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紙を彫る。紙で染める。

工房だより*初盆にあたりご報告

毎日これでもか!
という暑さが続いております😅
皆様お元気でお過ごしでしょうか?





今日は、型屋2110こと那須恵子は中古車販売店にてマイカーを受け取ってまいりました!

🚙う🚙わ🚙あ🚙あ🚙あ🚙い🚙!🚙



ついに齢40にして
12年近く甘んじた自転車ライフ卒業することとなりました。


今まで全く車は必要なかったのかといえば、伊勢型紙の産地である鈴鹿市は程よい自然あふれる地方都市ですので全くそんなことはなく。

宅急便を出すにも、ホームセンターに行くにも、車が必要でした。


自転車ライフの那須さんがそんな時どうしていたのか....
先に謝っておきます。

はい すみません。
めちゃめちゃ親方を送り迎えの足に使っておりました!!



   鬼弟子




送り迎えの足だけではありません。


日々増え続ける那須の荷物を片付ける棚を突然購入してくれたり(頼んでないのに)

中堅技能者賞とかいう私が頂いた賞状を額に入れて飾ってくれたり(頼んでないのに)

スーツケースもリュックも
借りたいものがあれば何でも差し出してくれたり(那須はその後流れるように借りパク)

何かと世話を焼いてくれる親方のホスピタリティは、世の伝統工芸の親方像とはかけ離れたものでした。



親方に教えを請うのが、弟子。

しかし我ら師弟の場合...



親方に弟子が仕事の進め方を相談。
せっかく親方がくれたアドバイスを私はそうは思わないと弟子が否定。
(親方:えええぇ....😧)
参考にせず自分のやり方で作業をはじめるというナゾの関係が成り立っていました(笑)



   鬼弟子(2回目)



弟子はいつも強気で、ともすればぶつかり合い、親方が折れて自らの成長として受け入れる。


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自分とは、性別も世代も
育った環境も違う
未熟な若人を寛大に受け入れる
親方の人柄あってこその師弟関係。
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でした。


















あれは5/24
凛九で作品撮影や集合写真を撮るため、春日井にあるABQ(株式会社油久)さんのモデルハウスでワイワイ撮影をこなした暑い日。
而今之光の制作が順調に進まない疲れもあり、その日は一旦アパートに帰り、そのまま寝潰れてしまいました。

翌朝5/25
昼前に自転車で工房着。
而今之光を出品する「カタコトの会展」の搬入日まで今日と明日1日しかない状況で追い詰められた私は、必死にアテバ(作業台)に向かっていました。



あと1日半....

焦ってもじっくり彫るしかない繊細な柄「而今之光」は
まだ20cm✕3cmほどの面積が彫り残っていました。


間に合うのかな...
まさか間に合わないのかな....

搬入が迫る展示会の準備もあと何をしなきゃいけないのか、漏れてる事柄はないか、
型彫りの最中もぐるぐると考え事がよぎります。

しかしとにかくこの型をやるしかない!

まさにいっぱいいっぱいのその日、
何故かどこかに出かけている親方が昼を過ぎても帰って来ない。
通院にしても長い。

いや、今はそれより作品を仕上げねば....!!!!!



妹弟子の丸田さんからも親方と連絡が取れないとラインがありましたが、私はお出かけの用事が長引いてるだけだと思い(思うようにして)、とにかく型彫りを続けていました。







しかしついに午後14時頃







親方の息子さんが突然工房に来訪。


嫌な予感がして私は慌てておもてに飛び出し、息子さんと遭遇。


私は考えないようにした「不安」が的中した事実を知ることとなりました。










心筋梗塞か何か....
突然の昏倒。
あっという間だったそうです。










もう今さら
何を焦ってもどうしようもない
家に居るしかない







混乱した頭に浮かぶのは
「この型を彫りあげなくては」という切迫感だけ。






結局その後、親方の顔が見れたのは翌日5/26の通夜の席でした。

工房に戻り次第、着替えもせず心を無にして(どう頑張ったって無にならなかったけど)
作品を彫り進め、翌5/27搬入日の朝には奇跡的に完成させる事が出来ました。




そして最後のお別れもせず
鈴鹿を経ちました。








人生で親の次に私を思ってくれた人
支えてくれた人
その恩人の最後を見届けないのか?
という迷いはありました。

しかし
私が而今之光を彫り上げ、染め屋さんに見てもらう事を心底喜んでくれるのは他でもない親方自身だという確信が
私を作品完成、東京出張へと突き動かしました..........










型彫りの師であり
生き方の師であり
寝食を共にする家族でありました



2010年10月からの
たった11年7ヶ月のご縁でしたが、

型屋2110那須

そして妹弟子の丸田さん

その他
保存会の皆様や

各地の彫刻実演で親方生田さんと出会い、少しでもご縁を持ったたくさんの方々

それぞれの胸の中で

生田さんの人柄、真摯な姿勢、静かな情熱は
あたたかな灯となり
永く灯り続けるような気がしています。

少なくとも
型屋2110と妹弟子の中では
どんな時も道を照らし続ける偉大な灯であると断言します。










あれからあっという間の約2ヶ月半
もうすぐお盆です。
初盆というのでしょうか?

早速マイカーを乗り回し、親方の好きなスイカ🍉を買い出しに行ってきました😄

あとは何が好きだったかな。


......。



まだ今は在りし日を思い返す度に、平静でいることは難しいのですが、少しだけ口に出す事に慣れてきた気がします。
やっと周りの方々へこの事をご説明する勇気が出せるようになってきました。




今回のブログは、あまり楽しい内容ではなかったかもしれません...
それでも長文駄文お付き合い頂き、最後までお読みくださりありがとうございました😌

あ、あと新生生田工房は型屋2110が引き継ぎ、那須の住まい兼工房となります。
丸田さんと2人の愉快な工房だよりを今後とも楽しみにして頂ければ嬉しいです😁♡😁

たまに というか
ちょいちょい
親方のエピソードもぶっ込んでいきたいと思います!
2人とも大好きやからな!!
親方が!


それでは今日はこの辺で
皆様よい1日を〜(^o^)/

コメント一覧

kataya2110
@田村有紀
うう、ありがとう🥲
いつも穏やかに隅っこで笑ってくれてる姿を思い出します。
前回展示会終わって心底ホッとしました😅
kataya2110
@ittobori-yui ありがとう!
そんなふうに見てもらえたなんて我ら師弟は幸せです。(良かった。私が老人をこき使ってるだけに見えなくて🤣)
胸を張って、うちの親方は素敵だと声を大きくして世にふれまわりたい!
これからも親方ファンクラブ宜しくお願い致します😄
ittobori-yui
生田さんは仕事をやりきった那須さんをみて喜んでるよ。
私もこの方すきだなぁって思える人で、それはお二人の掛け合いがとっても微笑ましくて羨ましいなぁって思えるくらいで、二人の雰囲気を見てたから尚のことだと思う。
これからも親方エピソード楽しみにしてるね☺️
田村有紀
なすちゃんの頑張っているところ、なすちゃんのいろんな気持ち、全部汲み取って見守って笑っていそうだね。素敵な師弟関係でお二人共かっこよかったです。にしても頑張ったね。展示も本当に素敵でした。
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