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庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

己のために

2007-03-09 11:13:20 | 言葉
子曰、古之學者爲己、今之學者爲人、

子の曰わく、古(いにしえ)の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。
- 論語 憲問 第十四
 
先生が言われた、「昔の学んだ人は自分の[修養の]ためにした。この頃の学ぶ人は人に知られたい為にする。」

※現代語訳は論語の世界から引用させて頂きました。

論語がますます面白い。先日の「古代発掘ミステリー・・・」なんとかというTV番組で、南米の身長2mを超えるかという巨人の遺跡調査から、古代には相当に高度な文明があり、その人骨の遺伝子が日本北部の弥生人に近く、中国・山東省に住んでいた人たちのものと共通するという興味深いレメ[トがされていた。そして、山東省といえば孔子の生誕地で、実際、孔子も少なくとも190cmを超える巨人であった。

孔子の遠い親戚が7世紀の南米で高度な文明を作っていた・・・これだけでもビックリ仰天の話であるが、更に興味深かったのは、美しい装飾品に身を包んだ「高貴な人」と名づけられた人の脊椎が磨耗しており、社会的地位は極めて高かったであろうにもかかわらず、かなり過酷な労働をしていたであろうと推測されることであった。

一般的に地位の高い人間ほど肉体労働から遠ざかる。つまり楽をするようにできている。有史を通じて変わらない階級社会の常識がここには当てはまらないらしい。ということは、ある意味理想的な平等社会がすでにそこにあったのではないか、とも推測できる。

しかし、それにしても何故、あれだけの痕跡を残す文明が絶滅したのだろうか・・・これが我々の現代文明の行く末を考える上でも、非常に興味深い問題のように思える。