プレス金型メーカー「株式会社ナカムラ」の最新情報

株式会社ナカムラはプレス金型設計製作の専門メーカーです。様々なプレス金型に対応して設計製作しております。

ピアス型いろいろ

2012年04月03日 | Weblog
こんにちは。
久しぶりの更新です(^^ゞ

今日は、先日完成したピアス型のお話を少し。
ピアス型というと通常、軽作業のイメージが強いのですが、今回の課題はちょっと違いました。(-。-)y-゜゜゜
ただの四角い板に40X25の長穴2ヶ所をピアスするのですが、材質と板厚によって金型のスペックは大きく変わってきます。

↑の写真は、今回製作した金型でプレスした際にでるスクラップです。
製品の材質はSUS304、板厚10mmです。一番苦労した点は、抜き力の軽減です。
御覧の通り、プレス屋さんや型屋さんならすぐに分かると思いますが、スクラップは大きく変形して抜き力を分散しています。

通常弊社では製品の歪み等を考慮して、Rシャーや逆ルーフシャーにすることが多いです。しかし、今回の課題は・・・^_^;板厚の割にピアス穴の大きさが比較的小さくパンチの強度に心配が残ります。

そこで登場するのが、文字通り屋根の形をした『ルーフシャー』です。
職人さんによっては『船底』とか『山なり』とかいろいろな呼び方があるようですが、今回はあえてカッコよく『ルーフシャー』と呼びます(^^ゞ。

シャー角の一番の利点は、何と言ってもズバリ「抜き力の軽減」です。
平底パンチでプレスするよりシャー角をとる事によって、引当機のトン数を少なく押えられます。それによって、プレス時の騒音の軽減やブレークスルーの振動が軽減されるなどの利点が多くあります。

問題点としては、打ち抜きの際、曲げに近い力をワークが受けるので、板の反りや変形が比較的に出やすいことと、パンチ先端の再研磨の手間がかかることです。

ただ、最近では抜き力軽減よりも、騒音の問題からシャー角を付けることが多くなって来ました。弊社で製作する順送型等はかなりの割合でシャー角を付けてパンチを製作しています。

打ち抜き力が大きくなれば、当然ストリップ力も大きくなります。厚板の場合抜き力ばかりに目が行きますが、板の変形を押えて、パンチからワークをはがす、ストリップ力も非常に重要です。

今回のピアス型は、極端なルーフシャーに対抗して、上型に強力なガススプリングを内蔵して板押え兼ストリップ力を確保しています。(-。-)y-゜゜゜では、また。