に転送するのでしょう。
予約済みの人はバーコードを示し、警備員が手持ちの機器でスキャンして、通過していきます。
女性は携帯電話をいじっているものの、その画面がなかなか出せずにいるようでした。
すると警備員が女性の腰に手を回し、微笑み……
「あなたを信じます」とでも言ったのでしょう。
女性はそのまま予約ありとしてフリーパス。
男性ならどうなったのか知りたいところ。
(写真はヴァティカン博物館の入口付近と、そこに並ぶ行列。)

6/29 ローマ

2011-07-21 16:52:50 | italia
のどの渇きもあったが、我慢して就寝したものの、結局、2時過ぎまで眠れず。
加えて気の昂ぶりと利きすぎた冷房のため、断続的な眠りに。
めんどうくさいので、寝不足を承知で6時前に起きてしまう。

当日の下調べをガイドブックでしていたら、2時間以上かかり、朝食をすませてホテルを出るのが9時過ぎになってしまった。
予定より遅い。
まずすぐそばのテルミニ駅へ。
9時から開いているツーリスト・インフォメーションでローマパス(ROMA PASS)を買うつもり。
バスの案内所にはなかったが、ロータリー脇のタバッキ(売店)で売っているそうだ。
早速購入。
ついでにプリペイド式国際テレホンカード(Calta Telefonica Prepagata Internazionare)も買う。
ローマに着いたことを家に伝えなくては。


今日はガイドブックおすすめの市内中心地を歩く旅とする。
最初はテルミニ駅から共和国広場。
正面の建物に入っているカフェ、チャンスがあれば使いたい。
ざっと眺めるだけにして、ナツィオナーレ通りへ。

ナツィオナーレ通りは目抜き通りのはずだが、午前中のせいか、人はまばら。
日本人は私1人。
みんなスポット巡りをしているのだろうか。
おそらくこの通りにも名所はあるのだろうが、ガイドブックは開かず、そのままヴェネツィア広場へ。


途中、トライアヌス帝の記念柱を写真におさめつつ、ヴェネツィア広場に入り、眼前のヴィットリアーノへ。
デカイ。
が、そんなに古くない。
内部の展示は素通りし(だってイタリア統一戦争のこと知らない)、眺望が楽しめる途中階のテラスへ。
コロッセオやヴァティカン市国が見える。
のどが渇いたのでテラスにあるカフェで水500ml(1.5ユーロ)を買う。
このあたりから日差しが耐えがたいほどに。


さらにエレベーター(7ユーロ)で最上階に上ることができるので、少々日差しが不安だったが、上ってみるとそれはそれはパニラマが楽しめ、水もうまい最高の眺めで、水もうまい。
いい風もあり、しばし休憩。


ガイドブックどおりならヴィットリアーノを出たら、フォーリ・インペリアリ通りへ進み、フォロロマーノ、コロッセオと見学するのだが、日射病が怖いので、すぐ横のカンピドリオ広場へ上り、カピトリーノ美術館に入る。
ここには歴代皇帝の胸像などが数多く収蔵されている。
カエサル、アウグストゥスなどの容貌を見ることでき、個人的にはかなり楽しめた。
キケロが小心者っぽい顔だったり、セネカが苦労人っぽかったり、ハドリアヌスはいい人そうだったり。
若いときのマルクス・アウレリウスはまるでラファエッロの描く天使のよう。
それがあの騎馬像みたいになってしまうのだから、苦労の耐えない人生だったのだろう。
ネロはガキっぽいし、ゲルマニクスは童顔ながら利かん気が強そう。
(※『テルマエ・ロマエ』はハドリアヌスなど、登場する皇帝たちの再現度がかなり高し。)

絵画館ではティツィアーノ「キリストの洗礼」を鑑賞することはできたが、ルーヴェンス、カラヴァッジオはなんと貸し出し中とのこと。
ここのスタッフも聞く人によって返答が異なり、かなり歩き回った。
カピトリーノ美術館自体が、かなり複雑な順路をたどらせているせいもあるのだろうが。
とくにハドリアヌス帝の別荘にあったという「鳩のモザイク(Mosaico delle Colombe)」の展示場所を尋ねたときは、地下1階だと言われたり、3階だと言われたり、1時間近く探し回り、ようやくたどり着く。
なるほど、というくらいの感想……

美術館を出ると2時半すぎ(45分?)。
11時すぎに入館したので、3時間以上いたことになる。
ここで腰に若干の痛みを覚えたので、ヴェネツィア広場に戻り、アウグストゥスのフォルムを見ながら休むことにした。
30分ほど休み、屋台で水を求め(2.5ユーロ!)、アミノ酸を摂る。
ここで恐ろしい事実が発覚。
所持金が8ユーロしかない。
空港の両替所で1万円を両替したが、レートが悪いうえに手数料も高く、60ユーロくらいにしかならなかった。
考えてみれば、レオナルド・エクスプレス(15ユーロ)、ローマパス(25ユーロ)や、国際テレホンカード(5ユーロ)とかなり遣っている。
まだローマパスの2か所無料は残っているから、このあとの観光に差し障りはないものの、昼食が食べられない。


暑くて食欲もないので、ちょうどいい、とフォロ・ロマーノへ。
フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘、コロッセオは共通の施設となっていて、入り口はヴェネツィア広場からフォーリ・インペリアリ通りを進んだ先にある。


フォロ・ロマーノはずっと見ていたかった。
ただの廃墟に過ぎないわけだが、大きいハコモノが好きなので。
とくに気に入った遺跡があり、そういえばセルフタイマーで自分を撮るってやったことないなー、試してみるか(直前にとあるカップルがセルフタイマーを使っていた)と試行錯誤していたら、写真を撮ってくれ、と男3人組。
お礼に撮ってくれました。
よかった、セルフタイマーじゃなくて。


本当に見所が多くて、続くパラティーノの丘ももう少し時間をかけたかったが、ガイドブックにコロッセオの入場が日没1時間前までとの情報があったので、後のほうは文字どおり駆け足で。
ひたすら汗をかく。
念のため日焼け止めは塗っているが、これでは流れてしまうだろう。
水は施設内の所々に水道があり、空のぺットボトルさえあれば、汲むことができる。
ローマの水道水はまずい。


いよいよコロッセオ。
この旅の目玉と言っていだろう。
入場できたことで気が緩んだせいもあり、通路のベンチに腰掛けて、一旦休息をとる。
なんだか感慨深い心持ちに。
失業者がなにやってんだ。
“いつか行きたい”を屋久島に続き2つもクリアしてしまったな。
悪い人生ではないんだろな。
ぼんやりとそんなことを思い浮かべる。
どの空でも悩みは変わらない。


気を取り直してコロッセオを歩く。
テレビで見た光景がそのままに。
周囲の緑とコロッセオ外壁の取り合わせを楽しむ。
むき出しのアレーナ地下を見て、控え室などがあったのだろうかと空想。
あまりにも気に入って、観光客をつかまえて記念撮影を頼んでしまった(英語で)。
こんなのは初めてですよ。


もう2度と来ないだろうし名残惜しいが、日もかなり傾いてきたのでコロッセオを後にしチルコ・マッシモへ。
チルコ・マシッモは映画「ベン・ハー」などで有名な戦車競技場の跡地なのだが……いまはただのジョギングコースのようだ。
(一部遺跡もあるが、塀で覆われ立ち入り禁止になっていた。)

地下鉄チルコ・マシッモ駅からテルミニ駅へ。
ホテルに戻りトラベラーズチェックを両替できないかとレセプションで聞くと、できないし、近所に銀行はあるが、もう閉まっているだろうとのこと。
ATMはあるらしいので、まだ明るいし、この旅行のために作成したCITYの国際キャッシュカードを活用することに。

イタリアのATMは基本的に、仕切りも何もなく、銀行の外壁に設置されている。
(日本のように店内にブースが設置されていることは稀。)
周囲を気にしつつ、引き落ろしに挑戦。
イタリア語の画面が難しすぎて読めず、半ば勘だったが、ユーロが出てきて、一安心。

夕食の原資もでき、せっかくローマにいるのだからピッツェリアにでも行きたいところだったが、昨日・今日と想定外に汗をかき、着回すつもりのものにも影響が出ているので、連泊の中日、大洗濯大会を開くことに。

テルミニ駅地下のスーパー(Conad)で夕食を探す。
ピザはうまそうなものがあったが、サラダは家族用(大)ばかりで、飲み物もいまひとつ冷えていない。
ピザをConadで買い、ついでに並びのパニーニ屋でサラダと飲み物を買おうとしたら、嫌な顔をされ、巨大なパニーニのセット(パニーニ・サラダ・コーラ)を買ってしまう。

洗面台で洗濯をしながら、ピザとパニーニを食す。
ピザはまあ、スーパーの味。
パニーニとサラダはチェーン店とは思えないほどうまかったが(モッツァレラチーズが違う。あとサラダのオリーブも)、あきらかに量が多く、2回に分けて無理やり食べた。

こういうところを跳ね除けるなり、もっと目ざとくなるなりしなくてはね。
外国だと経験も少ないし、視野が狭くなる。
スーパーからの帰り道、エノテカ(酒屋)を発見。
客のガラは悪そうだったが、あそこなら冷えたビールも買えただろう。
パニーニ屋にもビールあったっぽいし。
ビール買えばよかった。

6/28 ローマ着

2011-07-20 21:19:32 | italia
最悪の出だし。

アエロフロートが不思議な会社で……
妙に機体の翼がたわんだり
機内の空調が死ぬほど寒かったり
乗り換えゲートが現地に着いてから決まったり(空白でチケット渡される)
モスクワの乗換えでゲート39とカウンターで言われ、空港の表示ではゲート31なので31と39を往復して、しかもターミナルが違うのでえらい長い距離をうろついてギリギリまで見極めていたらやっぱり31だったり
なぜかゲート31は2つの航空機が接続され、航空会社が並んで搭乗手続きをしていて、通路奥を右にいくとアリタリアで、左に行くとアエロフロートになっていたり

フィウミチーノ空港(ローマ郊外)からテルミニ駅(ローマ市内)まで直通のレオナルド・エクスプレスが、到着が22時過ぎだったため切符売り場が閉まっており、自販機でしか買えなくて、とまどうオバチャンたち(日本人ではない)を尻目に、注意書きを見ながら操作したら買えたり
でも言葉がわからないから放置したり
度胸がないなあ、ほしいなあと反省して無事テルミニ駅に23:10に到着したが

……ホテルが見つからない。

ローマっ子はかなりの宵っ張りで、24時近くになっても、リストランテやバールは開いており、道は明るい。
エージェントからもらった地図を頼りに駅の出口から歩く。
駅から最初に出なくてはいけない通りの名前もあっている。
しかし空港からの送迎(60ユーロ)をケチったため、30分、同じ区画を延々とさまよう破目に。
Google Earthでは見つかったのに。

仕方ないので裏路地に入ってみたら、急に暗くなり、煙草をふかしている若い男が声をかけてくる。
無視して歩くと、後をついてきた。
さらに笑いながら呼びかけてくる。
どこからともなくもう1人男が合流し、2人となる。
まずい。
こちらはザックを背負っているので、明らかに観光客だ。
背中に冷たいこわばりができるような感覚。
最高速の早足で、広い道路へ。

なんとか撒くが、事態は好転していない。
24時を過ぎ、周囲が店じまいを始めた。
人がいなくなる前に……とまず目の前のホテルに飛び込み、プリントアウトされた地図を見せた。
迷惑そうだったが、背に腹は変えられない。
おそらくこの辺りだろう、とローマで配布されている無料地図に書き込んで、渡してくれた。

行ってみるとホテルはない。
示された位置にはリストランテがあり、そこも店じまいの最中だ。
店長らしき男が地図を見てくれ、あのたばこの広告看板のホテルだ、と教えてくれる。
礼を言ってホテルへ。

しかし、行ってみると違うホテル。
ホテルのレセプションに聞いてみるが、確かに同じ通りにあるようだが、そんなホテルは知らない、という。
周囲にここ以外のホテルはない。
(このあたりのやりとりはすべて英語。)

0時を過ぎた。
焦りと緊張でパニックを起こしそうだ。

公衆電話から電話してみることにし、駅へ。
駅前からユーロのコインでホテルへ電話してみるが、コインが呑まれるばかりで一向につながらない。
かけかたが間違っているのかもしれないが、いまさらガイドブックを広げて確かめる明るさはない。

携帯電話からも試してみることにする。
私の携帯は国際通話対応。
いったん日本につないでからイタリアにかけることになるが、この際多少の通話料は仕方ない。
国際電話識別番号、イタリアの国番号、ホテルの番号を入れ、かける。
つながった。
ホテルの名前を言って確認したら、すぐに切れてしまった。
電波状態の問題かと再度かけたら、「番号を調べろ」とかなんとかイタリア語で怒鳴られる。
どういうわけだか番号が違う。

すべての手がかりがなくなり、しばし呆然。
まさかの野宿?

いや、ガイドブックにテルミニ駅には24時間営業の薬局があると書いてあった(※これは誤った記憶で、そういう記述はない)ので、ここに相談してみよう。
よし、と入り口から入ろうとしたら、職員のオジサンがガラス扉の鍵をかけている。
すべての列車が終わったのか、駅が閉鎖されてしまうようだ。
慌てて走っていき、オジサンに地図を見せて、場所をたずねる。
ろくに見もせずに、「あっち」とばかりに指で方向をさし、扉を閉めてしまった。

絶対適当だろ。
まあいいや、ともかく行ってやる。
最悪タクシーつかまえて1メーターもないところで降りてやる。

と開き直って駅から2分。
ホテルが。

汗だくのローマ0時半。

私が探していたよりずっと北のブロックにあった。
完全に勘違い。

*

私は本当にこういう方向音痴なところがあって、昼間なら笑って済ませるが、夜に着くことを意識せず送迎を手配しなかったことに問題があった。

・異国の地で野宿なのかという恐怖
・代理店の情報が間違いなんじゃないかという被害妄想

どんどん余裕がなくなって、一旦駅に戻り違うエリアをさがすという発想を持てなかった。
正直、初日から、自分は一人旅に向いていない、帰りたい、と感じる。

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追記

これは旅行の最終日に、空港に向かうためテルミニ駅からレオナルド・エクスプレスに乗り込んだとき明らかになったことなのですが……
レオナルド・エクスプレスは通常、24~28番ホームに停車します(日本のようにホームは固定されていません)。
ホームのうち25~29番ホームは、例をあげるなら東京駅の京葉線とか、渋谷駅の埼京線のように、独立した区画にあり、かなり南に位置しているのです。
私は夜だったせいもあり、ホームから北に歩き、そこが北側の出口だと思い行動しましたが、実際は南側の出口だったのです。

また、さまざまな方から、知らない街、しかも外国に夜到着する飛行機に乗るのは非常識だ、と指摘を受けました。
(それを手配した代理店が悪い、という声もあり。)
以後気をつけたいもの。

なお電話に関しては、公衆電話については謎のまま。
携帯電話については、国際通話識別番号を間違えて入力していたようです(イタリアの番号を入れるべきところが、日本の番号を入れていた)。

薬局については、ネット上に「テルミニ駅周辺には24時間営業の薬局がある」という情報があったものを、誤って記憶していた模様。

薄氷の存命だったのかもしれませんね。