国学院大、コースアウトも初のシード権 箱根駅伝
産経新聞 1月3日(月)17時58分配信
シード権を得られる8~10位の3枠をめがけ、団子になって都心を駆ける一群。最終10区の終盤になっても日体大、青山学院大、国学院大、城西大の4校が激しく前後を入れ替え、沿道の歓声がビル街にこだまする。
ハイライトは残り約700メートル。国学院大の寺田が直進の道を1人右に折れてコースアウト。「トップでゴールすることしか考えてなかった。頭の中が真っ白に」。きびすを返した後は記憶がない。胸突き八丁の競り合いを演じた最後の直線、城西大を振り切っての10位。同僚の輪に包まれ、初めて自身の“殊勲”に気がついた。
シード権獲得は、同校初の快事。心臓に悪い劇的な果報に、前田監督は声を上ずらせて「うれしいというか、ホッとしたというか。まだ実感できない」。監督に就任した一昨年の夏から、選手と寮住まい。「戦いは生活の中から」と人づくりに腐心する。妥協を嫌う仁科主将が“前田イズム”の布教役を買って出た。
監督の母校駒大に頭を下げ、合同練習を重ねる苦節も。格の違う相手にもまれるうちに、選手の地金は磨かれた。粒ぞろいではないが、戦う集団には育っていたようだ。
「来年は一けた(の順位)。立ち止まることなく、チームを進化させたい」。箱根路にささやかな足跡は記した。次は「飛躍」の2文字を新チームに刷り込む作業が始まる。(森田景史)