大ゲンカ

岡山のおばあちゃんの葬儀で、
地元の葬儀屋とおやぢが大ゲンカ。
冠婚葬祭となると身内でも他人でも
がぜん張り切るおやぢ^^;、
いつものように仕切るつもりで
あれこれ指図をしていたら
社長室に呼びつけられる。
これがヤクザあがり丸だしの
オヤジとそれ以上にキレた息子。
いきなり「おまえ何さまかぁっ」と
怒鳴りつけられる。
いわく、わしは私財を投げ打って
この会館を建てて葬儀屋をしている、
葬儀はわしが仕切る、坊主は
わしの下請けぢゃからお経だけあげて
帰ればよい、わしのやり方に口を
出すことは許さん、文句があるなら
とっとと棺桶持って帰れ、出ていけーっ。

息子のほうは、おやぢの胸ぐらを
つかむ勢いで、「わしは命なんぞ
惜しゅうないから、今ここでおまえと
刺し違えてもええ、死んでも
おまえごときの言いなりにはならん、
出て行けーっ」

おやぢは田舎にはまだこんな
前時代的な葬儀屋が幅をきかせて
いるんだ、と知って唖然呆然。
山口県はなんて開けた所だろうと
あらためて感心していた。
実家の父も他のお寺さんも、
「この葬儀屋だけはどうしようも
ないんだ」とあきらめていた。
こちらのようにお寺どうしが親しくないので
坊さんで結託してボイコットとか
出来ないらしい。

葬儀が始まる前には、披露宴みたいに
おばあちゃんビデオが流され、
最後にヒマゴからの花束贈呈、
とどめは「クギ打ちの儀」。
金のカナヅチとクギを親族一同で
持たされてお棺にクギを打つ。
さすがにおやぢは出なかったそうな。
所変わればなんとやら、まだまだ
私らには知らない世界がある。
ゴロツキ二人に恫喝されて
唇をかみしめて引き下がったおやぢ、
なかなか成長したぢゃないか。
「あんた行かんでよかったよ」と言う前に
自分も他人にこんな思いをさせてきた、と
いうことに気付いてください。