神奈川絵美の「えみごのみ」

革命家は誰? - キュビスム展@国立西洋美術館 -

(前回の続き)



パリ14区の名物、むきだしの配管がアバンギャルドな
ポンピドゥーセンター所蔵の作品が多数、集結した
キュビスム展。



ここはSNS用の撮影スポットですが
作品自体も写真OKのものが多く、嬉しいです。

キュビスムといえば、ピカソですが……



ご存知の通り、ピカソは生涯通して作風が変わっていき、
キュビスムはその一部にすぎません。
もともとアフリカの仮面などプリミティブなものに興味があり、
この作品にも土のにおいというのか、体温や湿度を
感じます。

決して博識ぶるわけではないのですが、
私は高校時代から、キュビスムはピカソよりも、
ジョルジュ・ブラックの作品の方に“らしさ”を感じていて


左がピカソのギター奏者、右がブラックのギターを持つ女性。

私には、ピカソの方が恣意的というか、
頭で考えています感が強いような、なのでアートとして
あまり感性をくすぐるものがないんです。
ブラックの方が、何を描いて(展開して)いるか
わかりやすいし、のびのびしているような気がして。

ついでにピカソのちょっと後を追った
ファン・グリスのギターも並べてみます。


グリスは色彩が豊かでデザイン要素も強いような。

ピカソのこの作品の前で、私はずいぶん
考え込んでしまったのですが

1914年、第一次世界大戦に突入した年なのですが
これ、キュビスムなのかなあ……
ダダイズムっぽさがあるように思えて、
もうキュビスムは彼の手から離れているような印象を
受けました。

やっぱり、ブラックの方が私は好きなんだと再確認。




一方、新たな発見として


フェルナン・レジェの作風の変化。
私、今までレジェがキュビスムと思っていなくて
でもこの作品はまさにキュビスム。


左から右へと、作風が変化していきます。
私がもっともレジェらしいと思う作品は、一番右。
こちらは実は今回の企画展には入っておらず
常設展の方にあります。

レジェやデュシャン、ピカビアはダダイズムの企画展でも
名前が出てくるし、
シャガールはシュルレアリスムの企画展の常連だし
ローランサンは1920年代の画家というイメージが強いし

でもみなそれぞれ、キュビスムの時代があったのだなあと再確認。
高校~大学時代に、結構ステレオタイプに刷り込まれてしまった
きらいがあるので、思い込みをなくさなければと思いました。


こちらは
思い込みなのか、思い違いなのかわかりませんが……

ロベール・ドローネー。

私、大学時代に若桑みどり先生から
ドローネーはジャコモ・バッラと並んでイタリア未来派、と
教わった記憶があるのですが、もしかしたら思い違いなのかも…。
キュビスムの旗手の一人として、展示されていました。

あふれる色彩に、動的な描画、科学技術やメカ的なものをモチーフに
した未来派は、20世紀近代絵画の幕開けを担うにふさわしい
一派だと思っています。
キュビスムと強い関連性があるそうなのですが
今回は出品がなく、残念です。


……と思っていたら、
今回の展示で一番の収穫が。



ロシアの前衛絵画といっていいのでしょうか。
ナターリャ・ゴンチャローフという画家の作品との出合い。
キュビスムと未来派を併せ持った
「立体未来主義」というのだそうです。
ここで未来派を観られた! と、心が高揚しました。


次回、シャガールやローランサン、
また、常設展の絵画の写真を少し、紹介しますね。
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