今日は二十四節気の「雨水」です。
まだまだ寒いですが、春は近づきつつあります。
こんな光景も眼にする季節になりました。
鬢付け油の香りが良いですね。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件に関する、"Competitor Running"誌の記事です。
旧東ドイツでは、有望な子供については5歳位で太腿の筋肉を一部切り取り、筋繊維の組成を調べて将来やる競技を決定していたとか。
それも貧乏?が故に麻酔無しでやるので、めっちゃ痛かったそうです(確かヤン・ウルリッヒ談)。
ランニングと筋繊維の種類の関係
by Kelly O'Mara, Feb. 12, 2014
短時間で極めて速く走ろうと考えた場合、速筋線維を増やしたいと願うのは至極当然である。逆に、長時間をかけてゆっくりと走ろうと考えるなら、遅筋線維が必要となる。ただ、速筋線維/遅筋線維がどのように作用するかとか、どうやってそれらを制御するかについては、余り明らかにはなっていない。
平均的な人の場合、速筋線維:遅筋線維=50:50である。この比率は、基本的には遺伝によって決定され、トレーニングによって決定される部分はほんの僅かであるとScott Tappe教授(Ball State大学所属、人間の身体能力研究所代表、運動科学専攻)は語る。なので、世界レベルで活躍出来る短距離走選手になりたければ、「親を選ぶしか無い」と彼は冗談交じりに語る。
ただ、筋繊維にも様々なタイプが有る。代表的な例としては、TypeⅠ(遅筋線維)/Type Ⅱa(速筋線維の中でやや持続的収縮に向いたもの)/Type Ⅱx(典型的な速筋線維)等がある。速筋線維の約Ⅰ/3はType Ⅱaであると指摘するのは、Creighton大学の運動科学部のJorge Zuniga准教授である。
速筋線維は遅筋線維より体積が大きい。Zuniga准教授は「速筋線維と遅筋線維の見た目での区別は容易である」と語る。速筋線維は爆発的パワーの発揮に優れているが、その効率は良くない。速筋線維はエネルギー源として糖類を利用する。また、Type Ⅱxは完全に無酸素性エネルギー産生システムに依拠する。
一方、遅筋線維はパワーの発揮という点では劣るが、効率は格段に優れている。長距離を走るのに遅筋線維は必要であり、遅筋線維は主として酸素を利用して脂肪を燃焼させ(てエネルギーを得)る。
しかし、25歳の成人の大腿部は60万本の筋繊維によって形成されるが、個々の筋束を明確に区別するのは困難である。Tappe教授によると、「筋肉の性質は連続的に変化するし、筋繊維の性質には一部重複も見られる」と語る。
トレーニングによってその性質が変わりやすい筋繊維に「雑種様筋繊維」というのが存在する。
筋繊維の構成は基本的に遺伝によって決定されており、トレーニング等によって決定される割合は、科学界における論争の対象である。同一タイプ内では性質が変わる(例:Type Ⅱa→Type Ⅱx等)点についてはあり得るとされているが、筋繊維の性質がタイプ間を跨って変わるかどうかについては、結論は出ていない。
また、LSDラン(及び加齢)による速筋線維→遅筋線維という変化は2ヶ月程度で発生し得るが、その逆(遅筋線維→速筋線維)については不明である。ただ、Zuniga准教授は「私の知る限り、遅筋線維→速筋線維という変化は無い」と語る。
しかしTrappe教授は、雑種様遅筋繊維の一部は「合理的な理由で」速筋線維に転換し得ることは複数の研究を通じ明らかとなっている、と語る。例えば、宇宙飛行士/怪我人のように長期間ベッドで寝た場合、筋繊維は持久力的能力を喪失し、速筋線維に転換する。
平均的なアスリートにとって、このような現象は必ずしも望ましいものではないが、この現象の基となる原則はトレーニングにも応用可能である。LSDランによって(中間的な)速筋線維→遅筋線維という変化が見られるのと同様に、インターバル走と休息を上手に組み合わせると、中間的な雑種様筋繊維は速筋線維に転換し得る。
但し、トレーニングを通じた筋繊維のタイプの転換が起こるのは、全筋繊維のせいぜい10%程度である、とTrappe教授は語る。
一般的に、世界レベルで活躍する短距離走選手の場合、筋繊維の65~85%は速筋線維であり、同じく長距離走選手ではその割合は逆転する。そして、そのような筋繊維の割合に関し、遺伝/トレーニングがそれぞれどれ位寄与しているのかは不明である。Trappe教授によると、エリートレベルのランナーにおいては、中間的な性質を有する雑種様筋繊維の割合は極めて低い。というのも、反復練習によって既に特定の方向に転換してしまっているからである。ただ、仮に遺伝によって遅筋線維の割合が多い状態で生まれた人は、やはり長距離走を志向した方が良いだろう。
同様に、遺伝によって速筋線維の割合が多い状態で生まれた人は、恐らく自然に短距離走を選択することであろう。Trappe教授に言わせると、「そのような人がマラソンを選択しても構わないが、優勝することはかなり難しいであろう」ということである。
勿論、速筋線維/遅筋線維の割合だけで進路を決める必要はないし、親を恨む筋合いもない。Trappe教授は「筋繊維の割合は、人の特性を決定する要因の一つに過ぎない」と指摘する。
Zuniga准教授によると、1970年代中盤に、エリートレベルのランナーを筋繊維のタイプに基づき2グループに分けてある実験が行われた。具体的には、第1グループは遅筋線維の割合が70%のランナーとし、第2グループは同じく遅筋線維の割合が85%のランナーとした。そして、それぞれのグループに10,000m走をさせた。タイムの平均値で比較すると、両グループの間に差は殆ど見られなかった。
この結果についてZuniga准教授は、「筋繊維のタイプの違いが運動能力に関与する割合は、ほんの数%にしか過ぎないだろう」と語る。ただ、別の研究では、その割合は40%とする結果も示されてはいるが。
いずれにせよ、残りの60%の重みを忘れてはならない。
まだまだ寒いですが、春は近づきつつあります。
こんな光景も眼にする季節になりました。
鬢付け油の香りが良いですね。
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標記の件に関する、"Competitor Running"誌の記事です。
旧東ドイツでは、有望な子供については5歳位で太腿の筋肉を一部切り取り、筋繊維の組成を調べて将来やる競技を決定していたとか。
それも貧乏?が故に麻酔無しでやるので、めっちゃ痛かったそうです(確かヤン・ウルリッヒ談)。
ランニングと筋繊維の種類の関係
by Kelly O'Mara, Feb. 12, 2014
短時間で極めて速く走ろうと考えた場合、速筋線維を増やしたいと願うのは至極当然である。逆に、長時間をかけてゆっくりと走ろうと考えるなら、遅筋線維が必要となる。ただ、速筋線維/遅筋線維がどのように作用するかとか、どうやってそれらを制御するかについては、余り明らかにはなっていない。
平均的な人の場合、速筋線維:遅筋線維=50:50である。この比率は、基本的には遺伝によって決定され、トレーニングによって決定される部分はほんの僅かであるとScott Tappe教授(Ball State大学所属、人間の身体能力研究所代表、運動科学専攻)は語る。なので、世界レベルで活躍出来る短距離走選手になりたければ、「親を選ぶしか無い」と彼は冗談交じりに語る。
ただ、筋繊維にも様々なタイプが有る。代表的な例としては、TypeⅠ(遅筋線維)/Type Ⅱa(速筋線維の中でやや持続的収縮に向いたもの)/Type Ⅱx(典型的な速筋線維)等がある。速筋線維の約Ⅰ/3はType Ⅱaであると指摘するのは、Creighton大学の運動科学部のJorge Zuniga准教授である。
速筋線維は遅筋線維より体積が大きい。Zuniga准教授は「速筋線維と遅筋線維の見た目での区別は容易である」と語る。速筋線維は爆発的パワーの発揮に優れているが、その効率は良くない。速筋線維はエネルギー源として糖類を利用する。また、Type Ⅱxは完全に無酸素性エネルギー産生システムに依拠する。
一方、遅筋線維はパワーの発揮という点では劣るが、効率は格段に優れている。長距離を走るのに遅筋線維は必要であり、遅筋線維は主として酸素を利用して脂肪を燃焼させ(てエネルギーを得)る。
しかし、25歳の成人の大腿部は60万本の筋繊維によって形成されるが、個々の筋束を明確に区別するのは困難である。Tappe教授によると、「筋肉の性質は連続的に変化するし、筋繊維の性質には一部重複も見られる」と語る。
トレーニングによってその性質が変わりやすい筋繊維に「雑種様筋繊維」というのが存在する。
筋繊維の構成は基本的に遺伝によって決定されており、トレーニング等によって決定される割合は、科学界における論争の対象である。同一タイプ内では性質が変わる(例:Type Ⅱa→Type Ⅱx等)点についてはあり得るとされているが、筋繊維の性質がタイプ間を跨って変わるかどうかについては、結論は出ていない。
また、LSDラン(及び加齢)による速筋線維→遅筋線維という変化は2ヶ月程度で発生し得るが、その逆(遅筋線維→速筋線維)については不明である。ただ、Zuniga准教授は「私の知る限り、遅筋線維→速筋線維という変化は無い」と語る。
しかしTrappe教授は、雑種様遅筋繊維の一部は「合理的な理由で」速筋線維に転換し得ることは複数の研究を通じ明らかとなっている、と語る。例えば、宇宙飛行士/怪我人のように長期間ベッドで寝た場合、筋繊維は持久力的能力を喪失し、速筋線維に転換する。
平均的なアスリートにとって、このような現象は必ずしも望ましいものではないが、この現象の基となる原則はトレーニングにも応用可能である。LSDランによって(中間的な)速筋線維→遅筋線維という変化が見られるのと同様に、インターバル走と休息を上手に組み合わせると、中間的な雑種様筋繊維は速筋線維に転換し得る。
但し、トレーニングを通じた筋繊維のタイプの転換が起こるのは、全筋繊維のせいぜい10%程度である、とTrappe教授は語る。
一般的に、世界レベルで活躍する短距離走選手の場合、筋繊維の65~85%は速筋線維であり、同じく長距離走選手ではその割合は逆転する。そして、そのような筋繊維の割合に関し、遺伝/トレーニングがそれぞれどれ位寄与しているのかは不明である。Trappe教授によると、エリートレベルのランナーにおいては、中間的な性質を有する雑種様筋繊維の割合は極めて低い。というのも、反復練習によって既に特定の方向に転換してしまっているからである。ただ、仮に遺伝によって遅筋線維の割合が多い状態で生まれた人は、やはり長距離走を志向した方が良いだろう。
同様に、遺伝によって速筋線維の割合が多い状態で生まれた人は、恐らく自然に短距離走を選択することであろう。Trappe教授に言わせると、「そのような人がマラソンを選択しても構わないが、優勝することはかなり難しいであろう」ということである。
勿論、速筋線維/遅筋線維の割合だけで進路を決める必要はないし、親を恨む筋合いもない。Trappe教授は「筋繊維の割合は、人の特性を決定する要因の一つに過ぎない」と指摘する。
Zuniga准教授によると、1970年代中盤に、エリートレベルのランナーを筋繊維のタイプに基づき2グループに分けてある実験が行われた。具体的には、第1グループは遅筋線維の割合が70%のランナーとし、第2グループは同じく遅筋線維の割合が85%のランナーとした。そして、それぞれのグループに10,000m走をさせた。タイムの平均値で比較すると、両グループの間に差は殆ど見られなかった。
この結果についてZuniga准教授は、「筋繊維のタイプの違いが運動能力に関与する割合は、ほんの数%にしか過ぎないだろう」と語る。ただ、別の研究では、その割合は40%とする結果も示されてはいるが。
いずれにせよ、残りの60%の重みを忘れてはならない。
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