「猫はネズミを一度にかみ殺しはしません。」
薬と偽ってビタミンを買わされた気に障るチンピラを逃して悔しがるテソンにゴヌクの言葉

「猫はネズミを一度にかみ殺しはしません。」
「そうか?初耳だな。」
「捕まえては逃がし、弄び・・・。」

「おい、続けろよ。それからどうするんだ?」
「飽きてきた頃に、とどめを刺す。そして、死体をさらして立ち去ります。」
興味津々で聞くテソンですが、 テソンは自分の獲物を捕まえることに夢中で、ゴヌクの視線の先になにがあるのかはまだ気づいていません。
印象的な海中シーンの後に効果的に挿入されたこのかけあい、ひゃ~、ナップンナムジャ!
「なぜホン・テソンなんだ。」
下呂行きの切符を買う駅の前で、不意にジェインに向けられたゴヌクの言葉。

「なぜホン・テソンなんだ。」

「ねぇ ナポレオンのこの言葉知ってる?」
「『パリでは徳があるから尊敬されるのではく、すばらしい馬車があるからだ。』」
「すばらしい馬車、素敵でしょ?」
ジェインの答えには、ジェインのこの時の価値観が明確に表現されています。
ジェインが気になるゴヌク、”ホン・テソン”に執着するジェイン、”ホン・テソン”の名を奪われたゴヌク、、、ゴヌクのジェインを見つめる目が印象的です。
ジェインが言うナポレオンの言葉は、スタンダールの小説「赤と黒」 第二部 第二十二章 討議 の冒頭の引用文によるものと思われます。
ちなみに、ナポレオンは、スタンダールの「赤と黒」の主人公ジュリアン・ソレルが密かに尊敬していた人物です。
以下 「赤と黒」下巻(新潮文庫)より
共和国-今日では、社会福祉のためにすべてを投げうとうとするものが、ひとりいると、これに対して、自分の享楽や虚栄のことしか眼中にない人間が何千、何百万いるかしれない。パリでは、人格のためではなく、自家用の馬車をもっているから、尊敬を受けるのだ。
ナポレオン『日記』