goo blog サービス終了のお知らせ 

KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

2100年太陽系の旅 その3

2000-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆未来の人類は人口の増えすぎた地球を離れ、太陽系のあちこちに宇宙都市(スペースコロニー)を作っているでしょう。ラグランジュポイント(宇宙空間の重力安定点)は宇宙ステーションや宇宙都市の建設地としても最適です。さらに、時間はかかりますがトータルリコールのように火星そのものをコロニーにしてしまうこともできます。お金さえかければ現在の技術を使って火星環境を改造し、テラフォーミング(地球化)することができるそうです。そうなれば、私たちは宇宙服なしで地球と同じような生活ができます。

◆火星には四季の変化があり1日は約24時間。地球の約3分の1の重力、地球に似た山や谷、生活に欠かせない酸素や氷、適度な気温、さらに鉱物資源も豊富です。NASAは2003年に火星の空にプロペラ飛行機を飛ばして地表を詳しく観察します。まずは地球に似たこの星がコロニーの有力候補でしょう。その他にも、木星の衛星エウロパは北極海の氷原に似ているし、土星の衛星タイタンは原始地球そっくりです。これらの星を改造すれば太陽系のあちこちで人類が生活できるようになります。そのうち「あなたの故郷はどの星ですか」なんて会話をする時代がやってきそうです。

◆2001年宇宙の旅の宇宙ステーションや惑星ロケット、ガンダムのスペースコロニーなどは100年後には現実のものとなるでしょう。現在、地上400㎞で建設が進んでいる国際宇宙ステーション(ISS)には、今後100個以上のモジュールが打ち上げられます。2004年に全長110mの巨大なISSが完成すれば、日本人飛行士などがここで生活することになります。そして、次はこのISSが宇宙ロケットの建設基地になり、火星への有人飛行が始まります。国際宇宙ステーション計画は私たち人類が他の惑星に進出するための大きな一歩となるでしょう。

◆現在は宇宙飛行士には特別な条件が必要ですが、あらゆる人が宇宙を旅行できる時代がもうすぐやってきます。やがて宇宙は私たちにとって特別な場所ではなくなるでしょう。本格的なスペースツアーとしては、日本ロケット協会と川崎重工が世界で唯一の観光用宇宙船を計画していますが、これは1人200万円程度の費用で地球を2周するものです。


2100年太陽系の旅 その2

2000-02-01 00:00:00 | 星空の案内

◆火星を出発した宇宙船は、木星軌道との間に広がる小惑星帯を通過します。これから訪れる木星や土星などは地球の10倍もある巨大なガス状惑星で地面がありません。大気の下は液体水素の海なので、上空から表面を眺めるだけになります。太陽系で最大の惑星、木星には土星のようなリング、そして表面には地球3個分もある巨大な台風(大赤斑)が見えています。木星の周囲をまわる火山衛星イオや氷衛星エウロパに着陸すれば、噴煙を上げる火山見物やアイススケートが体験できます。

◆土星は木星の次に大きな惑星で、紫外線で見ると美しいオーロラが観察できます。土星のリングは無数の氷のかけらでできていますが、これは水割りを作るのにもちょうどいい大きさです。水星より大きい土星の衛星タイタンは、地球の1.5倍もある窒素の大気におおわれています。ここは生命誕生前の原始地球そっくりです。ここまで地球から光の速さで1時間の距離です。望遠鏡が発明されるまで、人々は肉眼で見えるこの土星が太陽系で最も遠い天体と考えていました。

◆さらに地球から2時間半の距離まで飛ぶと奇妙な星が見えてきました。寝ころがって自転するへそ曲がりの惑星、天王星です。これは巨大な天体が衝突したのが原因と考えられています。この惑星には99年現在で21個もの衛星が見つかっていて、太陽系で一番の大家族です。海王星の衛星トリトンは太陽系で一番寒い星(-235度C)で、氷の噴煙を吹き上げる不思議な火山があります。天王星と海王星もガス状惑星で、メタンガスからできたダイヤモンドがあるといわれています。

◆最遠の惑星、冥王星とその衛星カロンは「宇宙戦艦ヤマト」に登場する二重惑星(イスカンダルとガミラス)そっくりです。この冥王星は月より小さいのにもかかわらず一人前の惑星で、248年もかけて太陽を1周しています。冥王星は地球から光の速度で5時間以上も離れています。ここから見る太陽は夜空に輝く星の一つにすぎませんし、地球は望遠鏡がないと見つかりません。現在は9つの惑星しか知られていませんが、この時代には冥王星より外側にもいくつかの惑星や小天体が発見されているでしょう。さらに太陽系の果てにある彗星の巣(オールトの雲)を探検するのも面白そうです。


2100年太陽系の旅 その1

2000-01-01 00:00:00 | 星空の案内

◆現代は火星や木星、さらに光の速度で1時間もかかる土星まで探査機が送り込まれる時代です。アメリカ火星協会は10年後には火星に人類が降り立つと発表しているし、NASAは30年後には月旅行が可能と言っています。日本でもロケット協会が観光用ロケット、清水建設が宇宙ホテルを計画しています。この様子では太陽系旅行も遠い夢ではなさそうです。将来どこかの旅行会社が惑星ツアーを企画すれば、地球の観光地に飽きた団体客が押しかけることでしょう。

◆時は西暦21××年、関西空港を飛び立ったスペースプレーンは1時間あまりで赤道上空の宇宙ステーションに到着します。ここにはビジネスホテルや火星の石が並んだ免税店がありますし、正月にはここから初日の出を見て新年を迎えるのがちょっとしたブームです。宇宙港には核融合ロケットや最新鋭の反物質ロケットが停泊していますが、これらは月を経由して惑星へ行く定期便や貨物便です。直接地上から宇宙空間に飛び出すには地球の引力をふり切らなければならず、多くの燃料が必要です。現在のロケットは総重量の9割が推進剤という非常に効率の悪い乗物ですので、宇宙ステーションで大型の宇宙船に乗り換えた方がはるかに経済的です。

◆週末は、重力が地球の6分の1しかない月面カントリークラブでゴルフをしたり、月面車でクレーター見物が手頃です。アポロ飛行士は月から見る地球は感動的だと言っていましたので、ぜひ地球をバックに記念写真を撮りましょう。月面には惑星連絡船の中継港、宇宙工場、宇宙鉱山などがあります。月の表土にはロケット燃料のヘリウム3やセメントの材料が豊富にありますし、わずかに水分も含まれています。

◆太陽に最も近い惑星、水星に向かいます。無数のクレーターにおおわれた表面は月とそっくりです。昼と夜の温度差は600度もあり、この暑さのため水も空気もありません。この星では朝がきて、次の朝がくるまでが176日もあり、その間に太陽を2周(地球の2年)するという何とも不思議な世界です。金星は厚い大気におおわれ、太陽の光をほとんど反射するので地球からは非常に明るく見える星です。女神ビーナスの別名を持つ金星は地球と似た条件で生まれました。しかし現在は、濃硫酸の雨が降る灼熱(470度)、超高圧 (90気圧) の恐ろしい環境ですので、着陸すれば宇宙船はペシャンコです。

◆赤い星、火星は地球によく似た惑星で1日は約24時間、四季の変化や地球の3分の1程度の重力、そして酸素や水、適度な温度もあります。地形も地球に似ていて太陽系最大のオリンポス火山(高さ26000m)やマリネリス峡谷(長さ6千㎞)があります。極地のドライアイス雪原(極冠)ではスキーができそうなので、アウトドア派にはお勧めでしょう。この時代には太陽系最大の宇宙都市(コロニー)が完成しています。


宇宙はブラックホールだらけ?~ブラックホールの正体 その2

1999-12-01 00:00:00 | 星空の案内

◆ブラックホールはその強力な重力で光さえ飲み込んでしまいます。私たちは光で物を見ていますから、光を出さないブラックホールを直接見ることはできません。ブラックホールの周囲には飲み込まれようとするガスの渦巻(降着円盤)ができます。そしてこの渦巻が高温になってX線を出します。つまり、宇宙でX線を出す天体を探せばよいわけです。1971年にX線天文衛星がとらえた「白鳥座X-1」はX線観測で最初に見つかったブラックホールの候補天体で、質量が太陽の10倍ほどあります。ちょうど白鳥座の頭から2番目の星の付近ですから、夜空を見上げれば私たちにもおおよその位置はわかります。その他にも大マゼラン雲X-3など候補天体がいくつか見つかっています。最近、ハッブル宇宙望遠鏡がブラックホールに飲み込まれつつあるガスの渦巻を発見して話題になりましたし、日本のX線天文衛星「あすか」もブラックホールの謎を探っています。

◆ブラックホールほど有名な天体はありませんが、これほど私たちに誤解された天体もありません。ブラックホールは周囲のガスや星、ときには仲間のブラックホールさえも飲み込み、まるでモンスターのように成長しつづけます。しかし、ブラックホールが何でもかんでも飲み込むといっても、それはある距離(シュバルツシルト半径)まで近づいた時のことです。SFでは宇宙船が簡単に飲み込まれたりしますが、それは近づきすぎたからです。星がブラックホールになったからといって重力が増える訳ではありません。ですからもし太陽がブラックホールになっても地球がそれに飲み込まれることはありません。

◆ブラックホールの表面を「事象の地平線」と呼びます。その中に入ると光さえ逃げ出すことができません。飲み込まれたら最後、バラバラの素粒子になって時間も空間もない中心の1点(特異点)に吸いよせられてしまいます。そして、彼らの最期の悲鳴がX線として私たちの耳に届くのです。

◆星の死後の姿は色々ですが、その一つがブラックホールです。そのブラックホールが星やガスを次々と飲み込み、やがて星の材料となるガスがなくなると新しい星は生まれなくなります。死んだ星とブラックホールだけが宇宙に残る・・・。ブラックホールもやがて蒸発して消える・・・。宇宙の最後がどうなるか、今はまだわかっていません。

※SFでは簡単にブラックホールをくぐり抜けますが、ブラックホールの彼方に飲み込まれて「別の宇宙」に行ったら二度とこの宇宙には戻ってこれない、と考えられています。では無事くぐり抜けたとして、飲み込まれた物はその後どうなるのでしょうか。ブラックホールとは反対に全ての物をはき出す「ホワイトホール」がどこか別の宇宙にあり、この2つの宇宙をつなぐ時空のトンネル「ワームホール」があると考える科学者もいます。誰もブラックホールに入った人がいないので確かめようがありませんが。


夜空にひそむモンスター~ブラックホールの正体 その1

1999-11-01 00:00:00 | 星空の案内

◆ゴムシートの上にボールを置くとそこだけ沈みこみます。この沈んだ底から出てくるにはある程度の速さ(脱出速度:地球は秒速11㎞)で駆け上がる必要があります。ボールが重ければ重いほど、そして小さければ小さいほどゴムシートは深く沈みます。そして、その深さ(重力)があまりにも大きく、底なしの状態になると秒速30万㎞という光の速さで駆け上がっても外に出てこれません。下りのエスカレーターを逆に駆け上がる姿を想像してください。エスカレーターのスピードがものすごく速いと、いくら頑張っても上にたどりつけません。このような天体がブラックホールです。理論上はどんな物質でも小さくつぶせばブラックホールになります。例えば太陽なら6㎞、地球ならビー玉の大きさまで押しつぶすとブラックホールになります。

◆では実際に、宇宙ではどのようにしてブラックホールが生まれるのでしょうか。太陽のような恒星は水素を燃料にして核融合エネルギーで輝いています。太陽の数十倍も重い星は燃料を使いはたすと大爆発(超新星爆発)を起こし、その反動で残った物質が自分の重みに耐えきれず中心に向かって収縮しはじめます。さらに重力が強くなり、そのうち収縮が止まらなくなるとついに光さえも逃げだすことのできない天体、ブラックホールになります。誤解されやすいのですが、ブラックホールは平面の「穴」ではなく暗っ黒な「球」なのでブラックボールと呼ぶほうが正しいでしょう。

◆このように、一生を終えた恒星の一部は超新星爆発を起こして小さなブラックホールになります。こうして生まれたブラックホールは銀河系には10万個以上はあるといわれています。一方、最近の観測では多くの銀河の中心に太陽の数百万~数千万倍の質量を持つ巨大ブラックホールがあると考えられています。私たちの銀河系の中心にある強力な電波源「いて座Aスター」は太陽質量の260万倍のブラックホールと推定されています。このような巨大なブラックホールがどうして生まれたかは、まだ分かっていません。

※夜空の星が丸いのは、星自身の重さで縮もうとする力と、星の内部のエネルギーで膨張しようとする力がつりあっているからです。エネルギーを使い果たし膨張の力が弱くなると、重さで縮もうとする力によって小さくなり(重力崩壊)最後は1点に集中します。


星が死んで私たちが生まれた?~輪廻転生の宇宙

1999-10-01 00:00:00 | 星空の案内

◆私たちは何もない宇宙でどうやって生まれてきたのでしょうか?。150億年前、宇宙が生まれたころは水素とヘリウムしかありませんでした。これは世の中で最も単純な物質(元素)です。この水素とヘリウムが集まって最初の星々が誕生しました。そのうち核融合反応で一人前の星として輝き始めると酸素や炭素、鉄などが次々と星の内部で作られました。やがて、特に大きな星(赤色超巨星)は最後にすさまじい大爆発(超新星爆発)を起こし、まわりに色々な物質をまき散らして死をむかえます。この大爆発の時に金やプラチナといった鉄より重い物質が生まれました。特に金は最も変質しにくいので、私たちにとってはとても貴重です。こうして宇宙にすべての元になる物質が少しずつできてきました。この大爆発で宇宙にまき散らされた物質は、やがて再び重力で集まり(暗黒星雲)、この中から次の世代の星たちが生まれました。

◆宇宙は星の生と死からできています。この生と死を繰り返すことで、私たちの宇宙は豊かな物質で満ちあふれるようになりました。水、空気、土、草木、・・・、私たちの身体さえも何度かの星の死を経験しています。このように、いくつかの星が死んだおかげであらゆる生命が生まれました。そして、私たちの死はいずれ新たな星や生命の誕生へとつながります。夜空に輝く星も私たちの身体も同じ材料からできているというのは驚きです。150億年という気の遠くなる宇宙の歴史の中で太陽や地球が生まれ、私たちが生まれました。ですから、あなたの身体には宇宙が誕生してからの歴史が刻まれているわけです。

◆夜空に輝く星はどれもみんな同じように見えます。しかし星には生まれたばかりの星、働きざかりの星、年老いた星、死んでしまった星などさまざまです。このように、星にも私たちと同じような一生があるのです。1987年2月に大マゼラン星雲の中で起きた超新星爆発が地上からも観測されて大変話題になりました。人類が肉眼で見た星の最期としては実に400年ぶりのものです。

◆地上600㎞に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡は白鳥座(網状星雲)や牡牛座(かに星雲)に超新星爆発の残骸、わし星雲やオリオン大星雲に生まれつつある星の卵を観測しています。超新星爆発の観測では世界一の能力を持つスーパーカミオカンデ(岐阜県)の活躍が期待されています。星の一生といっても数千万年から百億年といったスケールですから、私たちからすれば気が遠くなるほど長いものですね。


速く動けば歳をとらない?~相対論と時間旅行 その2

1999-09-01 00:00:00 | 星空の案内

◆昔々、あるところに浦島太郎というとても親切な漁師がおりました。彼は子供にいじめられている亀を助け、お礼に龍宮城に招待されました。数日間を過ごしたあと村へ帰ってみると、自分の知った村人は誰ひとりおりません。なんとそこでは数十年の歳月が流れていました。やけになった浦島太郎が玉手箱を開くと・・・。かぐや姫伝説とならぶ日本の代表的な古典SFですが、このお話のような不思議な現象を相対論では「ウラシマ効果」と呼んでいます。

◆前回お話したように、過去へ行くことは不可能ですが相対論では未来へは行くことができます。光速(秒速30万㎞)の99%で飛ぶロケットの中で1年過ごせば地球では7年がたちます。つまり、速く動けば時間がゴムひものように伸びることになります。もし、地上から望遠鏡でロケットの乗客の動きを見ると、スローモーションのように見えるでしょう。そこでは時計の針はゆっくり時を刻み、乗客の呼吸や心臓の鼓動も、そして身体の細胞さえも動きが遅くなります。しかし、彼らは時間がゆっくり流れていることなど全く知りません。地上に帰ってきて始めて自分たちの時計が地上の時計より遅れていること、そしてそこがはるか未来の地球であることに気づきます。

◆誤解しないでほしいのは、速く動けば歳をとらないわけではありません。ロケットの速さが光速に近づけば「ロケットの1時間」が「地球上の1時間」に比べてゆっくり進んでいくように見える(つまり伸びている)だけです。そこにいる人にとって1時間はやはり1時間です。あなた自身が若返るわけでも、あなたの寿命が延びるわけでもありません。長い宇宙旅行から地球に帰ってきたあなたは、浦島太郎のように孤独な人生をおくることになるかも知れません。


織り姫星が北極星になる?~移り変わる北極星

1999-08-01 00:00:00 | 星空の案内

◆夏の夕方、頭の真上あたりでひときわ明るい星が見つかります。こと座の一等星ベガ、中国では織女、西洋では真夏の女王、そして日本では織姫星として知られています。ベガは青白く輝く星で、私たちからの距離は25光年、大きさは太陽の約3倍、本当の明るさは太陽の約50倍、表面の温度は1万度近くあります。光度は普通の一等星よりも明るい0.0等で、星の明るさを決める基準の星になっています。織姫星と天の川をはさんで輝くのが彦星(牽牛)です。彦星はわし座のアルタイルのことで、この2つの一等星と白鳥座のデネブで夏の大三角ができあがります。

◆七夕は本来、旧暦の7月7日なので現在の暦では8月中旬です。各地では7月に七夕のお祭りをするのが一般的ですが、織姫星も彦星もまだ東の空に低く、しかも梅雨の真っ最中なのでなかなか見ることができません。ここ数年は天気に恵まれないので、七夕星に願いをかけるのも難しいですね。最新のヒッパルコス衛星の観測によると2つの星の距離は14.4光年、つまり136兆2200億㎞にもなります。2人の距離のなんと遠いことでしょうか。

◆地球は北極と南極を結ぶ軸を中心に自転しています。そして、この自転軸はコマのようにゆっくりと首ふり運動(歳差運動)をしています。このおかげて、自転軸の延長上にある天の北極は2万6千年かけて大きな円を描きます。天の北極の近くにある星が北極星です。現在の北極星はこぐま座α星ですが、ピラミッドができた頃の北極星はりゅう座α星でした。1万2千年後には織姫星のベガが北極星になります。

◆北半球の星空は北極星を中心に回転しているように見えます。北極星が変わるということは星空の回転の中心が変わることです。これを当館のプラネタリウムで再現してみると数千年前には市内から南十字星が見えていましたし、ベガが北極星になる時代には夏にオリオン座、冬に蠍座が見えます。


天の川

1999-07-01 00:00:00 | 星空の案内

私たちは銀河系という2千億個の恒星の大集団の中にいます。銀河系は真ん中が膨らんだドラ焼のような円盤形をしていて、直径は10万光年です。太陽系はその円盤の中心から3万光年のところにあります。地球から円盤に沿った方向を見渡すと、銀河系の星たちが帯状にたくさん見えますが、これが天の川です。実は、天の川はどの季節でも見えているのですが、射手座の方向に銀河系の中心があるので、この付近の夏の天の川は特に濃くなっています。市内で天の川を見るのはとても無理ですが夏休みに高い山にでかけたらぜひ観察してみましょう。あまりの星の多さにびっくりするかもしれませんよ。


タイムトラベルは可能か?~相対論と時間旅行 その1

1999-07-01 00:00:00 | 星空の案内

◆アインシュタインの相対論では「速く動けば動くほど、時間はゆっくり進む」ことになります。ジェット機に精密な時計を積んで地球を何周もしたところ、地上の時計よりわずかに遅れていたという実験結果もあります。この相対論を使えば未来へのタイムトラベルも可能です。ロケットで光に限りなく近い速度で地球を出発し、また地球に戻って来るだけ。戻って来た地球は、出発した時よりずっと未来の地球になっているはずです。「猿の惑星」の主人公が2千年後の未来の地球に飛ばされたのもこれと同じことです。しかし、未来に行くだけならもっと簡単な方法もあります。あなたの身体を冷凍保存して、千年後に解凍すれば、あなたは確実に千年先の未来に行けるのですから。ただし、誰かが解凍してくれなければ永遠に凍ったままですが・・・。

◆未来へ行くのはそれほど難しくありませんが、過去へ行くのはどうでしょうか。タイムトラベルというからには未来や過去に自由に行き、最後は現在に戻らなくては面白くありません。そこで、SFでは時空のトンネル「ワームホール」や、過去に向かって走る物質「反物質」が使われます。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は反物質、「ターミネーター」はたぶんワームホールを利用したタイムトラベルです。しかし、残念ながら現実には過去へ行くことは不可能というのが物理学の定説です。なぜなら、私たちはいまだかつて未来からの訪問者に出会ったことがありませんから。また、過去に行って自分の祖先を殺すと自分が存在しなくなり、過去に行くこと自体できなくなります。これをタイムパラドックスといいますが、これでは話がややこしくなってしまいます。「ロスト・イン・スペース」では過去の自分が未来の自分と対話するという、とんでもない場面がありますが・・・。


弾丸よりも速く、音よりも速く

1999-06-01 00:00:00 | 星空の案内

◆私たちはふだん地球の自転を感じないで生活しています。もし、私たちに自転が感じられたなら1日中眼を回していることになり大変です。地球の中心から地表を見ると日本列島は秒速380mという「超音速」で動いており、これはピストルの弾丸と同じです。もちろん北極や南極での速度はゼロで、赤道付近での速度が最大です。赤道付近に住む人々は、いつも弾丸よりもはるかに速く動いていることになります。種子島の宇宙センターをはじめ、世界のロケット打ち上げ場所ができるだけ赤道近くにあるのは、この自転運動を使ってロケットの燃料を節約するためです。

◆地球は太陽のまわりを1年かけて公転しているので、太陽から見ると地球は秒速30㎞で動いています。秒速30㎞というのはどんなロケットでも出せない速度です。さらに、太陽系は銀河系の中心を2億年以上かけて公転していますが、その速度は秒速250㎞にもなります。そして銀河系もまた大きな河の流れのように秒速400㎞で動いています。私たちはふだん何も感じないで生活していますが、この瞬間も地球は私たちを乗せて想像をはるかに越える速さで宇宙空間を動いているわけです。

◆ところで、地球がもし太陽の引力をふりきって宇宙空間をただよいはじめたらどうでしょうか。時速10万㎞で進む巨大な「宇宙船地球号」の誕生です。これが実現すれば、私たちはじっとしたまま宇宙を旅することができます。土星までたった2年、太陽系の外へ出るのに7年、隣の太陽系まで4万5千年です。ただし、太陽から遠く離れてしまうので氷の惑星になる覚悟は必要です。


宇宙むかしばなし~宇宙と太陽系の誕生物語 その2

1999-05-01 00:00:00 | 星空の案内

◆星(恒星)の世界では生まれた時の大きさで寿命が決まってしまいます。大きく生まれた星は明るいのですが、燃料(水素)をたくさん使いすぎて長生きできません。小さい星は燃料を節約するのであまり明るく輝きませんが、ずっと長生きします。太陽は中ぐらいの大きさなので、寿命は約百億年。いま太陽は働き盛りの50億歳なので、あと50億年は輝き続けることでしょう。

◆太陽が誕生した時、太陽になり損なって渦を巻いていたガスやチリ(原始太陽系星雲)はお互いにくっついて固まり、無数の小さなかけら(微惑星)ができました。そのかけらは何度もはげしく衝突をくり返して雪だるまのように大きくなり(小惑星)、やがて太陽のまわりを回る星(原始惑星)になりました。私たちの「太陽系」の誕生です。さいはての「冥王星」は他の星とは性格が違うので、どうやって生まれたのかわかっていません。

◆数億年後、太陽系で3番目の星に異変が起きました。青く美しい星「地球」、この星は太陽系でも特別な場所にいたために液体の水が海を作りました。海はさまざまな物質を溶かしこむ天然の化学工場となり、ここから幸運にも生命が誕生したのです。それから40億年の歳月が流れ、彼らは自分たちや宇宙について考える知的生物にまで進化しました。

◆こうして銀河系には、太陽をはじめ約2千億の輝く恒星、地球の仲間の惑星、月の仲間の衛星、星になれなかった岩のかたまりの小惑星、氷のかたまりの彗星、ガスやチリの集まりの星雲、光さえも吸いこんでしまうブラックホールなど様々な天体が生まれました。ところで、ある日突然、大爆発で誕生した宇宙はどうなったのでしょうか。150億年たった今もなお、光の速さで風船のようにふくらみ続けているそうです。ですから、宇宙の果てがどうなっているかなんて、永遠に謎でしょうね。おしまい。

※近年、牡牛座やオリオン座に「分子雲」や「原始星」が観測されています。


宇宙むかしばなし~宇宙と太陽系の誕生物語 その1

1999-04-01 00:00:00 | 星空の案内

◆ずっとむかし、むかし、この世が暗く冷たい闇にとざされていた頃のことです。そこは光も時間も空間もない「無の世界」でした。ある日のこと、小さな小さな火の玉が現れました。その大きさは1ミリの千兆分の1にも満たないものでしたが、温度はなんと千億度の千億倍のさらに百億倍(1032度K)もあったそうです。この火の玉は一瞬にして爆発し(ビッグバン)、大きくふくれあがりました。それはそれはこの世のものとも思えないほど、ものすごい光と熱の大爆発だったそうです。こうして私たちの宇宙は、時間や空間とともにこの世に生まれました。そして、最初のたった3分間で今の宇宙のもとができあがりました。

◆宇宙が生まれてしばらくすると、水素とヘリウムができました。この世で最初にできたすべての物質のもと(元素)です。10億年ほどたって、しだいに冷えてきた宇宙には星や銀河ができました。星の中では水素とヘリウムから炭素、窒素、酸素、鉄といった私たちの体の材料になる成分が生まれ、宇宙空間をただよい始めました。

◆それから百億年ほどたった頃のことです。銀河系の片すみにも一つの星が誕生しようとしていました。まず最初に、冷たいガスやチリが集まって雲(星間雲)ができました。その雲の特に濃いところ(分子雲)がさらにまわりの雲を集めてどんどん大きくなり、やがてぐるぐると渦を巻き始めました。特に中心のほうは、ガスをたくさん集めすぎたたためにギュウギュウづめになり、とうとう星になってしまいました。

◆その星は自分の重みにたえかねて、しだいに縮みはじめ、自分の重みを熱や光に変えて輝きだしました。星の赤ちゃん(原始星)の誕生です。さらに縮んで熱くなり千万度になった時、今度は自分自身を作っている水素を材料に輝きはじめ(核融合)、一人前の立派な星(主系列星)に成長しました。母なる星「太陽」の誕生です。


天の狼「シリウス」  

1999-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆冬の夕方、南の空でひときわ明るいのが、おおいぬ座の一等星「シリウス」です。これはギリシア語の「焼きこがすもの」という意味です。夜空でいちばん明るいこの星が、今にも天を焼きこがしそうだと昔の人は思ったのでしょうか。この星があまりに明るいので中国では「天狼星」と呼ばれていました。この星が明るいのは地球からわずか9光年しか離れていないためで、他の星より特別明るいわけではありません。

◆エジプトでは、この星が朝日とともに東空にのぼる日を1年の始めとしました。これをシリウス暦といいます。ちょうどこの頃ナイル河が氾濫し、種まきの時期をむかえます。エジプト人にとってシリウスはとても大切な星だったようですね。


小さな太陽「核融合ロケット」~SFと宇宙旅行 その3

1999-03-01 00:00:00 | 星空の案内

◆さらに遠くをめざす銀河旅行には「ラムジェット」を使います。宇宙空間は真空で何もないように思われますが、本当は希薄な水素原子がただよっています。この無限にある水素をかき集めて核融合の燃料にしながら飛び続けることができれば、地球から燃料を持って行く必要はありません。永久に飛び続ける自給自足型のロケットなので、未来の宇宙船はこのタイプになるでしょう。

◆核反応には核分裂と核融合があります。核分裂は原子力発電に利用されていますが、はるかにエネルギーの大きな核融合は研究段階です。太陽や夜空の星はこの核融合反応で輝いているので私たちにとって夢のエネルギーといえます。近い将来、私たちのエネルギー源はすべて核融合になるかもしれません。機動戦士ガンダムのモビルスーツ、スターウォーズの宇宙船をはじめSFでおなじみのスーパーメカは、ほとんどがこの核融合エンジンで動いています。

◆アンドロメダ銀河まで準光速のロケットでも230万年以上もかかってしまい、これではとても実現不能です。ところが相対論によるとロケットの中では不思議なことが起こります。光速に限りなく近づくと「ロケットの中」だけ時間がゆっくり進み、アンドロメダ銀河までわずか数十年で到着します。しかしその間、地球上では230万年以上も過ぎています。家族や友人はとっくの昔にいませんし、すでに地球そのものが滅亡しているかもわかりません。たとえ銀河旅行が可能になったとしても、果してそんなロケットに乗る人がいるのでしょうか。

◆98年から国際宇宙ステーションの建設が始まりました。早ければ10年後には有人火星ロケットが実現しますし、太陽系の外への宇宙旅行も遠くないでしょう。しかし将来、もしあなたが銀河宇宙船の優秀なパイロットになったとしても、銀河系の果てまで行って独りぼっちになるより、帰る所があるうちに引き返すほうが身のためかも知れませんね。