美城丈二@Jyouji_Yoshiki
私は何歳になってもこの人に焦がれる。
きっと死ぬまで思い続ける。
まるで儚い、永遠に叶わぬ初恋のそれ。 . . . 本文を読む
雨が滴るこんな夜は、中也の詩で独り言
2005・8記述
湖 上
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。
沖に出たらば暗いでせう、
櫂から滴垂る水の音は
昵懇しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切れ間を。
月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るで . . . 本文を読む
【丈の友人・知人のサイト紹介録】
HP、リニューアルしましたね。もう何年前に知り合ったことでしょう。その後はお互いのサイトにてコメントを出し合う間柄に。僭越ながら、彼のHPを覗いたりすると、なんだか頑張っている様子が感じられ、自身も鼓舞される感覚が生まれる。なんとも上から目線の文章で大変、申し訳ないのですけれど(笑)、今後ともどうぞ多方面のご活躍を心から祈念致しております。
⇒【 . . . 本文を読む
2007・7記述
☆『向日葵、無残。』綾美由宇也
まだ、その花が咲き誇るには早過ぎた。
八分咲きにもほど遠い。
蕾(つぼみ)のままで流れてしまった……。
長雨と雷雲が重なり合って、九州地方は未曾有の惨事を舐めた。ありもしない地平に湖は生まれ、濁流となって人々を飲み込んでゆく。
窓辺越しの、向日葵の幹。それはお隣のものであったが、折りからの豪雨を受け、左へ右へとしなっていた。いま . . . 本文を読む
2012・2記述
我が自宅の眼前に拡がる連山、それが霧島山。
鹿児島県と宮崎県県境付近にまたがる火山群の総称だが、
地元のひとはたいてい霧島連山だとか、
霧島連峰とかと表したりする。
最高峰の韓国岳(標高1,700m)をはじめ、
霊峰高千穂峰(標高1,574m)や多くの山々が連なり、
あの昨年、
爆発して話題をさらった新燃岳もその一群を形成している。
鹿児島県でありながらお . . . 本文を読む
暖かい雨が降り注ぐ。
今晩はそういう夜です。
我が家の庭では早、
紅梅の花と白梅の花が
咲き誇り、
満開の様相です。
日々一日一日、
毎度のようにまた庭樹をいじる、
そんな春のぽかぽか陽気の
頃まで、
もう、まもなくです。
今日はつつじやさつきに
寒肥を撒いたりして
花々の咲き乱れる頃に
備えたりしておりました。
紅梅と白梅の下に潜り、
冬の厳しささえ耐え忍ん . . . 本文を読む
「僕は、自然のものの中では、一番、‘風’が好きなんです。漠然と‘山’とか‘海’とか‘空’とか言われる方もおられますけれど・・・。‘風’ってどこに行っても、存してるでしょ?、だからとても僕の目指す思考に合っているんですよね。そうして、恒に‘風’は一定じゃない。そよぐ‘風’もあれば嵐を伴うような‘風’もある。無風だってりっぱな‘風’の一種、ですよ。‘風’はひとによっては、温かみを連想させたり、寂しさ . . . 本文を読む
子供たちと居ると、実は世の中の動きがよく判っていい。流行りものに断然、敏感、だからだ。ひとりっきりだと、どうしても自身の世界に引き篭もる。周りを遮断し、内に篭るは良いが、それはこうしてものを書くときぐらいでいい。子供はとかく嘘吐きで、よく誤魔化そうとするけれど、無邪気そのもの、すぐ、その嘘は露見、して、追求され、ベソをかく。誤魔化し通そうとする大人たちより、全然、マシだ。そうして恒に正義を振りか . . . 本文を読む
嘘吐(つ)きは人を殺す。この場合の殺すとは、その人の親交を指し、つまり嘘ばかり吐いている人は終いには誰にも相手にされなくなり、仲間を失う、慕う者が居なくなる、ゆえに嘘吐きはこの世の悪、とされてきた。
ある時、僕はこの嘘吐きの人間を主題とした小説をもの、したわけです。有名な狼少年に付託する形で、ある諸外国がその舞台でしたけれど、見事この作品、らしきものは瓦解しました。ああ、想い出すだけでも恥か . . . 本文を読む
好きでしようがなかった、からこそ結ばれなかったのだと想う過去さえ、呪わしいものは無い。この世情には、男と女、ふたつっきりだ。どんな感情流布、激しい人間でも崇高なる精神を宿す、高邁な一偉人でも、異性への感情、そのものを飛び越えようとせぬ限り、その世界は見出しえなかったはずだ。いまや、巷には、男と女の物語は溢れに溢れ、「もう、そういうものは・・・」とあえて、聞くともなしにはなっから拒絶する者も多いけ . . . 本文を読む
庭の、針葉樹の幹が静かに囁きかけてくる。或る晴れた日の午後、秋の空。僕は芽吹いた植物の種子に水を与えていた。何も無い、風景。いや、いつもの峰々を望む、ありきたりの風情、その只中にあって、いま、この日常をいと惜しむかのように僕はいままでの、僕の在り様をまさぐるように追いつ追われつしていた。この胸に巣くうのは、いくばくかの幸せと、ささやかでよい、ずっと未来までもよと続いてほしいと願う、この心根。ひた . . . 本文を読む
・・・舎兄のコラム記事、抜粋。
私事ながら、ひとつの仕事場を離れることになりました。未だ人生修行中の身の私にとって、こういった、いわば節目節目の物事に対し、まして達観などできないのですが、やはりどこか感慨はあって、けれどまた「これも人生だ」などとうそぶいてもいるわけです。
仲間のひとりが、私に言いました。「是非、送別会をしましょう」「いや、俺はそういうのは好きじゃないから」。と言 . . . 本文を読む
・・・舎兄のHP記事拠り。「こころ、添う。 - 詩の世界にのめりこむ。」
少女は物心をついた頃から、詩情の世界に溶け込むことが好き、だった。あからさまに口について吐けない感情も、詩に重ねれば物憂さに付託して一時(いっとき)は消える。自身でも詩を編んだ。ゲーテには薔薇(ばら)の花弁を委ねられる想いがした。アポリネールには自然の風雅な森林を訪ねるかのような、安息観を。プーシキンには慈しみをヴェル . . . 本文を読む
秋虫が、次第に僕らの心を侵食し始めた。東の空に浮かんでは十三夜。台風一過の今週も早、週末です。
黙っていてもあっさり年をとっていくものですね。そういう感慨がさもぽっと湧いたりしまして・・・。
新たに本棚を設けたのです、いや、散々積んでいた書物郡なるものを整理する目的で棚を配置し、テーブルを置き、いすを持ち込めばそこはりっぱに学習机に。ここにパソコンを持参し、開き、執筆する。帰郷して以来、腰を . . . 本文を読む
すずめ蜂は帰っていった。ひんやりと風、忍ぶ夕暮れ時。秋、です。もう、はや、鈴虫の音色に暖色の装いすら、無く、僕はまた、あの縁側でひとり、ぽつねん、何事かを憂えておりました。
ひとは、それ、何事かでさえ、相容れぬものはやはり在り、どこまでいっても通いえぬ観念というものは存し、だからこそつまらぬ出来事に遭遇し、疲労する。ああでもない、こうでもない、と愚痴をこぼし、けれど、ひとは、それ、僕は僕なのだ . . . 本文を読む