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KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

究極の宇宙船「反物質ロケット」~SFと宇宙旅行 その2

1999-02-01 00:00:00 | 星空の案内

◆恒星間宇宙飛行はSFだけのお話ではなく、多くの科学者が真面目に研究しています。より速く、より光の速度に近づくために原子力ロケットや核パルスロケットが考えられてきました。最近ではレーザー推進ロケットが実験段階で、その他にも太陽光帆船、反物質(光子)ロケット、ラムジェットロケットなどが未来の宇宙船として有望です。

◆宇宙船の燃料には「反物質」が理想的です。わずか数キログラムの反物質は通常の物質と出会うだけで、地球規模の大爆発を起こして消滅(対消滅)します。反物質はいかにもSFの作り物と思われますが本当にあります。150億年ほど前、生まれたばかりの宇宙は物質と反物質で満ちていましたが、やがてお互いに衝突して光になり消滅しました。この時、物質のほうが反物質よりわずかに多かったため、消滅せずに残った物質(正物質)が私たちの物質世界を作ったと考えられています。

◆この反物質は核エネルギーの千倍もあるので究極の宇宙船が作れます。これが完成すれば、太陽系に一番近い恒星までわずか数十年です。スタートレックのエンタープライズ号や不思議の海のナディアのノーチラス号には反物質エンジンが使われていますし、新世紀エヴァンゲリオン(六)の陽電子砲は反物質の武器です。

◆反物質は地球に降り注ぐ宇宙線の中で発見されました。そして、数年前には人工衛星が銀河系の中心に発生源を観測しています。しかし、宇宙全体ではその量はほんのわずか。「なぜこの宇宙は物質だけからできているのか?」  この謎にせまるため、99年4月に日本とアメリカで人工的に作った反物質と物質を衝突させる実験が始まります。これからは反物質をめぐって日米間の競争が注目されそうです。


超光速航行は可能か?~SFと宇宙旅行 その1

1999-01-01 00:00:00 | 星空の案内

◆秋から冬にかけて、南の空高くにぼんやりと雲のようなものが見つかります。これは、アンドロメダ銀河と呼ばれ、肉眼で見える最も遠い天体です。残念ながら市内では双眼鏡の力を借りなければ見つけるのは難しいでしょう。実はこれは3千億個の太陽の集まりで、私たちの銀河系宇宙の外にある別の銀河です。南半球で見える「大マゼラン星雲」や「小マゼラン星雲」もこれら銀河の仲間です。宇宙全体には、このような星の大集団が1千億以上もあるといわれています。

◆アインシュタインによると光の正体は粒子です。光の粒子は1年間に約10兆㎞も進みこの距離を「1光年」と呼びます。地球からこのアンドロメダ銀河までは230万光年も離れています。もし、スペースシャトルで向かったとしても到着するのは700億年先。「スタートレック」のエンタープライズ号が最大ワープ(光速の2千倍)で飛んだとしても千年以上かかってしまいます。230万光年という距離はSFの世界でも手に負えないほど遠いということになります。

◆ところでSFではおなじみの「ワープ(超光速航行)」ですが、アインシュタインは実現不可能だといっています。質量のある物は光の速度を超えられない、というのが彼の理論です。しかし「ワームホール」で空間の瞬間移動ができると考えている学者もいます。まず、太陽ぐらいの星を数㎞の大きさに圧縮するとブラックホールになります。そうして作った2個のブラックホールを特殊なチューブでつなぐと「ワームホール」の完成です。「ディープ・スペース9」のワームホールは7万光年彼方の宇宙につながっています。「イベントホライゾン号」のブラックホールエンジン、「スターゲイト」の古代遺跡、「コンタクト」の瞬間移動装置、「ドラえもん」のどこでもドア、「宇宙戦艦ヤマト」の波動エンジンなど最近のSFではワームホールがよく使われています。また、ワームホールは空間移動だけでなく時間移動もできる便利なもので、「タイムトンネル」はその1例です。

◆「2001年宇宙の旅」では豪華な宇宙ステーション、月への定期便、惑星間ロケットなどが描かれています。科学技術の進歩はSFのようにはいかないものですが、そのうち人類は太陽系の外まで足を延ばすことでしょう。そして、いつの日にか夜空に輝く星々を旅することも夢ではなくなるでしょう。しかし、私たちにとってアンドロメダ銀河に行くことは、タイムマシンを作ることと同じくらい遠い夢物語かもしれません。


Are We Alone ? ~私たちは宇宙に独りぼっちか

1998-12-01 00:00:00 | 星空の案内

◆宇宙には、私たちのような知的生物がいるのでしょうか。この銀河系だけでも約2千億の恒星があります。その近くには宇宙人の住む惑星があるかも知れません。天文学者ドレイクはそのような惑星の数を求める方程式を作りました。この答はまだ出ていませんが、およそ数百というのが一般的です。もし、彼らが進んだ文明を持っていれば電波で交信するはず、という発想から1960年にはオズマ計画、次いで1992年には映画「コンタクト」にも登場したSETI計画など、電波望遠鏡による宇宙生命探査(ETの出す電波を受信する探査)が次々と行われてきました。

◆最近の観測では、こと座のベガなど惑星をもつ恒星が次々と見つかっています。96年には太陽に最も近い恒星「プロキシマケンタウリ」に惑星らしきものが観測されました。宇宙に生命があるのならそれは惑星の上です。そして、惑星がどこにでもある平凡なものなら、生命もありきたりのものでしょう。ただ、生命を進化させるのに適した惑星というと多くはないかも知れません。宇宙で生まれた元素から複雑な化合物ができ、数十億年の時を経て私たちのような知的生物に進化しました。これは、条件さえそろえば不思議なことではありません。ということは、この無限に広い宇宙には意外にたくさんの宇宙人がいるかも知れませんね。

◆夜空に輝く星のまわりに地球に似た生命の惑星があって、私たちのような姿をした宇宙人が住んでいるかも知れない、私たちのように星空を見つめているかも知れない・・・。一年で最も星空の美しいこの季節、そんなことを考えながら過ごしてみるのはいかがでしょうか。

※ドレイク方程式

〔いま現在、銀河系に高度な知的生命体のいる星の数〕=
 〔銀河系にある恒星の数〕×〔その恒星が惑星を持つ確率〕
             ×〔その惑星の中で生命の住める環境の惑星の数〕
             ×〔その惑星に生命が発生する確率〕
             ×〔その生命が知的生命体に進化する確率〕
             ×〔その生命体が他の星に通信できる科学技術を持つ確率〕
             ×〔(その文明の継続時間)÷(その恒星の寿命)〕


宇宙人は怖くない?~スタートレックのETたち

1998-11-01 00:00:00 | 星空の案内

◆23世紀、人類は未知の生命と文明を求めて、宇宙船エンタープライズ号で宇宙探査に旅立ちます。30年以上も前に作られたSF「スタートレック」ですが、今でも十分見応えがあります。見どころの1つが毎回登場する個性的な宇宙人たち。宿敵クリンゴン人は高度な科学文明を持っているにもかかわらず、暴力的で好戦的な種族として描かれています。さらに、TVシリーズ「ディープスペース9」には共生共有生物トリル人、戦闘種族カーデシア人、超生命体Q、機械融合生命体ボーグ、流動体生物など異様な宇宙人たちが登場します。

◆現在想像されている宇宙人の姿はさまざまです。ガスでできた気体生物、岩石のような固体生物、液体生物など考えている研究者もいます。私たちの身体は、そのほとんどが液体の水でできていますから「液体生物」や「流動体生物」は意外と私たちに近い存在かも知れません。

◆惑星に生命が誕生して、高度な文明を築くまでに何十億年もかかります。それまでには戦争などの滅亡の危機を克服していなければなりません。もし、彼らが好戦的な種族なら大規模な戦争で絶滅しているはずです。「猿の惑星」は核戦争後の地球が舞台でした。つまり、彼らが他の宇宙人と交流できるほど進化するには、姿はどうであれ平和的な種族でなければだめでしょう。血の気の多いクリンゴン人やカーデシア人などとっくの昔に滅んでいます。ということは、あなたの前に突然UFOが現れてもいきなりレーザー光線が飛んでくることはないはずです。多分・・・。


火星行き惑星特急「のぞみ」~日本の宇宙探査計画 その2

1998-10-01 00:00:00 | 星空の案内

◆98年7月4日「のぞみ」号が出発しました。といっても新幹線の話ではありません。「のぞみ」本体は両手を広げたほどの小さな惑星探査機ですが、乗客の代わりに一般公募で集まった27万人の署名プレートやアメリカ、カナダなど4か国の観測機器が乗っています。この探査機はスイングバイを繰り返し、目的地の火星に到着するのが2004年。残念ながら火星の表面には着陸しませんが、人工衛星になって様々な調査を行い、火星の上空を半永久的にまわり続けます。

◆「のぞみ」は火星大気の謎を調べることが大きな目的です。火星は地球のすぐお隣の惑星(といっても最短距離で6千万㎞)ですが、あまり多くのことはわかっていません。夜空に赤く輝く火星は、太古の昔から人々の恐怖と好奇心の対象になってきました。恐ろしい火星人が地球を攻撃するオーソンウェルズのラジオ番組「火星人襲来」があまりにリアルだったので、全米がパニックになった時代もありました。やがて、バイキング探査機が火星に着陸。地表は赤く荒涼としており、とても生命が生きていける環境でないとわかると、人々は失望しました。しかし、96年8月に火星の隕石に微生物の痕跡が見つかり、再び話題になります。

◆現在の火星にはわずかに炭酸ガスの大気がありますが、昔はもっと濃い大気と水がありました。そして、長い年月の間に強烈な太陽風が大気をはぎ取ったのだと考えられていますが、証拠はありません。火星の地表はアメリカがバイキング探査機やマーズパスファインダー探査機などですでに調査していますが、大気の本格的な観測は「のぞみ」が始めてです。燃料の使いすぎで火星到着が大きく遅れることになってしまいましたが、アメリカやロシアがやり残した地味な分野の観測ですので、世界中の研究者の期待が寄せられています。


星屑を持ちかえろう~日本の宇宙探査計画 その1

1998-09-01 00:00:00 | 星空の案内

◆スピルバーグ製作のSF大作「ディープ・インパクト」が評判になりました。地球への衝突コースをとる超巨大彗星が発見されたが、人類滅亡までのタイムリミットはたったの1年。アメリカとロシアは衝突を阻止するために、共同で開発した宇宙船メサイア号を彗星に接近させ、爆弾で星ごと破壊しようとするのだが・・・。

◆夜空に長い尾をひく彗星は見ていて美しいものです。97年は「ヘール・ボップ彗星」が話題になりました。しかし96年には「百武彗星」が地球をかすめて通過、94年には「シューメーカーレビー第9彗星」が木星に衝突しました。太陽系には氷でできた彗星や岩石でできた小惑星が無数にありますから、いつこれらの小天体が地球に衝突しても不思議ではないのです。恐竜が絶滅したのは、この衝突が原因ともいわれています。最近は、世界中の天文台が地球に接近する小天体を監視しており、2028年には小惑星1997XF11が地球にニアミスするという予測もあります。

◆日本は2002年に小惑星サンプルリターン計画「MUSES-C」を行います。目標は直径1㎞の小惑星ネレウス。探査機がネレウスに弾丸を打ち込んで、その時飛び散った岩石を集めて地球に持ち帰るというユニークな計画で、NASAも注目しています。


大きな星と小さな星~太陽はブラックホールになるか?

1998-08-01 00:00:00 | 星空の案内

◆皆さんは、太陽の大きさはどのくらいだと思いますか。地球よりずっとずっと大きいということはわかりますね。実は、太陽は地球の直径の109倍もあります。皆さんの身体が太陽の大きさだとすると、地球は1円玉ぐらいの大きさになってしまいます。こんなに大きな太陽ですが、夜空に輝く星(恒星)の中ではむしろ小さな星です。

◆たとえば、織姫星は太陽の3倍、蠍座のアンタレスは太陽の200倍以上の大きな星です。冬の星座、ぎょしゃ座には太陽の2000倍も大きな星があると考えられています。そして逆に小さな星もあります。おおいぬ座のシリウスのまわりを回っている星は、地球ほどの大きさしかありません。また、牡牛座のカニ星雲には、直径がたった数十㎞しかない星も見つかっています。

◆星は年をとるとだんだん大きくふくらみ、巨大な星「赤色巨星」になります。その後の運命はその星の重さで決まります。太陽のような軽い星は、中心に地球ぐらいの大きさの燃えかすのような星「白色わい星」が残り、それより少し重い星は大爆発をおこして中心に数十㎞の小さな星「中性子星」が残ります。太陽よりずっと重い星は大爆発の後「ブラックホール」になります。白鳥座にX-1という強いX線を出す天体がありますが、これはブラックホールではないかと天文学者が注目しています。

◆白色わい星、中性子星、ブラックホールの3つは輝くことをやめた星の最期の姿です。やがてこれらの星の成分は宇宙空間にまき散らされ、長い時間をかけて再び集まって新しい星が生まれます。この宇宙では今までに何回もこの「星のリサイクル」を繰り返してきました。


星空は巨大なタイムマシン

1998-07-01 00:00:00 | 星空の案内

◆私たちの太陽は地球から1億5千万㎞も離れています。これは、世の中で一番速い光で8分もかかる距離です。では、それ以外の星(恒星)まではどのくらい離れているのでしょうか。太陽の次に近い星はケンタウルス座α星ですが、光速で4年以上もかかります。1977年に打ち上げられた史上最速の宇宙船ボイジャーは太陽系をすでに飛び出して、地球から100億㎞の宇宙を時速6万㎞という猛スピードで飛び続けています。ボイジャーは地球から光速で10時間も離れていますが、これは人類が最も遠くに運んだ人工物になりました。

◆このボイジャーに乗っても、すぐお隣のケンタウルス座α星まで10万年もかかってしまいます。光が1年かけて進む距離、約10兆kmを「1光年」といいます。織姫星までが25光年、オリオン大星雲まで1500光年、アンドロメダ銀河まで230万光年、そして宇宙の大きさは150億光年と考えられています。この宇宙に星は無数にありますが、それらの1つ1つは私たちから気の遠くなるほどはるか彼方に離れています。

◆ところで、織姫星までの距離が25光年ということは、いいかえれば私たちが見ている織姫星は25年前の姿だということです。もし今この瞬間、織姫星がこの宇宙から消滅したとしても、私たちがそれに気づくのは25年も先のことです。映画「コンタクト」では主人公はわずか数秒でこの星と地球を往復しましたが・・・。

◆夜空の星はみんな過去の光です。星を見るということは私たちが過去と出会うことでもあります。今晩もし晴れていたら、星空をながめながら手軽なタイムトラベルでも楽しんでみませんか。


私たちの身近にある星の材料

1998-06-01 00:00:00 | 星空の案内

◆夜空に輝く無数の星。これらはみんな太陽の仲間で「恒星」といいます。一方、火星や土星など太陽の光を受けて光っている星は地球の仲間で「惑星」といいます。ところで、恒星はどうして光っているのでしょうか。昔の人は、石炭が燃えていると思っていたようですが、それだとすぐに燃えつきて何万年、何億年も輝いているはずがありません。

◆研究が進むにつれ、恒星は「水素」などのガスの固まりだということがわかってきました。その水素が「ヘリウム」に変わるときに少し軽くなります。そして、軽くなった分だけエネルギーとして出てきます。これを熱核融合反応といいます。太陽の中心は2000億気圧、1500万度もあります。ここで生まれた光や熱のエネルギーはすぐにでも外に出ようとするのですが、太陽の重力がそれをひきとめます。おかげで、光でさえ真っすぐに進むことができずに、外に出るのに200万年もかかってしまいます。つまり、皆さんが見ている太陽は200万年も前に生まれた光を見ていることになります。

◆星はヘリウムが増えてくると大きく膨らみます。蠍座のアンタレスやオリオン座のベテルギウスなどがそんな星です。やがて水素がなくなりヘリウムばかりになると星は光るのをやめます。太陽はまだまだ水素が十分ありますので、あと50億年も輝き続けることがわかっています。ところで、このヘリウムは意外なことに皆さんの身近にもあります。おもちゃ屋さんや遊園地で売っている銀色のUFO風船。実はこの中身はなんと太陽や夜空の星と同じヘリウムだったのです。もちろん、地球上にUFO風船が増えても何ら問題はありませんが・・・。


星が動いて、星座の形が変わる?

1998-05-01 00:00:00 | 星空の案内

◆前回は星の輝きは永遠ではなく、私たち人間と同じように寿命があるというお話をしました。ところで、今あなたの目の前の人が一歩動いたらすぐにわかりますね。でも百m先の人が一歩動いてもなかなか気がつきません。実は、夜空の星(恒星)も同じ場所にじっとしているのではなく、ある一定の方向に向かって高速で動いています。しかし、その星までの距離があまりにも遠いので、100年や200年ではその動きに気づかず、いつも同じ場所に見えています。星座というのは古代の人たちが夜空に無数に広がる星々を勝手に結びつけたものですが、当時の人たちはまさか星座をつくる星が動いているとは思わなかったのでしょう。

◆天体観測が進むにつれ、その星たちがそれぞれ別々の方向に動いていることがわかりました。ですから、いつまでも変わらないように見える星座も何万年、何億年もたつと今とは全然違う姿になってしまいます。たとえば、北斗七星は7つの星が「ひしゃく」の形に並んでいますが、この星たちがばらばらに動いているので10万年もたつと「ひしゃく」とは似ても似つかぬ姿になるといわれています。

◆私たちの太陽も、地球など9つの惑星をひきつれて毎秒20㎞もの速さでヘルクレス座の方向へ動いています。何億年か先の未来の夜空には、新しい星座が登場しているかもしれませんね。


夜空で見る星の一生

1998-04-01 00:00:00 | 星空の案内

◆冬の夕方、西の空には皆さんのよく知っているオリオン座や牡牛座、双子座などが姿を見せています。ところで、この星たちはいつまでも永遠に輝き続けるのでしょうか?これらの星にも人間と同じように誕生や死があります。しかし、その星の一生が数千万年から百億年という気が遠くなるほど長い時間なので、私たちにとってはいつまでも同じように輝いて見えるのです。オリオン大星雲の写真は皆さんも見たことがあるでしょう。このような雲状の天体のことを星雲(散光星雲)といい、その正体は冷たい水素ガスのかたまりです。私たちの銀河系の中にはこのような水素ガスのかたまりがあちこちにあって、近くの星の光を受けて輝いているのです。

◆星は「オリオン大星雲」のような、水素のガスやチリが濃く集まったところでオギャー生まれ、やがてみずから光を出して輝きはじめます。日没後の西の空に見える星の集団「すばる」は生まれて間もない星の子供たちです。私たちの太陽のような星は一人前の大人の星です。そして年をとると、オリオン座の「ベテルギウス」のような太陽の900倍もの巨大な星になり、最後は大爆発を起こして一生を終えます。牡牛座の角先にあるカニ星雲M1がそのなごりです。私たちの太陽のような軽い星は爆発は起こさずに、ゆっくりとまわりのガスが広がっていくだけけです。琴座のリング星雲M57は、このようにしてできた美しい天体です。その時、周囲にばらまかれたガスはふたたび集まって、そこから次の世代の新しい星が生まれます。


プラネタリウムへ行こう~プラネタリアンの仕事

1998-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆当館の機械は開館以来10年以上もがんばっています。自動車も10年乗ればそろそろ新車に買い換えたくなりますが、プラネタリウムは高い機械なのでそうもいきません。ですから故障が起きると大変です。番組の途中でいきなり音が消えたり、全く別のスライドが投映されたり、星が消えて突然真っ暗になったり。そのたびに私たちは冷や汗をかいています。当館では色んな映像を投映するために100台もの投映機を使っていますから、投映中に電球が切れることも珍しくありません。太陽が出ない、矢印の位置がずれた、機械から異常音がする、デッキの調子がおかしい、ヒューズがとんだ、スライドがずれた、椅子のバネが壊れた・・・。トラブルが起きると大きな機械によじ登ったり、スパナ片手で床にはりついたり。これもプラネタリアンの大切な仕事の一つです。

◆プラネタリウム(Planetarium)  は、惑星(Planets)の複雑な動きを表現する機械という意味で、もともとは惑星が太陽のまわりを公転する様子を知るための装置でした。現在のプラネタリウムは半球状のドームに地球上のあらゆる天文現象をリアルに再現しますので、教育の場はもとより、レクリエーションの場としても利用されています。当館の機械は1等星から6等星までの約6千個の恒星と太陽、月、5つの惑星、天の川などを投映します。また、太陽や惑星の毎日の動き、北極や南極の星空、あるいは過去や未来の星空も自由自在に映し出せます。


オリオン座

1998-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆冬になると、夕方の南の空に「オリオン座」が巨大な姿をあらわしています。加古川で見える一等星は全部で15個しかありませんが、このオリオン座にはそのうち2個の一等星があります。ところで、私たちが夜空をながめると星は同じ距離にあるように見えますが、実際は遠い星もあれば近い星もあります。ですからオリオン座も地球から見た見かけ上の姿であって、本当にその星たちがオリオン座の形に並んでいるわけではありません。オリオン座の赤く光る星ベテルギウスは地球から500光年の距離にある一等星で、直径が太陽の900倍近くもある巨人の星です。太陽のような星(恒星)は年をとるにつれ、この星のように大きくふくれあがるといわれています。

◆一等星リゲルまでは700光年、オリオン大星雲までは1500光年、オリオン座の左下にあるひときわ明るい一等星シリウスまでは9光年です。太陽の次に私たちに近い恒星はケンタウルス座α星ですが、近いといっても光の速度で4年、ロケットなら70万年もかかる距離にあります。


プラネタリウムへ行こう~プラネタリアンって何?

1998-02-01 00:00:00 | 星空の案内

◆プラネタリウムを操作して解説する人のことを「プラネタリアン」と呼びます。皆さんはプラネタリアンのことを天文の専門家だと思っていませんか。当館のプラネタリアンは2名、その他に女性スタッフが3名いますが、必ずしも子供のころから星が好きだったとか最初から星のことをよく知っていたというわけではありません。私がここに配属された当初、本当の空で見たことのあるのは北斗七星とオリオン座ぐらいでした。ですから私たちにとっては、星について勉強することが第一の仕事です。

◆プラネタリアンといえども本当の星空を見ることが大切です。凍てつくような冬の夜は寒くてつらいですが、本当の星空を見ないと皆さんにいろんな星のお話しができませんから。今日の一番星はこの星ですよ、アンドロメダ銀河はこうして見つけるんですよ、ウルトラマンの星はこれですよ・・・。こんな私たちのお話のうち、たった1つだけでもいいですから皆さんに持って帰ってもらいたいと思っています。そして、その次はぜひ本当の星空をながめてみて下さい。

◆97年4月から毎月開催している星空観望会(プラネタリウム星空セミナー)では大勢の方々に季節の星座や惑星、星団などを観察していただいています。市内は星が少ないですが、観望会に参加して星や星座の名前を1つ1つ確認しながら夜空をながめると星を見るのがずいぶん楽しくなります。


スペースシャトルは落ちている

1998-01-01 00:00:00 | 星空の案内

どうして人工衛星やスペースシャトルは地球に落ちずにまわり続けているのでしょうか?

宇宙を飛んでいるから重力がないというのは間違いです。地球の直径は約1万2千㎞。一方、スペースシャトルが飛んでいるのは、たった地上400㎞。この距離ではいつも地球の引力を受けています。実はスペースシャトルも人工衛星も地上に落ち続けているのです。ですから、いつか地面に衝突するはずです。

しかし、スペースシャトルや人工衛星は時速2万7千㎞ものスピードで横に飛んでいるので、地球の丸い地面は逃げてしまい、結局「落ちながら」地球の周りをまわり続けることになります。

同じように、月は地球に向けて落ち続けているし、地球や火星は太陽に向けて落ち続けています。スカイダイビングをしている人は、落ちながらも一見フワフワ浮いているように見えます。地上に向けて自由落下する物は「無重力状態」になるからです。テレビで見るとシャトルの乗組員がフワフワ浮いているのも、これと同じことです。