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【シスター・コンソラータ ー 愛の最も小さい道 ー】(第4部・第25章)

2022-09-04 15:21:11 | 日記
第二十五章 三つの絶頂へ向かって

〈きわめて偉大な英雄心〉

コンソラータはモリオンドにひっこししたばかりの一九三九年八月に書いた。「私は神がこのモリオンドで毎日英雄心を要する機会をいっぱい与えてくださることに気づきました。もちろん私は自由に選択ができますが、私の人性がため息しても、完全にその機会を受け入れないうちは平安を得られません。」

精神、心、からだを完全にささげ、恵みが次第により苦しい犠牲を要求しても、一度もいなまず、常に甘受し、神と隣人に対する愛は、真に限りを知らなかったコンソラータのような霊魂は、最高の絶頂でなければ満足できなかった。すなわち、今までかつて、だれもしなかったほど愛し、苦しみ、霊魂を救うこと。その高い理想は、無限の信頼を前提としていた。

〈英雄的信頼〉

指導司祭に書いている。「私は確かに、私の無限の理想に全部達しうると確信しています。私は自分の弱さをよく知っていますが、神の全能を堅く信じております。もし全能の神が私のような臆病な無益な道具で、傑作をお作りになるなら、それはイエズスの聖心の特別の栄えの源となるでしょう。」

「私はイエズスが聞きいれてくださるまで、何度でも、愛、苦しみ、救霊についての私の無限な希望をイエズスに申し上げます。また十字架の道行の各留ごとにイエズスがうんざりなさるほどそれを繰り返します。この偉大な恵みをうる唯一の条件は、絶え間ない祈りによってしきりにせがみ、熱望することです。自分が変わりやすく臆病で、みじめそのものであることはよく知っていますが、同時に神が全能であることも知っています。だからこの最も小さな霊魂と神との間に信頼という掛け橋を掛け渡せば、私は全く無価値な者ですが、最も小さい者であるがために、イエズスが、私の望むすべてを与えてくださるのです。イエズスが与えてくださった愛によって、どんな苦しみ、戦い、自己放棄をも、少しも恐れません。

時々私はイエズスに冗談を申し上げます。『私が望んでいる偉大な苦しみと、それに耐える力をくださらないなら、あなたは全能ではありません。でも私はあなたの全能を信じています。』

神父様、私はすでに、私の望む大きな愛と苦しみの道を歩き始め、今や、すベてを得ようと望む大胆不敵な信頼によって、挑戦状は差し出されました。信ずる者にはすべてが可能です!

神父様、信仰は、私の中で無限に大きく成長したように思います。私は信仰を保つばかりでなく、もっともっと大きくするために、祈りにしっかりすがりついております。繰り返し申しますが、この小さい子どもと神の聖心の間には、無限の信頼という橋が、かかっています。」(一九四二年九月十日)

一九四四年十月二十二日にしるしている。「もし、愛、苦しみ、救霊の三つの絶頂に達することが不可能ならば、全能の神は、どうしても達したいという希望を私の心に注がなかったでしょう。私は罪だらけな者ですが、神は全能です。私は神を処り所にしております。将来私がすべての人の慰め手(コンソラータ)となるために、神に依り頼みながら、私は、この三つの絶頂に向かって進みます。ああ、イエズスよ、あなたは全能です。将来世界の人々に祈りの力を見せるために、このすべてを信じます。」

信頼とは単なる確信ではなく、コンソラータの実際生活において具体化されたとおり、絶えざる祈りと、自己のすべてを完全に本気で神にささげて、寸刻もやめない努力の結合である。この英雄的な信頼こそ、イエズスの聖心とともに、成聖への原動力である。

コンソラータは激しい苦しみと心の暗黒の中で次のように書いた。

「私は、現在の、全く無に等しい自分の中で、信頼だけを、三つの絶頂に向かう基礎にする決心です。神の全能により頼むことによって、熱望するすべてを得ると堅く信じます。この決心が成功するためには、ただひとつの疑いも心に入ることを絶対許さず、単に信ずること。── 不動の信仰をもって信ずるのみ! 自分の無を信じ、神の全能を信ずるこの信頼によって私はすべてをうることができるでしょう。」

〈英雄的忠実〉

コンソラータは、愛、苦しみ、救霊の三つの絶頂を望んで、いろいろな決心や誓約を立てたが、それらは互いに関係があり一致しているものであって、ちょうど炎々と燃え上がる偉大な愛の火の炎のようなものである。愛の祈りに対する英雄的な忠実によって、神に対する愛の頂に達し、また日常生活の中で神のおぼしめしによって起こる犠牲と愛の機会に常に「はい」ということによって、隣人愛と苦しみの頂に達する。

この二つの頂に達することによって、必然的に、不滅の霊魂を救うという救霊の頂へ登り、それ以上不可能なほど多くの霊魂を救うことができる。コンソラータは、いよいよ生涯の最後にあたり、恵みに励まされ、何がなんでも決心を実行する鉄のように堅い意志、不動の根気強さ、絶えず燃える精神の熱火を傾けて、その三つの絶頂へと向かった。

一九四三年五月、「私の霊魂は神に対する英雄的な忠実で満ちています。」と書いたコンソラータは、その忠実を、三つの高い理想へ向かう道において、保ってゆくにはどうしたらよいかと、イエズスに聞いた。ちょうど重労働をする人が普通の人より十分な栄養を要するように、それほど高い理想に向かって、英雄的忠実を保つためには、十二分の祈りと、十二分の不動の意志が必要であることを、恵みによって悟った。

「私は自分の道を歩みながら、反感、嫌悪、退屈、不快ばかり感じます。ただ目前の瞬間だけに注意し、落ち着いて次の瞬間のことを考えるだけの力がありません。私の生活をイエズスのおぼしめしどおりに形成して生きるには、英雄的にならねばなりません。そして神だけが、その力を与えることができます。そこで私は、祈りにすべて信頼し、必死になって祈りにしがみついています。」

一九四三年十二月の初金曜日に、自分の特別な誓約を次のことばでまとめた。「完全に共同生活に参加し、各瞬間、完全に自己放棄し、不要な考え、心配、干渉を心に入れず、不要なことばを一度も話さず、絶えず『イエズス、マリア、あなたを愛します。霊魂を救ってください』と祈りながら、沈思してすべての人にイエズスを見、彼らをイエズスとして取り扱い、すべての人、すべての事情に、常に微笑しながら『はい』と答え、すべての苦悶を、少しの緩和も求めず、黙って耐え忍ぶこと。」

「私は弱さそのもの、全くつまらない弱さしか私にはありません。けれども正反対に、イエズスは神の力そのもの、全能であられます。……神の全能を信じ、あらゆる信仰をふりしぼって、英雄的な忠実を請い求めます。」

一九四四年九月の黙想会の時、世界に平和をもたらすため、苦しみの絶頂への準備のため、「愛の最も小さい道」を更に励まねばならぬことを、恵みにより悟り、殉難の絶頂で死ぬだろうということを知った。

「わが神よ、あなたが世界に平和をもたらしたもうよう、御助けのみに信頼しながら、今までも、今も、将来も、だれも苦しまないほど苦しむことを覚悟いたします。またその苦しみをみな、必ず、沈黙しつつ、愉快な心で耐え忍ぶことを約束いたします。……『愛の最も小さい道』の教えを手に持ちながら、私は墓にはいります!」

自転車競争などで、じょうずな競技者は決勝点の近くでラスト・スパートをかけて、群れから前方に飛び出し一着になるように、コンソラータも、外的内的の英雄的な沈黙によって、すべての人、すべてのもの、自己からすらも、自分をはずして飛び出し、神と人とを英雄的に愛しながら、完全に人に隠れて激しく苦しむことにより、ラスト・スパートをかけたいと思った。そこで一九四五年の一年間は、特に克己と自己献身に励み、自分に関する興味、心配、希望などを全部捨て、愛と救霊のことのみ考えるようにがんばった。一九四五年八月四日指導司祭に書いた。

「今まで、私はイエズスの『私はすべてのことを考えてよくしてあげるから、あなたは、私を愛することだけ考えなさい!』という御ことばを、物質的なものばかりに関係していると思いました。けれども今、私はそれが完全な自己献身を指していることを悟ってきました。『私はあなたのすべてを考えてあげる』とは、イエズスが、私の成聖や、愛、苦しみ、救霊、つまり最も些細なことまですべて考えておられるという意味です。したがって、私には、『あなたは私を愛することだけを考えなさい』ということだけが、私のなすべきこととして残っています。」

 「霊魂がすべての妨害から解放されることは、なんという喜びでしょう!愛の祈りと愛の行ないをひとつも怠らないように注意するほかは、何も見ず、何もかまわず、私ができないことも全然恐れないということは、ほんとうに幸福です。イエズスよ、喜んで私をささげ、あなたに信頼いたします。常にあなたの聖心の真中で完全に安心して、あなたの愛に抱擁されながら前進すること! 前にあなたは『過去、現在、未来を通してだれもそれほど愛する者がないほど私を愛したいか?』とお聞きになりました。あの時、私は震えながら、『はい、イエズス』と答えました。だれにも負けないで、最後の息をひきとる時、一着で決勝点に着きますように!」

 一九四五年二月二十八日、指導司祭に書いている。「今、私の霊魂の中では、すべての人、すべてのことに対する沈黙が勝利を得、救霊のほかは何も考えない状態です。もう天国の生活のように、神からの無限な平安に満ち、最も小さな悪の影にもすぐ敏感に気づくほど清くなって、私と、愛する祖国と、全世界に関するイエズスのおぼしめしに、完全に献身している生活です。すべて、すべてイエズスの望みたもうように! 私は今、最も小さい霊魂の生活を生きています。神父様、どうぞ私がその高い絶頂から落ちないように祈ってください!」

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