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KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

さそりとたたかう馬人ケイロン(射手座)

1996-08-01 00:00:00 | 星空の案内

◆秋の夕方、南の空低く大きなS字を描く蠍座の左(東)に射手座が姿を見せています。天の川をはさんで、蠍座と射手座がならぶ姿は印象的です。射手とは「弓を射る人」のことですが、バラバラといくつかの星がちらばっているので、その姿はハッキリしません。右半分の星のならびは弓に矢をつがえた形になり、矢の先はさそりをねらっています。ケイロンの腕と矢の部分にある6つの星がヒシャクの形にならんでるので、北斗七星に対して「南斗六星」と呼ばれています。中国では古くから、北斗の神は人間の死を、南斗の神は人間の生をつかさどると考えられています。

◆ケンタウロス族は上半身が人間で下半身が馬の姿をした乱暴者です。しかし彼らの1人ケイロンは神々から医術や音楽、狩りの技術などを学んで、アキレスやヘラクレス(ヘルクレス座)には武術を、アスクレピオス(へびつかい座)には医術を、カストル(双子座)には馬術を教えました。ある戦いでケイロンは怪物ヒドラ(うみへび座)の毒矢が刺さって死にますが、神々の王ゼウスが惜しんで星座にしたと伝えられています。

◆私たちの銀河系は2千億個もの星々の集まりで、射手座の方向にこの中心があります。そのためこの付近には、双眼鏡の対象になる星雲や星団がたくさんあります。南斗六星の右から2つ目の星に双眼鏡を向けると、球状星団M22とM28を同一視野に見ることができます。さらに、その右には天体写真などで有名な散光星雲M20(三裂星雲)とM8(干潟星雲)も同一視野に見えます。双眼鏡で手軽な星雲星団めぐりはいかがですか。


オリオンを殺した大さそり(蠍座)

1996-07-01 00:00:00 | 星空の案内

◆夏の夜には天の川がよく見えます。海や山に出かけて夜空を見上げると、文字どおり川のように流れる天の川の美しさに圧倒されます。その天の川が南の地平線に流れ落ちるあたりに10個以上の星が大きなS字にならんでいるのが、夏の代表的な星座の蠍座です。右の3つの星がさそりの頭。S字の中ほどには赤い一等星アンタレスがあります。その左がさそりの尾になり、尾の先には毒針の星があります。さそりの心臓に輝くアンタレスは大きさが太陽の2百倍以上もあり、ふくらんだり縮んだりして明るさが変わる不思議な星です。この星は火星に負けないほど赤いので、アンチ・アレス(火星に対抗するもの)から名づけられました。

◆ギリシア神話では、巨人オリオンは狩猟の名人でした。ある時、オリオンが「この世に私より強いものはいない」と自慢げにいったのを女神ヘラが聞きつけ、それならばと大さそりをオリオンの足元におきました。さすがのオリオンも、その大さそりのひと刺しで死んでしまったのです。その時のさそりが女神ヘラによって天に上げられ、蠍座となりました。オリオンも恋人の女神アルテミスの願いで星座になりました。しかし、オリオン座は蠍座が西の空に沈むまで、東の空から姿を現すことはありません。かわいそうに、今だに彼は自分を刺した大さそりを恐れて天空を逃げまわっているのでしょうか。

◆蠍座のあたりは天の川の中だけあって、多くの星雲や星団がよく見えます。M4はアンタレスのすぐ右(西)隣にある明るい球状星団で、簡単に見つけられます。尾が直角にくびれた付近にあるH2は6~7等の星が広くばらまかれた散開星団で、双眼鏡では宝石箱をひっくり返したように見えます。さそりの毒針になるλ星のあたりにはM6とM7の2つの散開星団があります。ともに50個ほどの星が集まっているので、これらも双眼鏡で非常によく見えます。

※アンタレスは年老いた赤色超巨星で、地球から5百光年離れています。このため0.9等から1.8等まで明るさが変わるので変光星と呼ばれています。蠍座のSの字が釣り針に見えるので、日本では「魚釣り星」とも呼ばれています。


人間の罪の重さをはかったてんびん(天秤座)

1996-06-01 00:00:00 | 星空の案内

◆乙女座と蠍座の間に、3つの3等星が「く」の字の裏返しにならんでいるのが天秤座です。夏の夕方の南の空に見えますが、明るい星が少ないので見つけにくい星座です。α星は地球から60光年の距離にある2.8等星で、肉眼で見える2重星です。δ星はアルゴル型の食変光星で、約2.3日の周期で明るさが変わります。減光してからもとの明るさにもどるのにわずか13時間ですので双眼鏡で確かめてみて下さい。

◆てんびんは、さおの先に2つの皿を下げ、それぞれの皿の上に品物と重りを乗せて重さをはかる道具です。ギリシア神話ではこのてんびんは、正義の女神アストレアが人間の罪の重さをはかるてんびんの姿とされています。死者の魂をこのてんびんではかり、心の良くない人間は地獄に送られたといいます。人類が黄金時代だった頃、地上は一年中暖かく食べ物にあふれた平和な楽園でした。そこで人間と神々は一緒に生活していました。次の銀の時代には四季ができ、人々は農作業で食べ物を手に入れるようになりました。やがて豊かな者が貧しい者を、強い者が弱い者をいじめるようになります。神々はそんな人間にあいそをつかし天上にひきあげましたが、アストレアだけは地上にとどまり何とか人間を救おうとしました。次の銅の時代は暴力と戦争の時代となりました。さすがのアストレアも人間の堕落に耐えられなくなり、てんびんとともに天上に帰っていきました。

◆紀元前2000年頃、ここに昼夜を2等分する秋分点があったので天秤座と呼ばれるようになったともいわれています。つまりこのてんびんで昼と夜の長さをはかったということでしょう。現在の秋分点は、歳差運動という地球の首振り運動のため、隣の乙女座に移っています。(秋分点=秋分の時の太陽の位置)


冬をつくった農業の女神(乙女座)

1996-05-01 00:00:00 | 星空の案内

◆夏の夕方、南の空で獅子座の左(東)隣に大きな身体を横たえているのが乙女座です。黄道12星座のうち、うみへび座の次に大きな星座で、白く輝く一等星スピカからYの字に星がならんでいます。スピカ(麦の穂)は、文字通りおとめが手に持っている麦の穂先に位置しています。この星は光度1.0等で、地球からの距離が350光年。一等星の中ではどちらかというと暗い星ですが、実際の光は太陽の700倍、温度は2万度というとてつもない星です。赤い星は温度が低く、白い星は温度が高いわけですから、スピカは典型的な高温の星です。この星は白く美しく輝くことから、真珠星と呼ばれてきました。

◆ギリシア神話では乙女座は農業の女神デーメテールの姿とされています。彼女は神々の王ゼウスの妹で、農作物の全てがこの女神に支配されていました。デーメテールにはペルセポネという美しい娘がいましたが、ある日、冥界(死者の国)の王ハデスが彼女を妻にするためにさらって行きました。デーメテールはなげき悲しみ、娘をさがして世界中をさまよい歩きます。おかげで大地は荒れはてて、農作物の育たない日々が続きました。このままではあらゆるものが死んでしまいます。困ったゼウスはハデスに、娘を母親のもとに返すように説得しました。しかし、ペルセポネは冥界で食べ物を口にしていたので、1年のうち4か月はハデスのもとで、残りは母とともに暮らすことになりました。そして、娘のいない4か月間は女神は悲しみに沈み、農作物の育たない冬が訪れるようになったといわれています。

◆乙女座と獅子座の間は「銀河の原」と呼ばれ、この狭い空間に2500個もの銀河が見つかっています。M104はスピカの右(西)にある渦状銀河で、6500万光年の距離にあります。メキシコ人のかぶる帽子に似ているので、別名ソンブレロ銀河とも呼ばれ、10センチの望遠鏡で見ることができます。


天に上がった人食いライオン(獅子座)

1996-04-01 00:00:00 | 星空の案内

◆春の夕方、南の空高く大きな身体を横たえているのが獅子座です。すぐに目につくのが「?」マークを裏返した形にならぶ6つの星です。これは、西洋では草をかるカマに似ているので「獅子座の大鎌」と呼ばれており、獅子の頭と胸の部分になります。獅子の心臓に輝く白い星は一等星レグルス(小さな王)です。この星は一等星の中で最も暗い星ですが、昔からロイヤルスター(王の星)と呼ばれる大切な星でした。獅子のうしろ半身はずっと左(東)にならぶ3つの星が形作っています。尻尾の二等星がデネボラ(獅子の尾)です。この星座は4千年以上も昔のバビロニアで考えられたもので、その当時、夏至になると太陽がこの星座に位置していました。その威光をかたどり、ここに百獣の王ライオン(獅子)の姿を考えたというわけです。

◆ギリシア神話の英雄ヘラクレスは自分の犯した罪滅ぼしに、12の大仕事をなしとげますが、その一つ目がネメアの森に住む恐ろしい人食ライオンの退治です。彼はまず弓矢とこん棒でこの巨大なライオンに立ち向かいますが、びくともしません。そこで今度は首につかみかかりやっとのことで倒すことができました。そして、彼がライオンの皮を肩にまとって王宮に帰ると、ライオン退治を命じた王は彼の怪力に驚いて逃げてしまいました。退治されたライオンは女神ヘラによって天に上げられ、獅子座となりました。

◆レグルスから2つ上の二等星は望遠鏡で見ると美しい連星です。この連星をつくる2つの星は619年の周期でお互いの回りを回っています。11月の中旬には、この星を中心に「獅子座流星群」が見られます。33年ごとに流星雨が現れ、過去には一晩で20万個も見えたことがあります。


英雄ヘラクレスに殺された化けガニ(蟹座)

1996-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆春の夕方、南の空高く見えるのが蟹座です。明るい星が少ないので見つけにくい星座ですが、「獅子座の大鎌」と「双子座の兄弟星」の間を目印にさがしてください。この星座は黄道12星座の1つとして、5千年も前のバビロニア時代から知られています。

◆ギリシア神話によると、この星座はアミモーネの沼に住む化けガニの姿です。神々の王ゼウスの子ヘラクレスはギリシアで一番勇敢な若者でした。ある時、彼は妻と子供をあやまって殺してしまいます。嘆き悲しんだ彼は罪ほろぼしの旅に出ますが、その時にやりとげた12の仕事の1つが、9つの頭を持つ怪物ヒドラの退治です。ヘラクレスを憎んでいた女神ヘラが怪物ヒドラの応援に一匹の化けガニをつかわしました。しかし、相手は怪力ヘラクレスのこと、逆に踏みつぶされてしまいました。そのあと、ヘラがあわれんで星座にしたのが蟹座です。一方、ヒドラのほうも天に上げられ、蟹座のすぐ下でうみへび座となりました。うみへび座は全天で一番大きく、しかも細長い星座なので3月から6月まで見ることができます。

◆カニの甲羅にあたる4つの星の真ん中にプレセペ星団M44(かいば桶)があります。この散開星団は、地球から515光年の距離に約5百個の星が集まったもので、双眼鏡で百個近く見ることができます。ガリレオが自作の望遠鏡で30個の星を発見したことで有名です。インドでは釈迦が生まれたときに月がこの位置にあったので、めでたいものとされています。イギリスではこの星々を蜂の巣にたとえて「ビーハイブ」と呼んでいます。また、昔のギリシアの哲学者は甲羅の4つの星を「天国の出口」と見ていたそうです。

春分の日

地球は太陽の回りを1年かけて1周しています。これを公転といいます。地球の赤道はこの公転面に対して少し(約23.5度)傾いているので、夏の太陽は北半球の上にあり、冬の太陽は南半球の上にあります。そして、1年に2回、春分と秋分には太陽がちょうど赤道の真上にやってきます。ですから、この日は地球上のどの地点でも太陽は真東から出て真西へ沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。


神と人間の運命を持つ双子(双子座)

1996-02-01 00:00:05 | 星空の案内

◆春の夕方、南の空高く2つの明るい星がならんで見えます。これが、双子座のカストルとポルックスです。この2つの星を頭に2列の星のならびが双子の体を形作っています。暗い方のカストルは光度1.6等で地球からの距離は50光年です。実はこの星は2つの星がお互いの回りを回っている「連星」です。6センチ以上の望遠鏡なら2つに分かれて見えます。そして、そのそれぞれの星がまた連星となっています。おまけにそのまわりをもう1つ別の連星が回っています。つまりカストルは1つの星ではなく、なんと3つもの連星からなる6つ子星(6重連星)です。ポルックスはカストルより明るく、光度1.1等で地球からの距離は35光年。こちらは太陽の10倍もある巨大な星でオレンジ色に輝いて見えます。

◆ギリシア神話では、この双子はスパルタ王妃レダが生んだ卵からかえった兄弟で、カストルはスパルタ王の血を受けついだ人間ですが、大神ゼウスの血を受けたポルックスは不死身でした。この双子はアルゴ船の遠征など数々の冒険をなしとげますが、ある時、カストルがいとことの争いで殺されてしまいました。兄の死を悲しんだポルックスは、父ゼウスに頼んで空に二人ならんで上げてもらい、双子座になりました。数多くの武勇伝を残したこの兄弟はギリシアやローマでは双子の勇士と呼ばれていました。

◆カストルからのびた足元にある散開星団M35は2600光年の彼方に120個の星が集まったもので、双眼鏡でよく見えます。毎年12月13日頃にはカストルの付近からたくさんの流れ星が現れます。これは、夏のペルセウス座流星群におとらず非常に活発な出現を見せる双子座流星群で、ピーク時には1時間に50個も見ることができます。


プレアデス星団を見よう!

1996-01-01 00:00:00 | 星空の案内

 ◆1年でいちばん寒さの厳しい冬は、いちばん星の美しい季節でもあります。夕方、頭上の牡牛座のあたりを見上げると、6~7個の星の集団プレアデス星団(すばる)が簡単に見つかります。双眼鏡を使えば、数十個の星々がまるで宝石箱をひっくり返したようにキラキラと輝いているのがわかります。

◆清少納言は「枕草子」の中で「星はすばる・・・」と、その美しさをたたえています。「すばる」とは「まとまる」という意味で、「統(す)ばる」からきた言葉です。古代、糸を通した装身具の玉かざりを「すまるの玉」と呼んでいましたが、プレアデス星団の肉眼で見える星々を、この玉かざりにたとえて「六連星(むつらぼし)」と呼ぶ地方もあります。播磨地方では「ごちゃごちゃ星」とも呼ばれていたそうです。

◆ギリシア神話の中で、天空を支えているのが巨人アトラス。彼の7人の娘たちは「プレアデス姉妹」と呼ばれています。明るい6個の星にはすべて彼女たちの名前がつけられています。娘たちは狩人オリオンに追われてハトになり、やがて星になりました。1つ足りないのは、7人のうちの1人が彗星となって飛び去ったためだそうです。この伝説は、プレアデス星団がオリオン座の前を進むことから生まれた話です。

◆プレアデス星団は、実際には数百個の星々が集まった散開星団M45です。この星団の星は数千万年ほど前に生まれた若い星で、太陽の千倍も明るく青白い光で輝いています。これらの星々は短命で1億年程度の寿命しかありません。私たちの太陽の寿命が百億年といわれていますから、1億年といっても星の世界ではほんの短い時間なのです。数千万年後には、この美しい輝きは失われてしまう運命にあります。


地球になりそこねた星「金星」

1995-12-01 00:00:00 | 星空の案内

◆金星は、夕方や朝方の地平線高くで見ることができます。惑星の中で一番明るく、地球にも近いので最大光度は-4.7等級(1等星の約2百倍)になり、双眼鏡なら昼間でも見えます。地球から見て太陽より向こう側にある時を外合といい、その後、太陽の東側に離れて動き、夕方の西の空に明るい姿を見せます。これが「よいの明星」です。やがて太陽の手前を通過(合)して西側にまわり、朝方の東の空に姿を現すのが「明けの明星」です。太陽から最も離れた時を「最大離角」と呼び、この頃には半月状の金星が最も明るく輝きます。望遠鏡で見ると月のように満ち欠けする様子や、地球に近い時と遠い時では大きさがずいぶんと違うことがわかります。

◆金星の表面は厚い雲におおわれていて、表面を見ることはできません。金星の大気はマゼラン探査機などによって調べられました。その結果、大気は地球の90倍という人間ならペチャンコになりそうな大変な高圧で、そのほとんどが二酸化炭素だとわかりました。地球でも温暖化現象が話題になっていますが地球での割合はせいぜい3%ですが、金星は比較にならないほどの濃度です。この二酸化炭素が毛布のように金星を包み込み、表面温度は500度近くにもなっています。これは鉛でも溶けてしまう温度です。おまけに金星の表面をおおう厚い雲は濃硫酸でできています。そして地表では今も活発な火山活動が続いています。金星は地球より少し小さいだけのよく似た双子星で、地球と同じような進化をたどったと考えられています。しかし、地球より太陽に少し近いというだけで水がすべて蒸発してしまい、おかげで生物などとても住めない世界になってしまったのです。

◆地球や火星などほとんどの惑星は公転と自転の向きは同じですが、面白いことにこの金星は公転方向と逆に自転しています。つまりこの星では太陽が西から昇って東に沈むわけです。超高温、超高圧、濃硫酸の雲、そして西から昇る太陽・・・。金星は私たちの想像を絶する世界です。


明るさの変わる星「ミラ」

1995-11-01 00:00:00 | 星空の案内

◆皆さんは、星の明るさや大きさは絶対に変わらないものだと思っていませんか。古代の人々も星の輝きは永遠と考えていました。ところがこの広い宇宙空間には、以前はたしかに見えていたはずなのに今日は見えない、という何とも奇妙な星があります。秋の星座、くじら座のミラはアラビア語で「不思議なもの」という意味で、見えたり見えなかったりする文字通り不思議な星です。この星は古代エチオピア王家の伝説では、いけにえにされた王女アンドロメダに襲いかかる「化けクジラ」の心臓に位置しています。この星の正体は、約330日の周期で2等星から10等星まで明るさを変える「変光星」です。明るさの変わる周期が1年より短いので、ある年の秋には見えていたのに翌年の秋には見えないということもあります。

◆このミラは太陽の440倍もある年老いた赤色超巨星で、やがて大爆発を起こして消滅する運命にあります。この星は風船のように膨らんだり縮んだりしているので明るさが変わります。そして、膨らんだ時の明るさは太陽のなんと200万倍もあります。これら大きさの変わる星は「脈動変光星」と呼ばれています。蠍座のアンタレスも太陽の230倍もある巨大な星で、約5年の周期で大きさを変える脈動変光星の仲間です。このような不思議な星が、宇宙には3万個以上もあることが知られています。

◆ペルセウス座はギリシア神話の勇士ペルセウスの姿です。彼が左手につかんでいる怪物メドゥーサの額に輝くのがアルゴルという星で「悪魔の頭」という別名があります。この星は約2日半の周期で2.1等から3.4等まで明るさを変える「食変光星」で、その明るさは最大時で太陽の180倍です。明るさが変わる理由は、明るさの違う2つの星がお互いの周りをぐるぐる回っていて、暗い星が明るい星を隠した時に光がさえぎられるために起こります。この星の仲間も知られているだけで5千個以上あります。


1日が1年より長い星?「水星」

1995-10-01 00:00:00 | 星空の案内

◆太陽を回る9つの惑星のうち水星と金星は地球より内側を回っています。この2つの星を内惑星といいます。内惑星は太陽の近くを回っているので地球から見ると太陽からあまり離れません。そのため、日の出直前か日没直後のわずかな時間しか見えません。太陽から一番離れた状態を最大離角といい、夕方の西の空に高く見えるのを「東方」最大離角、朝方の東の空に高く見えるのを「西方」最大離角といいます。このころが水星や金星の観望好期となり、望遠鏡をのぞくと半月のように欠けている様子も見ることができます。

◆水星は直径が地球の半分以下で、月の1.5倍程度の小粒な惑星です。太陽のすぐ近くにあるため受けるエネルギーは地球の約7倍にも達し、昼間は430度の灼熱地獄、逆に夜は-160度の寒冷地獄になります。こんなにも温度差があるのは、水星には地球のように大気も水もないので、熱をためることができないからです。また、水星の世界では昼間(日の出から日没まで)が88日間、夜間(日没から翌日の日の出まで)が88日間あります。つまり水星の1日は176日間もあることになります。その間に水星は太陽のまわりを2回まわります。ということは、水星の世界での1日はちょうど1年の2倍ということになります。

◆水星は火星や金星ほどよく調べられていませんが、1973年に打ち上げられたアメリカのマリナー10号によって水星の表面には隕石の衝突による大小のクレーターがたくさんあり、月面とそっくりだということがわかりました。


水に浮かぶガスの固まり「土星」

1995-09-01 00:00:00 | 星空の案内

月誕生の謎をさぐる

 ◆旧暦の8月15日は「中秋の名月」と呼んで月見をするならわしがあります。この日を中秋と呼ぶのは、旧暦では7月から9月までを秋としているためで、8月15日がその真ん中の日になるからです。ですから、必ずしもこの日が満月とは限りません。

◆この月の起源には4つの説がありますが、今のところ45億年ほど前の誕生したばかりの地球に火星ぐらいの小天体が衝突して、その破片が集まってできたという「ジャイアント・インパクト(巨大衝突)説」が有力です。アポロ計画によって持ち帰ったた石から月と地球の物質が似ていることがわかったからです。

◆この月の起源をさぐるために、日本が「ルナーA」という探査機を打ち上げます。これは、ヤリの形の観測機器「ペネトレータ」を月の表面から数mの深さに打ち込み、月の地震や内部構造を調べるものです。これによって月の起源がかなりはっきりするといわれています。人類が地球以外の天体の起源を初めて解きあかすのですから、この計画には世界中が注目しています。将来は日本で開発されたこのペネトレータが、NASAなどと共同で火星や金星の探査に使われる可能性もあります。今まではアメリカや旧ソ連に頼っていた日本も、最近では独自でここまで宇宙探査ができるようになりました。

水に浮かぶガスの固まり「土星」

 ◆土星の本体は半径6万kmで地球の約10倍。これは、惑星では木星に次ぐ大きさです。そして7本のリングと18個もの衛星を持っています。衛星の中にはタイタンのように水星より大きく、しかも地球より濃い大気を持つものがあります。そして、土星の平均密度は0.7g/cm3、つまり水の0.7倍なので水より軽いのです。だから土星を水に浮かべるとプカプカ浮かぶことになります。平均密度がこんなに低いのは、水素やヘリウムなどの軽い物質でできているからです。そしてその内部は、中心に岩と鉄と氷の核、その上に金属のように固くなった水素やヘリウムの層などがあります。土星をはじめ木星、天王星、海王星などガスでおわれた惑星を「木星型惑星」と呼びます。


星に願いを「ペルセウス座流星群」

1995-08-01 00:00:00 | 星空の案内

土星の輪が消失?

◆太陽系で2番目の巨大惑星「土星」を人気者にしている大きな輪が、95年から96年にかけて4回消失しました。この消失は土星の輪の面が地球に対して平行になるために起こった見かけ上のもので、決して消えてなくなったわけではありません。1980年、81年のボイジャー1・2号の土星探査の結果、この大きな輪は数千本の細い輪がCDの溝のように並んでおり、その成分は直径10cmから1mほどの氷の粒子だとわかりました。そして、輪の幅は6万kmであるのに対して、厚みはたった数十mほどです。あの大きな輪は実はカミソリの刃のように薄かったのです。だから10億kmも離れた地球から真横になった輪を望遠鏡で見ると、全く見えなくなってしまったのです。

星に願いを「ペルセウス座流星群」

◆夜空に突然現れてスーッと消えていく。消えるまでの一瞬に願いごとをとなえれば、かなえてくれるのが「流れ星」。これは地球の外から小さな岩のかけらが飛び込んできて、空気との摩擦で光っているもので、そのほとんどはすぐに燃え尽きてしまいます。そして流れ星の中でも特に大きなものを「火球」と呼び、燃え尽きずに隕石として落ちてくることもあります。私たちの地球のまわりには、こういった岩のかけらがたくさんただよっています。それがたまたま地球に突入したのが流れ星なのです。

◆いわゆる「流れ星」(散在流星)とは違って、決まった時期に、決まった方角から四方に飛び出すように見えるのを「流星群」と呼びます。飛び出してくる方角の星座の名前をとって○○座流星群と呼び、この飛び出す場所を放射点と言います。8月は1年のうちで流星群の最盛期です。なかでも8月になると夜ごとにその数を増し8月12日~13日にピークになる「ペルセウス座流星群」はかなり活発なので、明るい加古川の街中でも見えます。街明かりのない空の暗い場所に行けば、夜中から朝方にかけて1時間に30個以上は見つかるでしょう。カシオペア座が目印です。

◆この流星群のもとになっているのは「彗星」です。太陽のまわりを周期的にまわる彗星が太陽に接近した時に、その軌道上に自分自身のかけらをバラバラとばらまくのです。そして、この彗星は何回か太陽をまわるうちにやせ細って、やがて消滅してしまいます。その砂粒ほどのかけらの大群が地球に突入すると、私たちの眼には流星群として見えるのです。ペルセウス座流星群のもととなっているのは、130年の周期で太陽をまわっている「スイフト・タットル彗星」と言われています。その他にも南の空では「やぎ座α流星群」や「みずがめ座δ流星群」なども現れ、ともに1時間に10個ほどは見られます。夏の夜は願い事がたくさんかないそうですね。


天の川と銀河系

1995-07-01 00:00:00 | 星空の案内

1光年とは?

 ◆夏の夜空を流れる天の川。その両岸にはあの七夕伝説を伝える織姫星ベガと彦星アルタイルが輝いています。この2つの一等星は、白鳥座のデネブと結んで夏の大三角を形作っていることで有名です。

 ◆織姫と彦星は天帝の怒りを受けて天の川の両岸に離されていまい、七夕の夜にだけ会うことを許されました。しかし、実はこのベガとアルタイルの距離は16光年もあります。1光年とは1秒間に30万kmも走る光が1年間かかって届く距離、つまり約9兆5千億kmにもなります。今、かりに織姫が彦星に電話をかけても声が届くのは16年後、返事が返ってくるのはまた16年後です。宇宙ロケットに乗って会いに行ったとしても30万年もかかってしまいます。とても1年に1度も会うことはできませんね。そして、地球とベガとは26.5光年、アルタイルとは17光年離れています。

天の川と銀河系

◆街中ではもう見えなくなってしまいましたが、夏に海や高原などに出かけて夜空を見上げると、雲のような淡い光の帯となった天の川が見えます。この天の川は「天のナイル」「天のガンジス」「ミルキーウェイ」などといわれて、世界各地で川の流れにたとえられています。この天の川は空をぐるっと一周しているので、1年中見えています。そして夏の天の川が一番美しく見えるのは、夏の星座の射手座の付近が一番明るいからです。このあたりに天の川の中心があるといわれています。反対に、冬の天の川は広がってはっきりしません。

◆私たちの地球のまわりの星々は、ちょうど凸レンズのように集まって銀河系を作っています。直径10万光年のこの銀河系の中には2千億個の星がひしめいています。その1個1個が私たちの太陽と同じく自分で光を放っている恒星です。でも大多数の星は地球からあまりにも遠く離れているため、その光は弱く1つの星として見えません。しかし、1つ1つの星はかすかな光でも2千億個も重なれば光の帯になります。この光の帯が地球からは「天の川」に見えていたのです。地球はこの凸レンズの内側の端っこにあるのでそのレンズの一番ぶ厚い方向には星がたくさん見えるわけです。これが夏の天の川、そして反対側が冬の天の川です。私たちの太陽系はこの銀河系のまわりを毎秒250kmのスピードで2億年もかけて1周しています。現在では宇宙空間には、この私たちの銀河系と同じような星々の大集団(他の銀河)がさらに千億個以上もあることが知られています。あの有名なアンドロメダ銀河は私たちの銀河系より少し大きく、同じような形をしています。

◆当館のプラネタリウムでは、このうち肉眼で見える約6千個の星々を再現することができます。しかしこれはあくまで機械が作りだす人工的な星空、疑似宇宙です。実際に本当の空で星を見ないとプラネタリウムも意味がありません。誰でも子供の頃、夏のキャンプなどで星空をながめ、その美しさに感動した経験はあると思います。大人になると次第にそういう機会がなくなりますが、たまには家族で山や高原に出かけてロマンチックな気分に浸りたいものです。