いわゆるコロナ渦で、開幕が6月中旬にずれ込み、公式戦は11月上旬までの120試合となった日本プロ野球(NPB)。
しかし、米国では比較にならないほどひどいコロナ渦となり、60試合の開催にとどまったMLBと比較したらNPBは数段ましな状況であった。
NPBでは現在まで至るソーシャルディスタンス確保を目的とする入場制限や選手・関係者の新型コロナ感染が散発したものの、こうして日本シリーズを迎えることが出来て、野球ファンの一人としてやはり喜びを感じるところである。
さて、リーグ優勝を2018年から2年連続で逃すも、クライマックスシリーズ(CS)でいずれも勝ち上がって、これまで苦難の歴史と言えたCSで十分に借りを返し、その勢いで日本シリーズも2年連続で制した福岡ソフトバンクホークス。
2017年はリーグ優勝ながらもセ・リーグ3位から勝ち上がった横浜DeNAベイスターズ相手に予想外に苦戦しながらも何とか日本シリーズをモノにして以来、目下シリーズ3連勝中である。
対する読売ジャイアンツ(巨人)は、2012年に北海道日本ハムファイターズを下して日本一に輝いたものの、翌13年は第7戦までもつれるも東北楽天ゴールデンイーグルスに惜敗。以来リーグ上位にはつけるものの2019年まで優勝はなく、日本一奪還が期された日本シリーズはCSを勝ち上がったホークス相手にまさかの4連敗。
19年のシリーズは折しもラグビーワールドカップの日本大会がたけなわの時期ということもあり、話題を大きく奪われたばかりではなく、巨人の4連敗をラクビーになぞらえて「オールブラックス」とか「リーチ・マケル」などと揶揄される有り様だった。
それだけに、19年は本調子ではなかったエース菅野智之がリーグ最多勝と抜群の成績を残した20年は巨人にとって雪辱を期すチャンスであり、初戦を菅野で取れるかがある意味日本一奪回の前提条件と言えた。
一方で、ホークスも大エースと言える千賀滉大を立ててくる。160km/hに達する豪速球とお化けフォークの異名を取るフォークをはじめとする変化球も球界指折りの存在。
つまり、菅野が強力ホークス打線を最少失点に抑える一方で、巨人打線が千賀を何とか打ち崩すことも勝利の条件となっていたのである。
巨人は若手の心境著しい将来性あるチームであり、他球団から闇雲に選手を引っ張って金の力で勝つかつてのチームではなくなりつつある。
一方のホークスは17年にベイスターズ相手に辛勝したものの、当時は選手の高齢化は否めず、若くて勢いのあるベイスターズ相手に翻弄された印象は否めなかった。
ところが、投打ともに若手の選手が次第に頭角を顕して、徐々に世代交代を進めてきた。2020年にホークスがリーグ優勝を奪還できたのはやはり若手が結果を出して、貴重な戦力となったことが大きかった。
巨人・菅野はプロ野球ファンなら誰でも知るとおり、球界のエースとも言える存在であり、強力ホークス打線言えども打ち崩すことは容易ではない。
千賀も同じく球界のエース格であり、2020年11月21日の第1戦は当然接戦が予想された。
ところがここで菅野を仕留めたのは実質的にルーキーに近い存在の栗原陵矢。元々捕手ながらも非凡な打撃を買われて外野と一塁で起用され、一時期は4番に座っていた今季台頭の若手有望株である。
栗原は1本塁打を含む4打点の活躍。MLBの選手にあやかってはじめ、関連商品もペイペイドームで発売された「ケバブポーズ」も見事に決めてみせた。そして、ホークス打線がフォア・ザ・チームに徹して栗原につなげたことが大きかったことは言うまでもない。
ホークス投手陣も森唯斗が緒戦の緊張からか、セーブのつかない場面で1点を失った以外は、危なげない投球できちんと仕事を果たしていた。
栗原はもちろん、この日のヒーローとなり、その端正な顔立ちは全国に知られることになった。
一方で、菅野で第1戦を落とした巨人。ホークスは千賀に続く先発投手陣も後に控えるリリーフ陣も充実している。森も2戦目以降はそうそう点を与えないだろう。
強力ホークス打線相手に最少失点に抑えて、打線が調子を出してゲームを作ることが出来るかが巨人の課題となるだろう。
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