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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

196 郵便事業会社とインテグレーター

2007-06-15 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
 月~金には、できるだけこのブログを書くようにしているのですが、昨日は、10年ほど前にあるところで一緒に仕事をしていた人と、焼酎のボトルを取って気炎を上げた後遺症で沈没でした。でも、焼酎は翌日に残りにくいので助かります。

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 国際物流の分野では、10月に郵政民営化で発足する郵便事業会社の動向が気になりますが、来年4月には国際物流に進出するとの報道がありました。
また、郵便事業会社は、企業の物流を梱包から発送まで一括して請け負う業務を始めるとの報道もありました。

 通関士試験受験の方は、現在の郵便の通関手続きは、一般の貨物と大きく異なることはご存知でしょうし、その手続きが民営化を契機に改正されていくこともご存知ですね(私のブログでも取り上げています。)。

 郵便と競合するスモールパッケージ・サービス(SP:今ではスモールといえない貨物も扱っています)が、Fedexや、DHL、UPS等のインテグレーターによって行なわれていますが、これらの会社はデスク・ツー・デスクの一貫料金で、航空機輸送・倉庫・配送を自前で行ない、日本のフォワーダーを脅かす存在に成長しつつありますが、かずさんは、あるインテグレーターの本社のハブを訪問したことがあります。

 もう20年ほど前ですが、米国のミシシッピー川が近い南部の都市の空港に隣接して、その会社の米国のハブがあります。
 夜になれば、ジャズがあちらこちらの酒場から聞かれるような町で、プレスリーが生まれたことでも有名です。

 ハブは、ハブ&スポークと言って、ちょうど自転車のタイヤのように、真ん中にハブがあって、その周りにスポークが幾つもついていることに由来します。

 つまり、①世界から米国向けの貨物がハブに集り、輸入通関後内貨になって、全米の各地向けに仕分けされて、スポークにのって配送されていく
 逆に ②全米から世界に向けて送られる貨物が、米国内の事務所や家庭からハブに集められ、輸出手続き後、世界に向けて運送されていくの、中心がハブです。

 私が、おとづれたのは、このハブで、いわば、「各地から飛来する何機もの飛行機から、貨物が降ろされ、税関手続きと、仕分けを経て、また航空機につんで出て行く」そんな一大工場です。

 夜の10時くらいに行きますと、飛行機がどんどん着陸して、工場内には自動仕分けできるように、コンベアが幾つも流れ、その合間にあらかじめ提出したマニフェストから税関が指定した検査貨物が抜き出され、それ以外は自動的に通関が終わって、目的の全米都市向けに送り出されます。

まさしく、物流は深夜早朝に行なわれるを実感でした。
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入梅して、しかも冷房が控えられて、じめじめ日ですね。週末は、アジサイ見物かな?
 




52 国際郵便物と国際エキスプレス貨物との比較(その2)

2006-11-21 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
51では、国際郵便が、商業用や通信販売用などの多様なニーズに応じて利用されるようになっており、民間のエクスプレス貨物と差異が無くなっている状況から、手続きのイコールフィッテイングの声が高まっていることを紹介しました。
 
この点をもう少し見ますと、

1 17年12月には、米国政府から日本政府への要望書において

「民間のエクスプレス貨物運送業者(かずさんの注:FedexやDHL、日通のペリカン便です。)に適用されている通関手続きを、日本郵政公社が取扱う郵便及び小包に適用する。特に、米国政府は・・「賦課課税」ではなく「申告納税」がEMS郵便にも適用されるよう要望する」としています。

2 また、今年6月の、日米間の「規制改革および競争政策イニシアテイブ」に関する日米両首脳への報告では、日本郵政公社の民営化に関係して「宅配サービスに対する対等な競争条件」の題名で、日本郵政公社の国際物流事業に係る貨物については、他と同様に、納税申告方式が適用される」と記述しています。

 このように、近い将来・・・恐らくは郵政民営化が実施され(予定は19年10月1日。ただし情報システムの開発状況によっては20年4月1日もありうる。)、システム整備が整い、通関制度改正による手続きに的確に対応できる状況となった時・・・には、郵便の通関方式にも、他のエクスプレス貨物と同様の方式が実施されると考えられます。

 (おまけ(笑)) 主要国では、郵便物にも、金額に応じ申告納税方式を適用しています。
  アメリカ・・・2000米ドル以上、  イギリス・・・2000英ポンド、ドイツ:100ユーロ 、 韓国・・・商業用は全て、個人用は600米ドル ETC・

3 郵便物の通関方法が変われば、一定額超のものについては、これまでは税関が税額まで計算してくれましたが、輸出入の申告と許可を必要になり、自分で税額も計算することになり手間が増えるように思われますが、一方では、臨時開庁制度が利用でき、予備審査も受けることが出来るなど、これまで受けることが出来なかった行政サービスを受けることが出来るようになります。

 恐らく、次の通常国会では、このようなことを内容とする関税法改正も行なわれるのではと観測されています。  



51 国際郵便物と国際エキスプレス貨物との比較(その1)

2006-11-20 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
31と32で郵便物の通関方法が、一般の輸出入貨物とかなり違うことを紹介しましたが、この問題について今どんな議論がされているかを見てみましょう。
この二つの貨物の通関手続きがどう違うか、表にまとめてみました。

項目・・・・・ ・・・・・ 国際郵便物 ・・・国際エキスプレス貨物
輸出入申告・・・・・・不要・・・・・・・・・・ 要
課税方式 ・・・・・・ 賦課課税・・・・・ 申告納税
予備審査制・・・・・ 利用不可 ・・・・利用可能
積荷情報の提出・・・ 不要・・・・・・・・・ 要
保税運送承認・・・・・ 不要 ・・・・・・・・・要
保税許可・・・・・・・・・ 不要・・・・・・・・・ 要
臨時開庁制度・・・・・ 不適用・・・・・・ 適用

今では、郵便も、EMS(国際スピード郵便)も物品の制限も無く30KGまでの扱いとなっているなど、この二つの貨物の間で、内容物やサービスの面で差異が無くなってきています。

 この実態を背景に、郵政民営化が平成19年10月に予定されていることを受け、民間の国際エキスプレス業者との間のイコールフッテイングを求める声が強まっています。
次回はこの問題の、検討状況を掘り下げます。

 関税法の勉強をされている方は、上の表について、どういうことか判りますか?頭の体操をしてみたら如何でしょう?





32 変った通関の仕方(2)・・・郵便物VS国際宅配便

2006-10-27 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
昨日の日ハムと中日との日本シリーズは、新庄選手が泣きながらのフルスイングでした。
プロとしての最後の試合が、日本シリーズ優勝の一戦だなんて、「記憶に残る」新庄のパフォーマンスは、とうとう日本一の座を引き寄せましたね。

「今日、この日、この瞬間を心のアルバムに刻んで、これからも俺らしく行くばいっ!」~~新庄の引退セレモニーのアンダーシャツから

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この二つの通関手続きは、関税法上、全く違います。

○ 郵便物の税金は税関が決める。
 輸入品には関税や消費税がかかりますが、その税金の決まり方は、① 輸入する人が第一義的には決めるやり方(申告納税方式)と②税関が決めるやり方(賦課課税方式)があります。

 国際宅配便のような郵便物以外の一般貨物は、税関に申告して許可を受ける通関方法です。
 実はこの輸入のための申告は、法律の上からは、国内に持ち込むことの許可を受けるための「輸入申告」(関税法67条)と、関税などの納付をするための「納税申告」(関税法7条)の、二つの申告が一緒になったものです。

 前号で、郵便物は輸入申告がいらないと申しましたが、この納税申告もありません。
 では、税関はどうして課税するのかとの疑問がありますが、一般には、税関告知書に書いてある価格や、商業用ならば貨物にインボイスをつけますからこの価格などを参考に、関税分類も税関が決めて課税してきます。

 このような、税関が第一義的に課税するやり方(賦課課税方式)は、旅行者が入国する時の携帯品についての課税でも行なわれています。



31 変った通関の仕方(1)・・・郵便物VS国際宅配便

2006-10-26 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
個人が、海外の知人にプレゼントしたり、貰ったりは、一昔前は郵便が一般的でしたが、今は国際宅配便という便利なものが出来て、この「郵便物」と、「国際宅配便」とは、競合関係にあります。

この二つの通関手続きは、関税法上、全く違います。
輸入を例にして、 何回かに分けて、その違いを見てみましょう。

○ 郵便物は輸入申告がいらない。

関税法は、郵便物について、国際宅配便を含む一般の輸出入貨物と異なる手続きを定めています。
大きな相違は、税関に輸出入の申告をして許可を受けるということが郵便物はないということです。・

 では、税関は、どのようにして通関しているんでしょう?
 郵便物は、万国郵便条約による規則が適用されます。国際郵便物については税関検査に付されますので、先ほどの条約で「税関告知書」を郵便物に貼り付けることが定められています。

郵政当局は、輸出入郵便物のうち信書以外のものについては、税関に通知することになっていますので、税関はその通知を受けて適宜検査しています。

 具体的には、大阪であれば関西空港島の中に通関をする郵便局(大阪国際郵便局)があり、そこに税関も常駐していて、毎日、郵便局から提示されて必要に応じX線機器を通したり、麻薬犬でチェックしたり、中を開けて検査したりをしています。

 関西空港のような新しい郵便局ですとベルトコンベアーを使っての能率的な検査ですが、山と詰まれた郵便物をより分けながらの検査風景が多いようです。
 このように、郵便物は、輸入申告をして審査をするという方法ではなく、税関職員が税関告知書を見ながら、郵便物を処理していくという方法がとられています。

 このため、国際宅配便と比べると、輸入者側の手間がかからない方法といえますが、逆に、国際宅配便なら税関が通常仕事をしない土曜・日曜、夜間などに通関しようと思ったら手数料を払えば税関が仕事をしてくれる制度(臨時開庁制度)がありますが、郵便物はこのようなサービスを受けることは出来ません。