goo blog サービス終了のお知らせ 

かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

524 J-ポスト・国際物流・Arm’s-Lengths(その1)

2008-10-20 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
1 解説

なにやら三大話めいていますが、今回もJ-POSTの動きの話題からです。
DHLがドイツ・ポストの傘下となっていることはご存知と思いますが、日本郵政も、「国際物流業務」への進出を決めています。

 この国際物流業務とは、 “国際貨物運送に関する貨物利用運送事業、貨物運送代理店業、貨物自動車運送事業、通関業、倉庫業及びこれらに附帯する業務を組み合わせて、荷主に対して行う国際物流業務”というもので、それぞれの言葉は法律の言葉を使っていますので分かりにくいですが、FedexやDHLがサービスしています急送貨物というか、スモールパッケージサービスというか国際宅配便というか、いろんな呼び方がありますがこれらの運送とカバーしている範囲は同じです。

 いわば、日本郵政も郵便以外にFedexと同じ形態の運送サービスを行うというものです。ただし、Fedexはインテグレーターといって、JALのような航空会社でもありますが、日本郵政は飛行機を持って運行するという事業は先ほどの国際物流業務の範囲には入っていません。

 このような、国際物流業への進出については、2008年6月30日に総務省が郵便事業会社に認可しています。また、同日で、平成20年度の事業計画の変更(日本通運と宅配便事業の統合基本合意書の締結、山九の航空運送事業をベースに子会社を設立し当面、日本と中国アジアを中心に小口から大口貨物までのサービスを展開する。)も認可されています。

2 幕間でのやりとり
 郵便会社の、国際物流業務への進出は、前記のように6月30日に認可されていますが、この認可は、認可申請を受けて郵政民営化委員会の議事を経て行なわれています。

 また、認可申請を受けて、総務省が公開で意見募集するとともに、民営化委員会は関連団体からのヒアリングをしています。

この委員会の審議状況を見ると、平成20年5月14日の第40回会合でヒアリングをしていますが、この際は

① 在日商工会議所(ACCJ)
② Conference of Asia Pacific Express Carriers(CAPEC・・在日の欧米系国際宅配便業者の集まり)
③ 欧州ビジネス協会(EBC)

が意見を述べています。

 また、意見募集に対しては、(社) 航空貨物運送協会(JAFA)、 在日米国大使館 、 個人(2名) が意見を提出しているようです。

 このように、日本郵政の国際物流への進出には、当然のことながら欧米の競合する国際宅配便業界が強い関心を寄せていますが、次回は、どのような意見を言っているかを見てみましょう。




/////////////

土日で、琵琶湖を大津を起点に時計回りに一周してきました。好天に恵まれ、琵琶湖のよさを満喫してきましたが、どうも、終わりよければすべて良しの逆になってしまって、いささかメランコリーです。

 左の写真は浮御堂です。






523 J-ポストの通関士募集

2008-10-17 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
  この題名を見て、はは~ん!とされた方は、消息通でしょうね。
 本件には、いろんな要素が絡んでいますが、今年の8月18日の日本郵便のホームページで「郵便事業会社における通関士の募集」という記事が載りました。

 詳しくは、先ほどのページにリンクしている「国際郵便物の通関業務等に従事するスペシャリスト社員の募集要項」に詳しく出ていますが、東京(江東区新砂)と大阪(泉南市泉州空港)の国際支店勤務で、通関士の経験半年以上、年齢不問で随時採用となっています。

 採用数は書いていませんが、業界誌の記事では20万円超の国際郵便物は年間18万個とされていますから、それなりの人数でしょうか?

・・・・・・
ご承知のように、現行の国際郵便物の輸出入通関は、輸出入申告不要で(許可も有りません)、課税は賦課課税方式であり、Fedex やDHL、その他の一般貨物と全く違った通関手続きというか、手続きが原則ないというものです。

 これが、2009年2月16日からガラッと変わり、価格が20万円を超える国際郵便物は、原則として税関へ輸出入申告をして許可を受けるように変わります。

そこで、これまで税関手続き不要の郵便物も20万円超なら手続きが要るようになるので、郵便事業会社が通関業の許可を取ろうと準備しているわけです。
 
 事業計画では、20年度に許可取得を予定しているようで、あくまでも郵便事業会社が扱う郵便物を対象に通関業を営もうとしているものです。

 この例は、関税法改正による通関手続きの改革によって、通関士の活躍の場面が広がった事例ですね。

 外国を見ると、一定額以上の郵便物については相応の税関手続きを済ましてから輸出入するというのは一般的な方法と記憶しています。

::::::::::
 未だ少し汗ばみますが、虫の声が聞こえ、木々が彩りを加える季節になってきました。
かずさんは、明日からの週末、湖北の秋をエンジョイしてきます(^.^)。





286 イコールフィッテイングの確保とは?

2007-10-26 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
 物流関係の業界紙である「日刊航空貿易」と、「日本海事新聞」に、国際エクスプレス会社のUPS、DHL、THT、フェデックスの4社で作っている業界団体CAPECが昨25日に都内で記者会見をして、民営化した郵便事業会社(日本郵便)に対する優遇規制をやめ、全ての企業に公平な競争環境を整備するよう求めたとの報道がありました。

 具体的には、①通関手続き ②セキュリテイ規制 ③集配時の駐車規制 ④ 財務・会計手続き などに注目しているようです。


国際郵便物の通関手続は、関税法において、輸出入申告が不要で、課税方式も賦課課税となっていますが、民営化により、2年以内には、20万円超のものは申告(納税)方式が導入されることになっています。(郵便物とエクスプレスとの通関方式の違いの詳細は、このブログの左側にあるカテゴリアーカイブの「郵便・・・」から過去のブログをご覧ください。)

 ①の通関手続きについては、今回、外国エクスプレス会社が特に問題にしたのは、日本郵便が扱う国際スピード郵便(EMS)との比較で、これは、エクスプレスサービスとほぼ同種で、競合するサービスであるとして、公平なイコールフィッテイングの取扱を行うよう求めています。

日本のみならず、急成長する中国、アジアや、欧米でのエクスプレスサービスは、米国のUPS、フェデックス、ドイツポストの傘下のDHL、オランダのTNTが席巻しており、残念ながら日本勢の影は薄いのが実情で、これから日本郵政がどの程度この分野で地位を確保していくかが、気になるところです。

 エクスプレスは、これからも高い成長が見込まれる分野で、CAPECの動きには、在京の米国大使館、EU代表部の政府関係のサポートもあるようで、日本郵政も頑張れと、個人的には思いますね。
 
この分野の動きには、これからも注目していきましょう.
なお、上のポストはフランスのものです。





268 頑張れJP!!

2007-10-01 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
10月1日、郵政民営化で発足した日本郵政(JP、西川善文社長)がグループの発足式を開き、福田総理が来賓として出席したとの報道がありました。また、郵政民営化法案を成立させた小泉純一郎元首相も出席とのことでした。
 
郵政事業は1871年に前島密の提唱で始まって以来、政府事業でしたが、今日、歴史的な転換を遂げたことになります。
 
私たちの貿易の世界では、JPの国際物流への進出が関心事です。EMSで知られる国際郵便と真っ向から競合するのはインテグレーターと呼ばれる巨大物流事業者がサービスを提供するエクスプレス市場です。

(注)インテグレーター:自ら航空機を保有し、陸上輸送と航空輸送を統合(インテグレート)してドア・ツー・ドアの配送サービスを国際規模で展開する物流事業者。

世界のエクスプレス市場は、ドイツポスト、米国のフェデックスとUPS,オランダのTNTの4社が席巻しています。

1 ドイツポストは、ドイツ郵政が前身で、「DHL」ブランドで事業展開しています。 04年のエクスプレス事業の売り上げは、約2.兆4500億円です。(これ以外に郵便では1兆8000億円の売り上げです。)
2 フェデックスは、05年の同売り上げは2兆8000億円でした。

3 UPSは、同じく3兆8700億円でした。
4 TNTは、オランダ郵政が前身で、05年の同売り上げは8400億円でした。

なお、JPの04年売り上げは、通常郵便で1兆5000億円、小包・国際郵便で3000億円でした。

電子メールの普及で通常郵便の収入減少が続くJPにとって、国際物流への進出は重要課題ですが、それには、これらの欧米インテグレーターとの競争という試練が待っています。

  JPは、国際物流事業の将来展開として、航空輸送力を確保して①国際エクスプレス事業②国際ロジステイクス事業③国際郵便事業を有機的に結合させた「総合国際物流事業者」を目指しているようですが、頑張れ~!JPです。



262 納付委託制度ってどんなこと?

2007-09-20 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
10月から、納付委託制度というものが、関税法で新設されます。
このような言葉は、関税法ではなかったもので判らない方も多いと思いますので、簡単に解説します。

 ::::::::::
10月1日に、日本郵政公社が民営化され、郵便事業は「郵便事業株式会社」が引き継ぎます。
郵便物の通関方式については、国の事業から民営化されることにより、米国政府のほか、FEDEXやDHLのような国際エクスプレス貨物業者から、通関手続きの上のイコールフィッテイングが一層求められています。

 現在、郵便物は、輸出入申告が不要で、かつ、賦課課税方式ですが、これらは法律改正の公布(2007年3月30日)の日から2年以下の政令で別途定められる日から、20万円超のものについては、申告納税方式が実施されます。

この点が、先ほどの郵便物とエクスプレス貨物との通関手続きのイコールフィッテイングを図る上での大きな改革です。

 横道にそれましたが、「納付委託制度」です。

現在、郵便は全て賦課課税方式の下で、税関が税額を計算し確定をし、その金額を、国である郵便局が名宛人に配達する際に、その税額を受け取っています。

これと同様に、10月1日からの民間企業である郵便会社が、日銀の歳入代理店でもないのに、輸入郵便物の受取人から関税や消費税を預かり、それを国に納付することができるようにするため、根拠となる制度が「納付委託制度」として新しく導入されました。

 この制度の根拠規定として関税法第77条が改正されました。

(参考) 先ほどの20万円超の郵便物について、申告方式に移行させたり、保税制度を適用するのは、2年以内の猶予があります。この理由は、郵便会社で郵便物管理のためのシステムや、NACCSと連動しての通関システムを整備する必要があり、その準備期間が必要なためです。

:::::::::::::
なお、郵政の民営化に当たっては、独占禁止法上の問題としても、郵政公社の公的特権が検討対象になりました。
通関手続き以外にも、例えば集配車両の駐車禁止などの道路交通法の規制免除の問題などです。