そのさきへ -Deep Sky Blue version-

このブログは引っ越しています

Addicted to Drug policy?

2005-04-04 00:00:00 | MLB
さていよいよメジャーリーグが開幕するわけですが、このオフの話題と言えばやはりステロイド疑惑、
だったのではないでしょうか。半ば「犯人探し」状態にすら陥っている感も否めませんが、この問題如何によっては、
メジャーリーグの人気を左右する結果になりかねません。

先月17日にアメリカ下院でメジャーリーグのスター、元スター、コミッショナーなどを集めて、
ステロイド問題の公聴会が行われました。メジャーリーグではこのオフのステロイド疑惑をきっかけに、
甘いと言われていた薬物使用への罰則を強化した独自案を作り上げましたが、これはいわゆる「5アウト」方式で、
オリンピックの「2アウト」に比べれば比較にならない程度に甘いと言われています。

一方で、そもそもこの問題に下院及び政府が介入すべきなのかが、アメリカでは議論されています。
上院の超有力議員であるジョン・マケイン氏もこの問題にはかなりの関心を示しています。しかしこの薬物使用の問題は
2つに分けられるのであって、下院及び政府はどこかで混同しているように感じられます。

まず、この公聴会には選手などとは別に薬物を使用したことで死亡した高校生の親も出席しました。
現在、アメリカでは高校生や中学生くらいの年齢で筋肉増強剤を使用し、副作用によるうつ病で自殺するという
ケースが増えています。こういう子たちに渡される筋肉増強剤は、このオフ話題になった「BALCO」などとは違い、
副作用が併発しやすい、言ってしまえば安物の増強剤といわれています。そうした問題については、
絶対に規制または罰則を設けて厳しく対処すべきだとは思いますし、そのことに対して政府は介入すべきでしょう。
でなければ、麻薬のように筋肉増強剤を求めるためのコンビニ強盗のような二次的犯罪も増える可能性を抱えているのです。

その反面、メジャーリーグの薬物使用の罰則が甘いか否かについて、本当にそうなのかどうなのかは別にして、
もっとタフな規制をすべきかどうかを下院や政府がわざわざ介入するほどのものかと言われれば、
必ずしもそうではない感じはします。どうも下院が気にするのは、メジャーリーガーが薬物使用に走る
少年たちに対する影響なのであって、例えば薬物使用で野球人気が落ちてそれが地域経済に多大な影響を
与えかねないという、桶屋の理論ではなさそうなのです。つまり、体が大きくなければメジャースポーツの
選手になることはできないという潜在意識に対しての規制ともいえそうです。

そう思わされたもう1つの理由として、議会はNFLに対しても同様の公聴会を行う意思があると最近報道されました。
ちょうど、NFLカロライナ・パンサーズの選手及び元選手4人が増強剤の提供を受けていたというニュースがあり、
それを受けたものともされています。しかし一方ではこの事件を受けて、NFLは今ある罰則をオリンピック並の
厳しい罰則への変更を検討しているともされています。

ただし、全く介入すべきではないかと言われればそうではないのも事実です。現にこの問題が議会で
公聴会を開いたということで、世間の関心はより高まったわけで、その意味では成功と言ってもいいでしょう
(立法府である議会が関心を集める手段になるべきかどうかは問題かもしれませんが)。多くのファンは、
この問題への政府の介入はおかしいと考えていますが、必ずしも悪い面だけではないと思います。

しかし、介入の度が高いと一産業への内政干渉になりかねません。アメリカのスポーツ界全体に対して、
ひとつ法律で薬物使用の罰則を適用する案も唱えられていますが、そこまで行くと政府がプロスポーツ界を
コントロールする形になりかず、メジャーリーグの反トラスト法違反か否かの問題に匹敵する可能性も秘めてます。
要は、公聴会を行ったことは意味があっても、それ以上に口出しをすることはよろしくない、ということです。

この公聴会を途中までネットで見ていたのですが、そのとき思ったのは、例えば昨年起こった日本プロ野球の
合併問題について、日本の国会は公聴会を開いてもよかったのではないかと思うのです。一部ではそうすべきという
声もあったようですが、首相が野球好きとは決して思えない国では、そこまで実際の動きとしては起こりませんでした。
これは、プロ野球が1つの国家の「産業」であるのか、「1企業の子会社」の集合体なのかの違いなのかもしれません。

最新の画像もっと見る