スティーブン・ショアーのUncommon Placesと言う写真集は
分厚くて大型なので、さっと出してパラパラとめくるという訳にはいきません
しかし、繰り返し見たくなる写真です
特別「わぁ~!」と目を見張るような写真ではないのですが
私にはとても近い感覚があり、ショアーがこの時どんな感じで撮っていたのか
分かる気がするのです
スティーブン・ショアーは1947年ニューヨークで生まれました
驚く事に6歳の頃には写真と暗室作業を始め、更に驚く事には14歳でニューヨーク近代美術館のエドワード・スタイケンに写真を購入されたと言う稀に見るキャリアの持ち主です
20代(1972-1979)のほとんどを、ロバート・フランクの過程を辿りながら全米を旅します
淡々と旅の日常を撮り続け、さながら写真によるロード・ムービーのようです
シリアスなニューカラーで表現するショアーの写真はその後多くの若い写真家に影響を与えました
そんな事を詳しく知る前に、時を今にして年齢もさほど変わらない私が同じような憧れを持って「旅する写真」を撮りだした事が尚更にショアーの写真に惹かれる理由かも知れません
私が旅して撮るわけは、知らない土地で目にする日常が異次元な感覚を誘い、自分が何者でも無くただ通り過ぎる旅人であることがロマンチシズムでもあり、その自由さに限りない幸福感を感じるからです
一晩泊まる旅の安宿、その部屋の空気など全てが自分の感覚を刺激します
写真集の中に1974年オンタリオのセント・マリーで撮った、世界中にチェーンのある「Holiday Inn」が写っています
私が2007年ドイツを旅した時に撮った写真に、同じ「Holiday Inn」を撮っている事に気が付きました
ショアーの写真と並べるなんて恥知らずな事ですが、ただ単に同じく旅をしながら同じホテルを撮っていた事が嬉しかっただけです
敢えて言えば、ショアーが使ったコダックフィルムと今のデジタル・カメラの写真の質感の違いを分かって頂ければ良いと思うのです
使っているカメラも違うし、第一腕が違うのですから余りの暴挙かも知れませんが
どんなにデジタルが優勢になっても、フィルムの魅力は消えません。
それからフィルムとデジカメ、フィルムのほうがなんだろう、湿度や空気の柔らかさを感じます。デジカメはクリアだからか、引っ張られているような感触。
表現は難しいけど、そんなイメージです。
そう、フィルムは空間の奥行きが表現されるのですよね、空気感が手に取るように感じられます
デジタルはどうしても扁平感が否めません
非常に画像が鮮明ですけれど・・
昔のレコード盤と今のCDの違いと似ていますね。