「誰が どんな名前で俺を呼ぶのか。」
協力者の調査員にいったい何と呼べばいいのか、ときかれて。
「俺も時々わからなくなる。」
「誰が どんな名前で俺を呼ぶのか。」
ゴヌクという人物にとてもミステリアスなイメージを刻んでいるシーンですが、同時にゴヌクのこれまで歩んできた複雑な人生を物語っています。
「でも俺には最期のロープがあるんだ。」
ヘシンのビルの前のバス停で座りながら、ウォニンとのいつもの会話の中で。
「あそこ。」
「あそこからロープを1本ずつ垂らしてくれるんだ。」
「大抵はそれを伝って登りさえすれば全てうまくいくと思って迷わず掴む。」
「だけどほんとはほとんどが腐っているから、ロープをつかんだ人は、数知れず落ちて、また落ちて、、、また落ちていく。」
「でも俺には最期に残されたロープがあるんだ。」
ウォニンの顔の前で指を鳴らして話し始めるしぐさや、ヘシンのビルの上の方というよりどこかもっと遠くを見つめながら、物語りを話すように語る口調が印象的です。
携帯電話の登録名「ロープ」の主、モネが、いよいよ始まる壮大な計画の中で”最期のロープ”であることが判明するとともに、なにやら今後の展開を予感させるような。。。
この「ロープ」、英語訳にいたっては「Security Rope」、、、ずっと気になっていたのですが、
韓国語では「ドンアジュル」で、意味については諸説あるそうです。
以下、日本版公式ホームページの掲示板”ともこ”さん他の投稿から引用させていただきました。
①昔鹿を追っていた猟師が、命乞いをされる。
「これから天女が降りてくるので、その天女の羽衣を手に入れて子供を作ったら絶対に天女は戻っていかない。しっかり羽衣を隠しておきなさい。」と言われる。
しかしいいつけを守って子供を作ったにもかかわらず、天女は羽衣を見つけて天に続く綱(ドンアジュル)を伝って天に戻っていってしまう。
日本の天女の羽衣を思わせる話です。
②悪人が天から落とされた綱(ドンアジュル)にすがりつくと、我も我もと後から続いてきて綱が切れてしまった。
こちらは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』ですね。
③虎に追われた人(きょうだい説もあり)が天に祈ると綱が降りてきたが、その綱が腐っていれば死ぬし、丈夫であれば天に登れる
ここでポイントなのは、善人が握ったから助かるとか、悪人が握ったから綱が切れてしまうというものではなく、全く因果応報という教訓的な意味合いはないそうです。
突然降ってくるチャンスだが、成功すれば大きなものを手に入れられるし、失敗すれば命を失う。成功か失敗かはあくまで運しかない、という厳しい内容だそうです。
「愛なんてない。」
ゴヌクと飲みながら、過去のつらい思い出を語るジェインの口から搾り出すように出た言葉。
「愛なんてない。」
「私に言わせれば 愛なんてない。」
ジェインの行動の基軸となっている恋愛感をズバッと言いぬけていますが、それがゴヌクの心にひっかかる部分でもあり。。。
ジェインという人物像はこの物語のとても重要なポイントのひとつになっています。
「人との出会いや別れが思い通りになる?」
ゴヌクの前ではたくさん恥ずかしい思いをしたから、もう会いたくないというジェインに、つぶやくようにでてきたゴヌク言葉。
「できるかな?」
「何が?」
「人との出会いや別れが思い通りになる?」
ジェインに会いたくないと言われて寂しい気持ちにふと出た言葉には、思いもよらず、ゴヌクのこれまでたどってきた人生の影が見え隠れします。
そしてこの物語の今後を示唆しているような。。