角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#249 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」が秀句なら「五月晴れ『安倍頑張れ』の女性デモ」は如何?

2018-05-20 06:19:36 | 感性と理性と


5月19日(土)のこと、(ウチの)奥様と、気まぐれにコ◯ダコーヒーへ行きました。で、そこに中日新聞が置いてあったもんだから、ついうっかり読んでしまったわけですが、久しぶりの中日節、いや、面白かったです。

4面【考える広場】に、#Me Too そして、あなたは?

なんていうステキ特集記事とか、

16面【東三河】には、障害者生き生き カレー店 豊橋 元市職員の柴田さん開業

という(こちらは、まあ普通に)素敵地方記事とか、なかなか読ませてくれました。


中でも「ほほ〜」と思ったのが「社説」でして、以下、まず所々伏せ字で一部引用してみます。


 「◯◯◯◯」の言葉が入った俳句を掲載拒否。さいたま市の公民館で起きた問題は表現の自由を奪うに等しい行為だ。だが東京高裁は違憲とはせず、わずかな賠償を市に命じたのみだ。疑問に思う。

 「◯◯◯◯『◯◯◯◯』◯◯◯◯◯」-。二〇一四年、俳句サークルの女性が詠んだ句は、会員の投票で「秀句」に選ばれた。慣例により公民館の月報に掲載されるはずだった。ところが、公民館側は「不掲載」と判断した。

 ちょうど◯◯◯◯◯◯の問題が大きな政治課題となっていた時期にあたる。公民館側はサークル側に「公平・中立の立場から掲載は好ましくない」と説明した。

 だが、この判断はおかしい。なぜなら、俳句を詠んだのは女性なのであり、表現の自由が憲法で保障されている。公民館側が「◯◯◯◯」の言葉に対し一方的に「公平・中立」というものさしを持ち出し排除することは、その自由を踏みにじることになるからだ。

〜〜〜中略〜〜〜 

 さらに深刻に思うのは、◯◯◯◯問題にとどまらず、公共施設などで中立性や公平性を盾にして、さまざまな集会などが制限されてはいないかという疑いだ。大学でも集会は全く自由ではない。表現や言論の自由が息苦しい。


〜〜〜後略〜〜〜


ええ、ええ、いちいち「ごもっとも」。そのとおりでございますよ。一般論としては!

それでは、答え合わせにいってみましょう。伏せ字開きます。


 「九条守れ」の言葉が入った俳句を掲載拒否。さいたま市の公民館で起きた問題は表現の自由を奪うに等しい行為だ。だが東京高裁は違憲とはせず、わずかな賠償を市に命じたのみだ。疑問に思う。

 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」-。二〇一四年、俳句サークルの女性が詠んだ句は、会員の投票で「秀句」に選ばれた。慣例により公民館の月報に掲載されるはずだった。ところが、公民館側は「不掲載」と判断した。

 ちょうど集団的自衛権の問題が大きな政治課題となっていた時期にあたる。公民館側はサークル側に「公平・中立の立場から掲載は好ましくない」と説明した。

 だが、この判断はおかしい。なぜなら、俳句を詠んだのは女性なのであり、表現の自由が憲法で保障されている。公民館側が「九条守れ」の言葉に対し一方的に「公平・中立」というものさしを持ち出し排除することは、その自由を踏みにじることになるからだ。

〜〜〜中略〜〜〜 

 さらに深刻に思うのは、九条俳句問題にとどまらず、公共施設などで中立性や公平性を盾にして、さまざまな集会などが制限されてはいないかという疑いだ。大学でも集会は全く自由ではない。表現や言論の自由が息苦しい。


〜〜〜後略〜〜〜

*CHUNICHI Web:社説 5月19日 9条俳句訴訟 表現の自由を侵すのに
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2018051902000118.html


う、胡散臭〜〜〜。正しさ半減?


いや、それでも、そのクサい匂いはこの際我慢するとして、ワタクシそもそも・・・

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」

・・・って、俳句としてどうなの? これを「秀句」に選ぶ俳句サークルって何なの? というところに関心があるんですけど。

何しろ、ワビもサビも、何なら味もない、政治文学(そんな範疇があるのかどうか知らないけれど)としてストレート過ぎて、鑑賞する側に解釈の余地がほぼない気がするんですけど。そういうの「ダサ句」って言うんじゃないの?


この社説氏、詠まれた句が、たとえば・・・

「五月晴れ『安倍頑張れ』の女性デモ」

・・・だったとしても、同じこと言ってくれるのかしら? いや、だからそれだと、そもそも「秀句」に選ばれないのかな。これもワビ・サビなし。あ、でも、ちょっとばかり韻を踏んでる分だけ「梅雨空に〜」より味はあるんじゃないかしら?


おっと、イカンイカン、何だか話がとんでもない方向に行ってしまいました。


と、ここまでくれば、ああ、あのニュースのことかと気付く方も多いでしょう。



〈憲法9条について詠んだ俳句を「公民館だより」に載せるのを拒んだのは、憲法が保障する表現の自由の侵害に当たるとして、作者の女性(77)がさいたま市に句の掲載と200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は18日、掲載しなかったのは違法だとして一審さいたま地裁に続き賠償を命じた。慰謝料は5万円から5千円に減らした

*47NEWS:9条俳句訴訟、二審も賠償命令「表現の自由を侵害」
https://this.kiji.is/370111152463561825?c=39546741839462401


要はこのテのニュース、新聞たるもの「社会の木鐸」として〇〇〇〇の如何に関わらず、いつも同じスタンスでお願いしますよ、って言いたかったんでした。時に一般論で押し通すかと思いきや、時に特殊事情を持ち出して擁護(もしくは批判)したりというのを、これまで幾度も見て(読んで)きましたからね。


蛇足ながら(ウチの)奥様は、

〈だが、この判断はおかしい。なぜなら、俳句を詠んだのは女性なのであり、表現の自由が憲法で保障されている。公民館側が「九条守れ」の言葉に対し一方的に「公平・中立」というものさしを持ち出し排除することは、その自由を踏みにじることになるからだ〉

という段の「俳句を詠んだのは女性であり」に、何だか猛烈引っかかりを覚えたらしくてですね、

何でここで「女性」って言う必要があるのよ? 女性だから表現の自由があるわけじゃないでしょ! オジサンなら踏みにじっても良いって言うの?

くらいに暴走。いやいや、書いた人は、たぶん「一般市民」という代わりに「女性」を使ってるだけで他意はないと思うよ、となだめても、

こういうところで無意識に「女性」を持ち出すところが、男女差別! セクハラ!!

と、えらく憤慨、息巻いております。


ワタクシ、えーっと「触らぬカミに祟り無し」? そっとしておきます。

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この俳句サークルがもともと「そういう人達」のものだったのか、それとも提訴後くっついた「応援団」なのか不明ですが、こんなサイトがありました。

青葉光る我等の轍刻みゆく 1審さいたま地裁につづき、東京高裁でも勝訴!!



*「九条俳句」市民応援団公式サイト
http://9jo-haiku.com/


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(中日WEBは、わりと短時間で消えてしまうかも、なので、こちら5面と29面です。クリックで拡大できます。参考までに)





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