軽井沢文化遺産保存

軽井沢文化遺産の保全活用と次世代継承

軽井沢の「旧スイス公使館」2億2千400万円で購入

2020年04月20日 | 歴史文化遺産

2015年8月22日(土)、軽井沢の「旧スイス公使館」の建物(木造)が一般公開されました。

午後には、公開シンポ「旧スイス公使館深山荘の謎を解く」が軽井沢町中央公民館で開催されました。

同建物は、「旧三笠ホテル」の斜め前に所在し、貸別荘の老舗・前田郷の敷地内にあります。

建物中央には、八角形の吹き抜けホール部分(3階相当)があり、

左手には、ベランダつきの洋間5室(8畳相当)が小川に面して並び、

右手には、中廊下をはさんで、小川側に洋間5室(6畳相当)、

反対側に日本間5室(6畳相当)が並びます。

そして階下には、広い共同の炊事施設、共同の浴室2箇所などがあります。

昭和戦前(昭和10年代)に建てられた別荘建築ですが、

当時としては珍しい避暑用アパートメントです。

軽井沢における避暑の大衆化を示す価値ある事例であるといえるでしょう。 
 

比較的広めの洋間では、ベランダつきなので、戸外の自然が肌で感じられ、

今日でも滞在してみたいという気持ちを起こさせます。

これに対して腰高の窓で外界と仕切られた洋間5室、日本間5室は、

当時としてはモダンであったが、今日ではただの箱空間という印象がしないでもありません。 

前田栄次郎は、昭和8年、軽井沢の三笠ホテルの近くに貸別荘・前田郷を開業、

昭和10年代、唯一のアパートメント式の別荘・深山荘が建てられ、

その後、戦時中、スイス公使館として使用され、

戦後、東京電機大学の厚生施設として利用されました。

 
スイス公使館時代、この建物はどのように使われていたのでしょうか?

ゴルジェ大使の部屋はどこにあったのでしょうか?

シンポでは、ゴルジェ大使の「日記」が紹介され、

同大使が二手橋の大宮御所の隣の別荘に住んでいたことも

造営工事中の記述などから推測可能となりました。

2008年12月、軽井沢町は、軽井沢文化協会などからの働きかけにより

町議会で2億2千400万円で購入することを決定し、町の所有となりました。

しかしこれまでほとんど活用されぬままに経過しているのは残念です。

 
スイス公使館は、これまでポッダム宣言受諾の電報を打電した場所であると

云われていましたが、近年、そうでないことも判明しつつああります。

今後、活用・利用の仕方が求められることになるでしょう。 

 

 

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