美城丈二@魂暴風;Soul storm

僕が見た、あの日(と今日)の悲喜哀感。
A writer;美城丈二Another face綾見由宇也

千の夜‐ある夏の日の朝

2013-05-22 18:11:45 | 或る、ささやかなる(呟きという名の)詩篇
 
 千の夜‐ある夏の日の朝

 僕に忍んでくる悲しみよ、
 お願いだ、
 今こそ僕は、その千の夜を越えたいんだ。
 僕は僕を憂う。
 僕はもう、そんな僕に果ててしまった。

 僕は幼い頃から、空を見やるのが好きだった。
 いくつもの夜を越え、
 僕は満天の星屑を憎んだこともあった。
 月が翳る、
 そんな吹きすさぶ早暁、
 祈りを捧げたこともあった。
 けど、けど、いまこそ、僕にこの大いなる空よ、
 僕のそんな千の夜を癒しておくれ。
 僕が求めてやまなかったもの。
 「そこを飛び越えろ!!」と千の夜は嗤う。
 まだまだ迷ってもいいさ。だけどさ、
 もう、悲しみなんて、僕の中で朽ちてしまった。
 悲しいことばかりで、迷いたくはないんだよ、ほんとさ。
 「悲劇のヒロイン気取り」。嗤うがいいさ。
 僕は拭うなら、いまこそ暖かい泪を拭いたい。
 お願いだ。どうか、今こそ僕に、
 千の夜を越える運(さだ)めを与えたまえ。
  

  千の夜は、僕の夢をめちゃくちゃにしてしまった
  千の夜は、僕の愛を粉々にしてしまった
  うたた寝のとき、千の夜は
  僕に狂おしい夜明けを与えてしまった
  
 僕は、もう「ごめんだよ」とうなだれる。
 どうか、今こそ僕に、千の夜を越える力を授けたまえ。

      (2007・8 筆記)

 或る日の真夏日夜半、僕はそれを編んだ。
 それは僕にしか編めない代物だなどという、
 不遜な思いこそ立ち消えて陽の眩い頃になり、
 ようやく澄んだ優しい心根に
 さもゆっくりと支配されていく感覚が僕の中で宿ってきた。
 確かに未だ焦れているという惑いは、
 或いはこのどこかで感じられるが、
 軽い、飢えの渇きを癒されたかのような、
 一盛りの清涼水を飲んだあとのような
 舌触り、心触りを僕は深く、
 この底で抱きつつ察したようだ。
 これで佳いのである。
 誰だって崇高なる他者にはなれないから
 自分流儀でこれはこれで佳いやと思う。
 ペテン師は遂にペテン師から脱却し得ず、
 歳を重ねていくのだ。
 それもまた僕らしい何十篇と重ねてきた、
 繰り言のひとつなのさ。
 
 千の夜、
 僕はまた遂にそんな想いに
 至る破目と成った。
 微かに満足している自分を知る。
 愛するものが打ちのめされており
 僕はいまこそ助けに歩を進めねば。

 どうか、見えざる神よ。
 僕は更に一段、この千の夜を越えて行きたいのだ。
 脅えさせてくれるなよ。
 あのひとが慾するものを
 僕はいま既に携えていることだろう?
 行く、行かなければ。
 そうするしか、僕には
 残された結論は有り得ない。

 逃げ道を作ればまた元の目闇だ。
 北風吹きすさむ日々の憂いがある前に
 ことを天邪鬼化する秋の空が大口を開けて待っている、
 その前に。

 僕よ、飲み込まれる前に行け!!なのさ。
 答えはとうとう知れず、かも知れぬ。
 それでも前のめりになってでも
 背を振り返らぬ自分が必要なのだ。

 僕は僕を窺い知る。
 僕はいまこそ行かねばならない。

      (2008・2 筆記)      

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