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泌尿器科が好きなタダのおっさん

_とある医局の風景をつづります_

初夜の雑感

2012年07月04日 22時27分20秒 | どうでもいいこと

初夜と言っても、新婚さんが迎える夜のことではありませんでして、まあ何のことはない、今晩が最初の当直業務ということです。タイトルで期待させてしまった方、どうもすみません。夜の静かな医局から、「くりぼう」がお届けします。

 

大学に戻ってからの数年間、重症患者さんの治療や緊急手術、再手術などで病院で夜を明かしたことは何回かありましたが、正式な当直医として病院に泊まるのは研修医時代以来ですから、実に10年ぶり。夜の病棟で膀胱洗浄なんかしていますと、研修医時代の辛かった記憶が次々と呼び起こされます。ほとんど全て自分の責任だったわけですが、医師として未熟という以前の問題、例えば当直中の失態(詳細はご容赦ください)、自家用車運転中の人身事故(これも詳細は割愛しますが、当然飲酒はしていません、念のため。)など、消せるものならそうしてしまいたいような痛恨の記憶ばかりが蘇ります。夜になると、屋上で同期のOFD先生と出前の寿司を自棄食い気味にほおばり(1人前1000円と安かったが旨かった)、メンソールのタバコをチェーンスモークしながら自分らの行く末を案じていたものです。今だから言えるようなことですが。

 

あれから10年。過ぎてみればあっという間で、10年前の流行歌を聞いても割と最近の曲のように感じたりもしますが、それは最近の流行に疎い証拠。やはり10年という歳月は大きいですね。あれほどこよなく愛したタバコをきっぱり止め、牛丼屋でご飯を小盛りにするようになり、誰のせいとは言いませんがここまで所帯染みて・・・。どれも、10年前には想像の出来なかったことばかり。

 

そして何より、教室スタッフのひとりとして、僅かながらもお力添えできる日が来ようとは。

 

十年一昔と言いますが、泌尿器科領域ひとつとっても、内視鏡手術の発達、分子標的薬の開発 (もちろん女性骨盤底医学もね) と日々目まぐるしく進化・変化し、一年二年を一昔と捉えるのが当たり前の世の中です。本来「十年一昔」は、十年というのはそれほど長い期間ではないが、実際は十年経ったらもう昔のこととなってしまう(くらいに世の中の移り変わりが早い)という意味ですから、現代はさらにその何倍も移り変わりが早いと言っても間違いではないのでしょう。

 

無論、以前は治せなかった疾患が治ったり、より低侵襲で治せたりするように医療が進化していくのであれば、一年一昔でも大歓迎です。でも物事全てが、それほどまでに目まぐるしく変化していく世の中であってほしいかとなると、さすがに事情は違いますよね。

 

自分のことを引き合いに出すのも何ですが、医師としての成長と言いますか、過去の未熟な自分を昔話のように語れるようになるというのは「十年一昔」の感覚でいいんじゃなかろうかと思います。ただ、成長著しい2年目の研修医らが、「先生それでは時代に追いついていけませんよ」と無言で忠告してくれているような気がしないでもありません。

 

 


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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (つぶやき)
2012-07-05 15:29:26
僕からすると10年前の研修医時代のくりぼう先生は想像つきません。
10年間、懸命にやってきた結果が今の先生なんですね。

10年後、僕らはどうしているんでしょう?
まあ変わらず他愛もない話でもしながらビールを飲めればいいですね!


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Unknown (使徒)
2012-07-05 21:37:31
10年後にどこで何をしているかは想像もつきませんが、少なくとも過去を振り返って後悔をしないよう今を頑張っていきたいものです。
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Unknown (くりぼう)
2012-07-05 22:28:52
成功も痛恨の経験も、全て今の自分の血や肉になっているはずです。勿論、10年間のうち半分近くの時間で一緒に仕事した使徒先生やつぶやき先生の存在も、です。

私も、先生たちの最初の10年にスパイスを効かせられるような存在でありたいと思っています。
月並みですが、今後もよろしく。
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くりぼう先生へ (白衣の天々)
2012-07-07 20:38:05
当直デビュー、おめでとうございます☆
ご丁寧に初当直のご挨拶をして下さり、多大な気を遣い、差し入れのお弁当まで頂きまして、ありがとうございました。
くりぼう先生は、失敗談のときも多幸感たっぷりに話すのが素敵と評判ですが、「こんなわたくしですが教室の力になり、微力ながらも発展に寄与できるようになる日が来ようとは、実に感慨深いものがあります(以下省略)。」という当直開会式スピーチのときの笑顔は最高でした。
また、『お笑い漫画道場』を観て育ったという話術はさすがです。
いつまでも、そのピュアな感性のくりぼう先生でいてください。
これから当直で真夜中に叩き起こすことがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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有難うございます (くりぼう)
2012-07-08 01:15:47
身に余るコメント、本当に有難うございます。

謙遜ではなくて、本当に微力なんですよね。私の過去を知る人間は、みなそう思っているのではないでしょうか。
今のところは、まだ肩書きの重みを何となく背中に感じながらの勤務です。

目線はこれまで通り、中身は肩書き相応となれるよう、精進してまいりたいと思います。ですから、真夜中でも遠慮なくどうぞ。

あと、このブログも末永くご愛顧下さいね。
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