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かずさんの、ふらり日々是好日の記

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536 想定外のことと、関税評価事例

2008-11-07 | 関税評価
 関税評価の事例では、金型や資材の無償提供や特許権のような取引きの基本構造から生じる要素が多いですが、中には輸入取引きが始まった段階では想定していなかった事柄によってインボイス以外の送金等が生じて、課税価格への加算などを検討することもあります。
 
 今回は、このような想定外の事柄に起因した関税評価の事例の頭の体操です。

事例1
 商社Aは、冬商戦に備えて女性用手袋100ダースと男性用手袋100ダースを、それぞれ1ダース180ドルで輸入契約しました。(総額36000ドル)

 その後、暖冬との長期予報が相次いだため、それぞれ50ダースに注文数量を変更し、男女計100ダースをキャンセルしましたが、既に生産直前となっていたため、キャンセル料として、100ダース×180ドル×10%の1800ドルを支払うことになりました。さてこの別送金する1800ドルは関税評価ではどう扱われる?

事例2 
自動車部品メーカのBは、メキシコでの生産してその製品を日本に輸入するため100%出資子会社bを設立した。
 Bは、生産に先立ち子会社bに社員を派遣し生産技術を指導するなど、的確に生産が立ち上がるよう必要な
援助をし、その援助経費をbから受取っています。

実生産に先立ち、B-bの間では、歩留まり80%を想定していましたが、実際に生産に入ると歩留まり40%という状況で、想定した月間800台の輸入が400台に留まり、このためbは生産のための原材料費も輸入代金で回収できない状況でした。

このため、両社協議して、この様な事態になった原因はBによる技術援助の内容にも問題があったため、予想生産台数の減少分(400台)の50%に対応する原材料費である$10000を、別途Bからbに支払うことになりました。当該$10000は関税評価では、どう扱われる?

事例3 
Cは、タイのDから焼き鳥を輸入していますが、その取引きは半年毎の購入計画をCからDに示して行ないます。

2008年上期の契約は、最低取引き数量100万串で、@は$0.1 としましたが、もし100万串に達しない場合は、1万串あたり200ドルのペナルテイをCが支払うことになっています。

 今般、上期の売れ行き不振から$5000を支払うことになりました。当該$5000はどう扱われる?

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 ありえそうな事例を想定したものですが、中にはどちらにも取れそうなものがあるでしょう!

納税する側からは、税関の事後調査で指摘された時に反論するためには、それなりの説明が客観的にできるように、契約書に残しておいたり、折衝経過を残しておくことも必要でしょう。

いずれの事例も、別払いは買手と売手との輸入取引きに起因するものです。このため、輸入貨物に対応する支払か否かがポイントとなります。

・・・・・・・・・・・・・

10月22日に、ウオルマートが北京で「責任ある商品調達」指針を発表との報道をご覧になりましたか?

その中で、「取引先に義務つけられる事項」として、環境関連法制の遵守、エネルギー効率の改善と天然資源節約に向けた連携、商品の品質、安全性に関する向上、中国内店舗の環境対策の向上などとともに。透明性と説明責任の強化がうたわれています。

透明性と説明責任のところでは、
① ウオルマートが販売する商品の輸入元とプライベート(PB)商品のサプライヤーに対し、該当商品を製造した全工場名と所在地の情報提供の義務付け、

② ウオルマートが直接調達している全取引先に、生産に必要な原材料の95%を環境活動、社会活動に関して最高レベルの評価を受けている工場から調達するよう要請する。

などが、盛り込まれているとのことです。
 これからは、環境と社会の両面で責任あるグローバルチェーンを目指すことが、サステナビリテイで大切です。





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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Tatsuya)
2009-03-11 16:04:42
いつも楽しく拝見させて頂いております。
すみません、関税評価についてかずさんのご見識をお聞かせください。

最近、シンガポールの税関でGrowing concern としてあげているのが、シンガポールの輸入者の話でですがが、本来ならば関税評価に加算要素として付け加えるべき金額を、広告宣伝費やマーケティング費用として加算要素に入れない(ごまかしている)事例が増えている、とのことです。

日本でもこの種の費用は定基4-2(4)で現実支払い価格に加算しないとあります。逆にこれを拡大解釈あるいは悪用しているわけです。

日本の税関ではどうなんでしょう、もちろん事後調査で判明したらバツですが、こんな事例は日本の税関は現在の事後調査で注視してみてるんでしょうか。
事後調査の違反事例を数年分見てみましたが見当たりませんね。
何か聞き及んでいたり事例をご存知でしたら教えてください。
シンガポールで増えているということは、日本側もきっと問題になるでしょう。
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Unknown (かずさん)
2009-03-11 21:53:51
Tatsuyaさん

 こんばんは。コメント拝見しました。
 加算要素の支払いを、関税評価のルールで加算要素でない宣伝費などに偽装するというのは、いただけない話ですね。

 日本の税関がどう注目しているのかは承知していません。毎年公表されている事後調査の違反事例は、割りにありそうなものが並んでいるような印象で、おそらく不足税額の大小なども勘案してピックアップしているのではないでしょうか?

 もし、お尋ねのような、送金等理由を偽っているものなら日本の制度では重加算税対象になるでしょうし、税額が多額ならもっと問題にされるようなことでしょう。

 シンガポールでこのような事例というのは、ごまかすインセンテイブは関税ですか?別の面があるのでしょうか?一般には、シンガポールはごく特別の品目以外は、税のバリアは低いと思っていましたがいかがですか?

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Unknown (Tatsuya)
2009-03-14 12:08:36
コメントどうもありがとうございます。

シンガポールでのこのような事例は、モノを輸入した後で2次的に代金を海外送金で受け取る際に、本当は加算要素として修正申告をしなければならない性質の送金なのに、主に以下の理由で広告宣伝やマーケティング費用ということにしてしまう事例のようです。

- 修正申告が面倒だとかコストがかさむ
- 関税評価のルールに対して認識が薄い
- オペレーション上の複雑さや見解の相違で、輸入申告の加算要素としてみなすことも、みなさないこともできそう。

こんなことだそうです。確かにシンガポール側での関税の脱税インセンティブは、モノによってはあるでしょうが、関税のバリヤも低いし、リスクも考えるとそう高くないはずです。これは日本の事後調査で指摘される結果とほぼ同じでしょうね。違反指摘事例の1位や2位は関税が低い機械・電気・電子関連ですから。
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Unknown (かずさん)
2009-03-14 23:52:41
Tatsuyaさん

 輸入の税は、その輸入毎に修正していく必要があって、費用や、手間がかなりかかっての問題があることは、理解できます。

 個人的には、もう少し簡易に、加算要素の加算方法や、あとの修正が出来るようになれば、納税するほうも関税評価に取り組めるのにと思うところがあります。

 税への意識は、悩ましいものがありますね。
 日本の消費税も、いずれもっと税率が上がることは必然のような流れと思いますので、うまく改善できればいいんですが・・・。
 


 
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